Rita Coolidge Live At Shibuya Duo: Typical Soul Songs Without Soulfulness

メインテナンス。

「私の隣に住んでる男の子の話をさせて。毎朝、太陽が昇る前に彼は私のお気に入りのカップにコーヒーをついでくれるの。ハレルヤ! 彼のこと、愛してる…」 ソウルマン、レイ・チャールズのクラシック「ハレルヤ、アイ・ラヴ・ヒム(ハー)・ソー」で、ステージは始まった。最近は、誘われれば節操なく何でも見に行ってしまうThe Soul Searcherであるが、いきなり、ソウル・ヒットが飛び出してきた。一体どこの誰かといえば、女性シンガー、リタ・クーリッジのライヴだ。

もはやヴェテランの域のリタは、なんとグラミー賞2回受賞とアナウンスされてステージに現れた。その容姿からは、とても実年齢は想像できない。(実年齢は一番最後に) リタといえば、ボズ・スキャッグスでも有名になった「ウィ・アー・オール・アローン」だが、元々南部ロックのデラニー&ボニー、レオン・ラッセル、エリック・クラプトンなどのバック・コーラスを担当していたシンガー。よって、ソウル、R&B、ブルーズなどアメリカン・ミュージック全般がお気に入りであることがわかる。

彼女は仕事も一緒にしたレオン・ラッセル作の「スーパースター」(カーペンターズで大ヒット。最近ではルーベン・スタッダードのカヴァーが秀逸)へと続く。71年のアルバム『リタ・クーリッジ』から、81年の『ハートブレイク・レイディオ』まで13枚のアルバムをヒットさせた。

全体的な印象は、スタンダードを歌うアメリカンなシンガーというところ。例えばラスヴェガスあたりのホテルのラウンジで歌っていそうな雰囲気のショウだった。そして、音楽的にはポップ、カントリー、ジャズ、ソウル、ロック、ブルーズなどの要素がふんだんに取り入れられていた。多分アメリカの観光客がラスヴェガスにやってきて、ギャンブルに飽きたらたまには古き良きアメリカの音楽を聞こうと思ったときに、ドンピシャのシンガーということになるのだろう。

バックはキーボード、ベース、ギター、ドラムスの4人。8曲目では客に指を鳴らさせ、スタンダードの「フィーヴァー」を歌い、さらに続けてテンプテーションズの「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ・ザ・シングス・ユー・ドゥ」、マーヴィン・ゲイの「ハウ・スゥイート・イット・イズ」へメドレーでつなげた。彼女の解釈でこうしたソウル曲を歌っても、面白いのは、決してグルーヴ感がないということ。リタは非常にきれいに、クリーンにポップソングに仕立てて歌うのだ。ちょうど、ジェームス・テイラーやライ・クーダーがソウルのカヴァーをするのと同じようなニュアンスである。

「私は、しばらくクリス・クリストファーソン(70年代に活躍した男性のシンガー/ソングライター)と結婚していました。彼との間に娘が生まれました。彼は依然すばらしい父親でもあります。その彼が書いた作品です」 こう言って歌われたのは、「フーズ・トゥ・ブレス」。

そして、「ウィ・アー・オール・アローン」が歌われ始めると、いつになく歓声があがった。そして、シングルヒットした「ハイヤー&ハイヤー」だ。このリタのヴァージョンを聴いて、オリジナルのジャッキー・ウィルソンを聴くようになったのはソウルメイトUだ。

途中で「私のフィアンセが客席にいます。彼は日本人で、明日、彼のお母さんと会うので、どきどきしてます」といったことを発言していた。すごいなあ、恋多き女性なのだろうか。そして、彼女の年齢だが、一応ジョエル・ウィットバーンのブックなどでは1944年5月1日ナッシュヴィル生まれと書かれている。これによれば、現在59歳、5月で60歳になる。ちょっと彼女の声につやがなくなっていて、もっと声のメインテナンスをしたほうがいいのでは、と感じた。

Setlist (second set)

show started 21.39

01. Hallelujah, I Love You So (Ray Charles)
(From her album “Out of the Blues” – 1996)
02. Superstar (Leon Russell, Carpenters)
03. Mean To Me (From her album “It’s Only Love” – 1975)
(Also from her album “Out of the Blues” – 1996)
04. Black Coffee (From her album “Out of the Blues” – 1996)
05. Late Again (Gettin’ Over You)
(From her album “It’s Only Love” – 1975)
06. The Way I Love You
07. Born Under A Bad Sign (From her album “Rita Coolidge” – 1971)
08. Fever (From her album “The Lady’s Not For A Sale”)
09. The Way You Do The Things You Do (Temptations)
(From her album “Anytime…Anywhere”-1977)
10. How Sweet It Is To Be Loved By You (Marvin Gaye)
11. Who’s To Bless And Who’s To Blame (Kris Kristofferson)
(From her album “Anytime…Anywhere”-1977)
12. Stormy Monday (From her album “Out of the Blues” – 1996)
13. We Are All Alone (From her album “Anytime…Anywhere”-1977)
14. Higher & Higher (Jackie Wilson)
(From her album “We’re All Alone” – 1984)
Enc. I’d Rather Leave While I’m In Love (From her album “Satisfied” – 1979)

show ended 22.47

(2004年3月5日金曜=渋谷デュオDUO、リタ・クーリッジ・ライヴ)

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