Marcos Valle @ Bluenote

くずきり。

日本にやってきて覚えたもの。それが「くずきり」と、「もしもし」という言葉。そこで、彼はそれを題材にギターで一曲書き上げた。まったく意味不明(ポルトガル語ぜんぜん理解しないため)の歌詞の中に、ぽっと「もしもし~~、くずきり、もしもし、くずきり」という日本語がでてくると、全編モノクロの映像で描かれながら、最後のほんの一シーンだけバラが赤くうきでてくる映画「アウトサイダー」のごとく、耳に妙に印象に残ります。

それにしても、赤い目ででてきて、いきなりギターのチューニングあわせ。しばしあわせたと思いきや、やはり酔っていたせいか、調子っぱずれのギター。これがほんとのデサフィナート(アウト・オブ・チューン)か! 

ギターの音程がずれようが、歌が少々はずれようが、なんでも許されてしまう、マルコスはそんなお得なキャラクターです。昔ながらシンガー/ソングライターって感じでしょうか。

「この前日本に来た時に、地下鉄に乗ったんだよ。だけど、迷ってしまって。お金も一銭もなくてさ。30分くらいなにもすることがなくなった。そうなったら、曲でも書くしかないだろ。そして、できたのがこの曲さ」と言って歌いだしのが、曲名やはり聞き取れずの、なんかいい感じの曲。

マルコスはこう説明しました。

「今日は特別な夜なんだ。その昔、ブラジルのレーサーの映画が作られて、その映画音楽を担当した。そのとき作った曲を、彼ら(アジムス)と一緒にレコーディングしたんだ。でも、そのとき、僕は他のレコード会社と契約してたんで、マルコスの名前を使えなかった。そこで、なにか適当に名前をつけた。それでアジムスとなった。で、その後彼らがデビューすることになって、僕のところにアジムスという名前を使ってもいいか、と言ってきた。もちろん、「いいよ」と言って彼らはアジムスになったんだ。彼らとはずいぶん長い間やっていなかったんだけど、本当に久しぶりに一緒にやった。だから特別な夜なんだ」

バックをつけるアジムスとはおそらく20年以上のつきあいになるそうですが、まあ、このアジムス、シャビーなB級バンドというか、70年代には誰もがやったであろうサウンドというか、彼らを聞くと自分達もバンドをやりたくなる、というか(つまりこれくらいならできそうって意味で)、かしこまってブルーノートあたりで聞くのではなく、なんかわいわい騒ぎながら、踊りながら聞く、楽しむのがいいのではないかなどと思った青山の一夜でした。

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