New Edition Live At AX

保守本流。

淡いブルー系のスーツに身を包んだ5人がステージに登場すると、いきなりそこには光が広がった。5人組R&Bヴォーカル・グループ、ニュー・エディションの初来日コンサート。メンバーは、ジョニー・ギル、ラルフ・トレスヴァント、リッキー・ベル、マイケル・ビヴィンズ、ロニー・デヴォー。

彼らは、これまでに日本でもジョニー、ラルフはそれぞれソロ・ライヴを行ったことがあり、また、後者3人もベル・ビヴ・デヴォーとしてライヴをやっている。しかし、彼らがまとまって登場するのは今度が初めてということになる。おしむらくは、もうひとりのリード・シンガー、ボビー・ブラウンが一緒に来日すれば、という感じはある。

しかし、全体的には典型的なR&Bヴォーカル・グループの系譜をしっかりと歩んできた姿を見せてくれた。たとえば、そこにはテンプテーションズの粋があり、ジャクソン・ファイヴの香りが漂い、マンハッタンズの洗練がにじみ出ていた。一番感心したのは、かなり多くの曲にしっかりした振り付け(コレオグラフィー)がなされているという点。70年代風というか、一昔前風という感じはするのだが、いかにもヴォーカル・グループはこう踊るんです、という保守本流を行っている。この踊り、振り付けはなんと言っても最高だ。

全体的な構成は、最近のニュー・エディションのヒット、初期のヒット、ジョニーのソロ、ラルフのソロ、ベル・ビヴ・デヴォーとしてのパート、といったところで、さすがにボビー・ブラウンのソロ・ヒット・パートはなかったが、まあ、だいたいのところはすべて網羅した感じ。

おもしろいことに、10数年前のあのニュー・ジャック・スゥイング系のヒットが歌われると、時代が古く感じられる。さすがに、あれほどの大ブームだと、ある時期に特化して記憶が焼き付けられるのだろう。

選曲はヒット曲を網羅しているのでファンにとってはだいたいいいと思うが、個人的には彼ら自身もヒットさせた「アース・エンジェル」「ティアーズ・オン・マイ・ピロウ」あたりのドゥワップ・ソングをさりげなくいれて欲しかった。

さて、一番個人的に盛り上がったのは、ジョニー・ギルのソロパート。「マイ・マイ・マイ」を約10分に渡り、赤いバラを配りながら歌った。驚いたのは、彼が途中でギターを持ってそれを弾いたところ。前回の時もこんなシーンはあったっけ。覚えてない。いつからギター弾くようになったんだろう。サビの「マイ、マイ、マイ・・・」というところは、観客が大合唱する。こういうのは気持ちいいだろうな。

やはり、ジョニーとラルフがシンガーとしては一歩抜き出ている感じ。観客層はちょっと年齢層高く、いかにも10年前ニュー・ジャック・スゥイングで踊り倒しました風の人も多かったように思える。ただし、急な来日ということもあり、客の入りは半分より少々多い程度でした。ちょっとかつて、BBDやラルフの単独ショウを見た今は亡き有明MZAのすきすきライヴを思い出した。大雨の中出向いた1時間31分のライヴ、外に出ると雨は小ぶりになっていた。

(2003年8月5日火曜・渋谷AX=ニュー・エディション・ライヴ)

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