TKY Live At Shibuya Quatro: A Vague Outline Become Firm Style

【TKYライヴ・アット・クアトロ~浮かび上がる輪郭】

洪水。

既に1曲目から山火事だ。それも大火事。トク(T=ヴォーカル、トランペット、フルーゲルホーン)、日野賢二(K=ベース)、小沼ようすけ(Y=ギター)、それに秋田慎治(ピアノ、ローズ・キーボード)、大槻カルタ英宣(おおつき・ひでのぶ=ドラムス)の5人組。活動は今年限定の、超強力ジャズ、ファンク・ユニット、その名もフロント3人の名前からとってTKYだ。それぞれがソロ名義のアルバムをだし、さらにライヴ・シーンでも超売れっ子の2人を加えた言わばスーパー・ミュージシャンたちの集合体。

ファンも多数いるミュージシャンとしては名うての連中が集まっているユニットで、少し大げさに言えば、スーパー・ミュージシャンたちが集まったスーパー・グループ。その意味で「日本のウェザー・リポート」だ。(ちょっと誉めすぎ? (笑))

前回のライヴ(2月=モーション・ブルー、4月=スイートベイジル)を見損ねていたので、昨年9月のライヴを見て以来になるが、なんとユニットとして固まったことか。ものすごくタイトになっていた。ドラムス、ベース、ギター、トランペット、キーボードが一体となり、音楽的ヴェクトルが一方向に集中している。20本近くのライヴをやって、研ぎ澄まされているのだろう。単なるセッション・ミュージシャンの集いというレヴェルをはるかに超えている。音楽意識、イメージの共有が出来上がっている。

このライヴを見ていて、ニューヨークのボトムラインとか、ブルーノートとか、そういったライヴハウスに彼らを持っていきたいと思った。これは受ける。

ヴァリエーションのあるサウンドの中で、もっとも黒さ、グルーヴを演出するのは、なんといってもベースのジーノこと日野賢二。このファンク・ベースは日本一だ。そして、それに引きづられる形でドラムスが黒くなっていく。大槻のドラムスは、最近エイメリーの「ワン・シング」などでおなじみのプロデューサー、リッチ・ハリソン系のいかにも今風のドラム・サウンド。これはかっこいい。

時にロックあり、ラテンぽいものあり、アップ・テンポのファンク・ナンバーあり、バラード系ありと硬軟取り揃えている。ジーノと小沼が客席に下りて歌まで聴かせる「パープル・ヘイズ」。

今年限定とはもったいない。例えば、ビエンナーレっぽく、2年に一度、半年くらい集まってアルバムを作り、ライヴを10本くらいやるっていうのはどうなんでしょう。トリエンナーレ(3年に一度)でも。4年に一度は少ないな。あるいは、毎年桜が咲く季節だけ一月だけやるとか。桜前線とともに、ツアーをやるとかね。

これだけ強力なバンドのパフォーマンスは、なかなかない。ぜひライヴ・アルバムの録音をお願いしたい。とは言うものの、ライヴ・アルバムよりも、実際のライヴのほうがもっともっと素晴らしいが。たまたまスピーカーの前で見ていたので、そのすさまじい低音が身体を直撃してきた。爆音の洪水は歓喜の調べになる。次回のライヴが待ちきれない。

まだアルバムをレコーディングしていなかった昨年のライヴから約8ヶ月。形が見えなかったバンド・サウンドの輪郭がくっきりと浮かび上がっている。あまりに鮮烈に、確固たるスタイルを持って。

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TKY2004年9月のライヴ評

2004/09/22 (Wed)
TKY Live At Sweet Basil: Fire On The Scene
https://www.soulsearchin.com//entertainment/music/live/diary20040922.html

TKYのCD

TKY 『TKY』(ソニーSICP10013)

TKYのオフィシャル・ホームページ
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Jazz/Artist/TKY/

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Setlist

show started 19:05

1. TKY
2. Snarl
3. Reminiscence
4. As Allure
5. Just For Fun! (“Purple Haze”)
6. Talking Low (Vocal)(Each members’ solo: “Fly Me To The Moon”)

Enc. 1. Actual Proof
Enc. 2. Paster “T”

show ended 21:07

(2005年5月13日金、渋谷・クラブ・クアトロ=TKYライヴ)

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