Moon River; Huckleberry Friend's Song

固有名詞。

話は変わりますが、「ムーン・リヴァー」という曲はご存知でしょうか。かなり有名なスタンダード曲です。1961年、大作曲家ヘンリー・マンシーニが音楽を作り、大作詞家ジョニー・マーサーが詞を書いた作品で、映画『ティファニーで朝食を』の中でオードリー・ヘップバーンがギター片手に歌って有名になったものです。ヘンリー・マンシーニのヴァージョン、さらにR&Bシンガー、ジェリー・バトラーのものも61年に大ヒットしています。その他に、アンディー・ウィリアムスのヴァージョンが日本ではよく知られています。カヴァーは多数あります。ブラック系で言えば、ルイ・アームストロング、シャーリー・バッシー、ベンEキング、バーバラ・メイソンなどもあります。

さて、この「ムーン・リヴァー」ってどういう意味でしょう。今まで全然知らなかったんですが、ちょっとひょんなことで調べたら、なかなか面白いんですねえ、これが。今までこの歌詞の意味とかあんまり考えたことなかったんです。「月の川」でしょう。「1マイル(1.6キロ)以上の幅がある大きなムーン・リヴァー、いつか私はあなたを優雅に渡ってみせる」と始まるこの曲。実は、作詞家ジョニー・マーサーの故郷ジョージア州サヴァンナの彼の自宅の裏に流れる「バック・リヴァー」という名前の川の愛称なのです。言ってみれば「ムーン・リヴァー」はそういう名前の実在する川なんですね。固有名詞です。なぜ月の川という愛称がついたかは、不明ですが、例えば、ものすごく幅の広い川だから、そこに月が映った場合とても綺麗に見えたりするので、そうなったのかもしれません。

この歌も、小さな田舎町に住む友達が、世界にでていく夢のようなものを描いた作品です。ここで興味深いのが「ユー(あなた)」が実は川を指しているということです。

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ムーン・リヴァー

ムーン・リヴァー、それは1マイル(1.6キロ)以上の幅の大きな川
いつか、優雅にこの川を渡ってみせる
この川のかなたには夢もあれば、失望もある
川の流れのままに、私は身を任せる
二人の漂流者は、世界を見るために川を進んでいく

世界は大きく、見るべきものは数知れない
私たちは同じ虹のかなたを追い求めている
きっとその虹のかなたには成功が待っている
冒険を共にする友達と、ムーン・リヴァーと私

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「ハックルベリー・フレンド」は、マーク・トゥエインの小説「ハックルベリー・フィン」からきています。これは確か黒人と白人の少年二人がミシシッピー川を冒険していくという物語で、危険も共にするような親友同士的な意味合いがあるようです。

最後の部分の訳がちょっとこなれていませんが、ある意味でムーン・リヴァーは世界にでていく夢の象徴のようなものになっています。この二人は男同士の親友でもよさそうですし、また、恋人同士でもいいのでしょう。映画『スタンド・バイ・ミー』の4人は、まさに「ハックルベリー・フレンド」同士と言えるわけですね。川を渡ってみせる、というのは、この小さな町からでて成功してみせる、という意味ですね。ハックルベリー・フレンドとともにね。そして、作詞家のジョニー・マーサーは、まさにこの川を
渡り、虹のかなたの成功を手に入れたわけですね。

こんな短く、一見単純に見える歌詞なのに、いろいろと物語があるんですねえ。「ムーン・リヴァーは、ジョージア州サヴァンナに実在する川である」  さて、何ヘェーくらいでしょう。

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Moon River
Words by Johnny Mercer
Music by Henry Mancini

Moon river wider than a mile
I’m crossing you in style some day
Oh dream maker you heart breaker
Wherever you’re going I’m going your way
Two drifters off to see the world

There’s such a lot of world to see
We’re after that same rainbow’s end
Waiting round the bend
My Huckleberry friend, Moon River and me

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