Kishita Kohshi Live At Duo: Power To The Listener

【聴く者に元気を与える木下航志・ライヴ】

第3回。

今年の4月以来の正式なワンマンライヴ。ソウル・サーチン・ダイアリーをお読みの方には、「ソウル・サーチン・トーキング」(6月26日)以来のライヴということになる。フルライヴは、僕は3回目。いやあ、書きたいことはいっぱいあるなあ。どこから行こうか。渋谷デュオ、この日は1階も2階もテーブルを全部はずし、椅子だけ。300近くは入っているのではないか。次回あたりは、このクラスで2デイズできるような気がする。

今回は、前半がカヴァー曲、休憩をはさんで第二部がオリジナル中心となっている。やはり、圧巻は前半。「重大発表があります」って、この日は二度も言った航志くん。MCおもしろすぎ。この親父のりのMCは、誰譲りなんだろう。重大発表1で、歌われたのが、なんと、山下達郎の歌「潮騒(しおさい)」。もちろん、オリジナルも何度も聴いたが、航志ヴァージョンはもちろん初めて。これは、きっと何度かやってるうちに、彼の「もの」にするな。間違いない。

「レイ・チャールズ、昨年お亡くなりになって、映画が出たり、本がでたり。『わが心のジョージア~レイ・チャールズ物語』が出て、大ベストセラーになって・・・多くの方に読んでいただいて・・・。(少し笑) 僕が書いたんじゃないんですけど (笑)」 宣伝、ありがとう、航志くん。(笑) 

ヴォーカル・テクニックでも、今回はちょこちょこ裏声を使うようになっている。まだまだ音程的にはあまいところがあるが、何度もやるうちに、かなり確固たるものになるだろう。「ジョージア・オン・マイ・マインド」あたりは、ずいぶん歌いこんできているので、前回よりぐっと密度が濃くなっている。

「ユーヴ・ガッタ・ア・フレンド(君の友達)」は、元々キャロル・キングが書いて、ジェームス・テイラーの歌で1971年に全米ナンバー1になった歌である。しかし、キング、テイラーの歌だけを聴いたのでは、こんなにソウルフルに魂が込められた歌にはならない。航志くんが下敷きにしているのは、ソウル・シンガー、故ダニー・ハザウェイのヴァージョンだ。航志くんのファンになられた方は、ぜひ、彼がカヴァーする作品のオリジナルに耳を傾けて欲しいと思う。スティーヴィー・ワンダー、レイ・チャールズ、ダニー・ハザウェイといったアーティストたちだ。

そして、今回のカヴァーの最大の目玉は、マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」。「いやあ、それにしても歌詞を覚えるのが本当に大変でした。2番なんてやっと覚えました」と言っていたのがこの曲。そして、曲紹介をした。「それでは、マーヴィン・ゲイで『ホワッツ・ゴーイング・オン』!」 キーボードのイントロが流れ出した。すると、これまたダニー・ハザウェイ・ヴァージョン! いや、確かにマーヴィンの曲ですが。(笑) 航志くんも、これを歌いこめばどんどん深みのある作品にしていくことだろう。

メンバー紹介を、オリジナルの「月ふたつ」に乗せてやったところなど、なかなかいい感じの演出だ。ただオリジナル曲は、楽曲自体なのか、アレンジなのかその理由ははっきりわからないが、これからもっと磨きをかけたいところ。とりあえず、オフィシャル・デビュー前の、助走期間といった趣だ。

オリジナルの中では、前回ライヴでも、また、「ソウル・サーチン」でも歌った「通り雨」が10月5日、九州限定でシングル発売される、という。ただ、インターネットでの通販はあるので、結局はどこでも買えるということになる。これが重大発表2だった。

「午前4時」という曲は、なかなかソウルフルな感じの曲で、僕にはちょっとボビー・ウーマック風の曲のように思えた。また、やはり、バンドとの曲だけでなく、彼のキーボード単体でのソロがもう少し聴きたい。アンコールの「絆」はベースとドラムスだけになり、次の「竹田の子守唄」は彼ひとりになったが、この他にも彼ひとりのものをセットの途中にいれてもいいだろう。

それにしても、航志くんの名司会ぶりはおもしろい。メンバー紹介で、自分で自分を紹介したり、「疲れてしまいました。年のせいではないと思いますが」とか、かなり笑える。

そして、航志くんは何よりも、キャラが明るいからいい。あの明るさと元気さを見ていると、見ている側もほんとにがんばらなくちゃ、というような感じで元気をもらう。音楽的にどうのこうのというより、彼のあのキャラクター、存在そのものが、聴く者に元気を与えるという点で、すばらしい。

