The Show Must Go On: The Story Must Go On (Part 2 of 2 Parts)

【いつの日にか「グッド・タイムス・ストーリー」を~】

出会い。

僕はふだん、あまり郊外に行く機会がない。たまプラーザも、あざみ野も名前は聞くが実際訪れたことはなかった。住所と地図を頼りにマルターノを目指した。万一、大西さんがいないと話ができないので、行く前に念のため電話をしてみた。店は今日は営業しているか、大西さんはいらっしゃるか、ホームページのストーリーを読んで感銘したので、ぜひ会いたいと電話にでた女性に伝えた。その場に大西さんはいなかったが、ほんのすぐ後に折り返し電話があり、いらっしゃればお会いするとのことだった。

その時に大体の場所を聞いた。一応地図でめぼしはつけていたのだが・・・。電話では、あざみ野と江田の中間くらい、駅では江田が近いと言われた。東名で東名川崎で下りてたまプラーザを目指すことにした。しかし、車に乗っていた地図はかなり古いものだった。なんと、その地図にはまだ「青葉区」がなかったのだ。(笑=相当古い地図です) 東名川崎で下りた時に料金所の人にあざみ野に行くのにはどういったらいいのか尋ねたら、小さな一枚の地図をくれ、これをこういって次を左折して突き当たりを右に行けばたまプラーザ、その道にそっていけばあざみ野です、と言われた。

その指示どおりに行くとすぐにたまプラーザについた。しかし、そのまま道を進むと行き止まりになってしまい、感覚でこっちのほうかなという方向に走らせた。ところがどうやら違っていたようで、新百合丘の表示がでてきて、まちがえたことに気づいた。途中のコンビニで地図を買い、店の人にあざみ野にはどうやっていったらいいかを尋ねると、この道をまっすぐ行って、左に洋服の青山があったらそこを右折です、と言われた。その指示どおりに行くとあざみ野の駅についた。地図は買わなくてもよかったわけだが、まあ、一冊新しい地図を持っていてもいいだろうと自分に言い聞かせた。今度の地図には「青葉区」は載ってるし・・・。

そして、あざみ野からホームページからとってきた地図を頼りに行ってみたが、見つけられず、駅に戻りお店にもう一度電話して、駅前からの行き方を尋ねた。するとその道を坂を登る感じにまっすぐ進んでください、二個目の信号の角です、と言われその指示どおりに行くと、左手にマルターノが忽然と姿を現した。住宅街の中に一軒、ぽつりとイタリア風ピッツェリアがあった。

お店は天井が高く、ホームページで見た感じと同じだった。壁に絵が書かれていて、その大きな男の絵がマルターノ氏かと思った。メニューを見ながらオーダーを決めていると、大西さんがやってきた。「大西さんですか、吉岡です」 彼は一瞬けげんそうな顔をしたが、名刺を交換すると、「あの、ソウル・サーチンの吉岡さんですか」、ということで、すぐにわかっていただいた。ちょっと驚かれているようだった。

前日にマルターノのホームページのストーリーにいたく感銘して速攻で飛んだきたことなどを話した。すると、大西さんによると、このストーリーはほんの2週間前にアップしたばかりだという。僕が、本を検索していてこのページに当たったことを話したが、もし3週間前だったら、この出会いはなかったことになる。それにしても、インターネットとは、なんというドラマを演出するものだろうか。ヤフーあなどれずだ。

すでにホームページに大西さんが書かれているが、実はこのストーリーの中でマルターノに関する部分はフィクションなのである。それは、お店のホームページを作る時に、当たり前のものは作りたくなかった、それなりのストーリーが欲しかったということでこの物語が生まれた、という。「(ストーリーを書くのには)随分かかりましたよ。79年のあたりから、ディーラーやって、ブルーノート行ってという実際のストーリーの骨格はできていて、そこにピッツァということで、あのマルターノのキャラクターができてきたんです。それ以外は全部実際の話ですけどね」と言う。

「僕は、あの 『俺は一人でピッツァを喰う奴が好きなんだ』というセリフがものすごく気に入ったんですよ。あと、ピッツァは5分で、という部分」 「あれは、僕自身の思いですね。5分で食べて欲しいという僕自身の考えですね。あ、でも(チェーン店の)ゴッドファーザース・ピッツァはよく行きましたよ」 

「ライヴハウスをおやりになりたい?」 「ライヴハウスということよりも、まず、レストランとしてしっかり地に足のついた足場を固めなければと思っています」 このマルターノは30坪弱。大西さんによれば、何軒かこのマルターノを成功させて、何年か後にもっと広いお店を出し、そこでとてもおいしい料理といいライヴ音楽を提供してグッド・タイムスを演出したい、という。そして店の名前は「グッド・タイムス」と決めていると告白してくれた。柿落としはナイル・ロジャースにお願いしたい、とも。

それまで彼がずっとヴァーチャルな仕事ばかりをしてきたので、なんとなくリアルな仕事をしたくなっていたとも言った。

この田園都市線沿線は、高級住宅街と言ってもよく可処分所得が多い人たちが住んでいるという。音楽への理解も高いなど、この地域の特性などから、彼の音楽へのこだわり、ピッツァ自体へのこだわりなど、話題は多岐にわたった。僕はこのような夢のある話が大好きだ。

そして大西さんは「ぜひ、シックの話の続きを書いて欲しいですね」と言った。『ソウル・サーチン』を書き終えた時には、まさかこんな展開が起こるなど夢にも思わなかった。話が続くということさえ考えもしなかったが、2004年5月にジョン・ホワイトヘッドの死去のニュースを聞いた時に、これはなんらかの続編を書かなければならないな、とうっすら思い始めていた。しかし、大西さんの夢を聞いた時、これは大河ドラマの第二部がまだまだあるぞ、という気にさせられた。前書きで書いたように次の主人公がでてきたのだ。そう、ソウル・サーチンの次の主人公は大西さんだ。

話は尽きず、マルターノはいつのまにか閉店時刻になった。大西さんが近くの行きつけの和食レストランに行きませんかと誘ってくれた。徒歩でほんの5分ほどのところにある「カルタ(Karuta)」という店に行った。ご主人と名刺交換をすると、僕の名刺を見てそのご主人も驚かれた。大西さんから話を聞いて、シックのストーリーを読んでいたのだ。このカルタでも話は続いた。

大西さんは外為のディーラーをやっていた頃の話、今後の店の展開、ライヴハウスへの展望などいろいろと話してくれた。そして、ぽつりと言った。「2009年くらいですかねえ、希望としては」 

「ここは東名の横浜青葉(インターチェンジ)のほうが近いんですよ。その入口までお送りします」 大西さんの案内で帰り道はあっという間に東名に乗ることができた。それにしても、おもしろい出会いだ。

物語に終わりはない。物語は続く。「マルターノ・ストーリー」からいつの日にか「グッド・タイムス・ストーリー」へ。夢に限りはない。夢は持ち続ける者にこそ叶う。

■マルターノ・ストーリー
http://www.martano.jp/story/1.html

■ソウル・サーチン:第4話: シック~友情という名のメロディー~
https://www.soulsearchin.com/soulsearchin/4-1.html

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