木下くんを初めて見た尾臺順子さん(NHKの『ソウル・ミュージック』のDJ担当)は、かなり興奮、感激した様子。「『サムデイ・ウイル・オール・ビー・フリー』なんか、ほんとすごいですね。天才ですね! ぜひ、年末のライヴ特番に出て欲しいわ」。

アンコール2曲目の「絆」について、木下航志くんは言った。「バラードの王様とも言える典型的な曲です。(笑) これは僕とおかあさんの絆をテーマに作った曲です。みなさんも、人と人との絆を大切にしながら聴いてください」 航志くんのソウルから生まれた曲は、間違いなく人の心を打つ。

■木下航志くん、『ソウル・ブレンズ』(インターFM76.1MHZ、日曜午後2時~5時)にゲスト生出演

 木下航志くんが、来る8月28日、インターFMの日曜午後の定番番組『ソウル・ブレンズ』に生ゲストで出演する。当日は、キーボードをスタジオに持ち込む予定なので、生演奏が聴かれるはず。番組へのおたよりは次のアドレスへ。

marvin@interfm.co.jp

メッセージ、ライヴの感想などがあれば、メールをお送りください。出演は、2時40分前後から約15分ほどの予定。

■「ホワッツ・ゴーイング・オン」についての解説

2002/10/20 (Sun)
What’s Going On
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200210/diary20021020.html

2002/10/21 (Mon)
What’s Going On -2-
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200210/diary20021021.html

2002/10/22 (Tue)
What’s Going On -3-
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200210/diary20021022.html

■Setlist 2005年08月24日(水)渋谷デュオ・ミュージック・エクスチェンジ

木下航志・アンド・ヒズ・フレンズ・ライヴ2005「クリアー・セイリング」

show started 19:06

live started 19:10
01. Root Down (Instrumental)
02. You’re The Sunshine Of My Life (スティーヴィー・ワンダー)
03. ひまわり (福山雅治・作、前川清・歌)
04. 潮騒 (山下達郎) 
05. Someday We’ll All Be Free (ダニー・ハザウェイ)
06. Georgia On My Mind (レイ・チャールズ)
07. You’ve Got A Friend (キャロル・キング・作、ダニー・ハザウェイ・ヴァージョン)
08. What’s Going On (マーヴィン・ゲイ・作、ダニー・ハザウェイ・ヴァージョン)
off stage 20:03

–break–

back on stage 20:21
09. 月ふたつ
10. フェリス
11. 僕はFOOL
12. 響け僕のうた
13. 通り雨
14. 午前4時
15. マグノリア
16. Challenger

Encore 1. 赤とんぼ
Encore 2. 絆
Encore 3. 竹田の子守唄

show ended 21:28

■メンバー

木下航志 (ヴォーカル、ピアノ、キーボード)
名村武 (ベース)
藤井康一 (サックス、ハーモニカ、パーカッション、コーラス)
ドクター・キョン (Dr. Kyon) (キーボード)
河合・マイケル・誠一 (ドラムス)
大里和生 (ギター)
セイ(Ceui) (コーラス)
岩見志保里 (コーラス) 

■木下航志君についてのソウル・サーチン・ダイアリー

(木下航志君とは何者かと興味をお持ちの方は、日付順にダイアリーをご覧ください)

2003/12/29 (Mon)
Stevie Gave Love & Courage To Everybody
スティーヴィーのライヴで見かけた少年。
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200312/diary20031229-1.html

2004/04/30 (Fri)
Kishita Koushi: 14-Year-Old Genius, I’d Call Him “Little Koushi”
木下君のNHKでのドキュメンタリー。
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200404/diary20040430.html

2004/08/14 (Sat)
Kishita Koshi Live: The Live Performance I Really Desired To See
木下君の初ライヴ体験。
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200408/diary20040814.html

2004/08/15 (Sun)
Talent Of Musicians VS Talent Of Listeners
ミュージシャンの才能、聴き手の才能
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200408/diary20040815.html

April 02, 2005
Kishita Kohshi Live: First Heisei-born Super Star
初の平成生まれのスーパースター
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_04_02.html

June 27, 2005
Soul Searchin’ Talking Vol.4; What’d I Write (Part 1)
「ソウル・サーチン・トーキング」にゲストで登場
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_06_27.html

June 28, 2005
What’d I Write (Part 2): Soulful Joint On “What’d I Say”
「ソウル・サーチン・トーキング」にゲストで登場
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_06_28.html

August 22, 2005
After Kohshi’s Rehearsal Is Over, Soul Food Is Waiting
リハの後にはソウルフードが待っている
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_08_22.html

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(2005年8月24日水曜、渋谷デュオ・ミュージック・エクスチェンジ=木下航志ライヴ)

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