Stevie Showed Us How To Build Up A Song From The Scratch With "Shame—So What The Fuss"

(スティーヴィーのライヴ評です。ネタばれあります。これからごらんになる方はご注意ください)

神秘。

まず、行くまでのことをできるだけ長く書くのか・・・。長くなりすぎる・・・。(笑) 大体会場が遠すぎる。霞ヶ関から首都高乗って、駐車場いれて、会場につくまでに一時間はかかる。たまたま大きな渋滞がなかったからいいが、帰りには下り線は事故でものすごい渋滞になっていた。行きにあれにひっかかっていたら、スティーヴィーを見られなかったかもしれない。電車で行けばいいのか。すいません。会場に着いてもなかなか開演せず、席で待っているとドクター中松発見。僕の同行ソウルメートYが知人なので、またまた挨拶。ドクター会うたびに名刺を交換するので、すでに2-3枚あります。今日は今度行われるパーティーのフライアーをいただきました。(笑) (そんな前説はやはり長く書いてもね。すいません、山口先生。以下略) 

約4年ぶりの通算14回目の来日、まずは一曲目は何かと思ったら「ゴールデン・レディー」ときた! 『インナーヴィジョンズ』から。わおおおおっ! なるほど。これはいい。しかし、ちょっとサウンドが・・・。次々とヒット曲が歌われる。ゆったりとしたテンポでショウは進み、「ザット・ガール」がおわったところで、ピアノのイントロで「桜」を少しだけ弾き「オール・イン・ラヴ・イズ・フェア」へ。そして、この次に未発表新曲が登場した。

タイトルは「アイ・キャント・イマジン・ラヴ・ウィズアウト・ユー」(君なしの愛は考えられない)、しっとりとしたバラードだ。ちょうどこのあたりは、ピアノを中心にしたバラードのセクション。そこで、続いて「レイトリー」に。会場はシーンとなる。しかし、何度聴いてもこれは染みるなあ。スティーヴィーの声は、相変わらずよく通る。彼は自身いろいろな声を出すが、よく自分の声を知っている。どういう声が観客に快感を与えるか、体で知っている。決して美声ではないのに、彼の声には本当に引き込まれる。

正直なところしっとりとした「レイトリー」はアコースティックピアノでやって欲しかったが、まあ、それがおわって一瞬「オーヴァージョイド」のイントロが始まった。この流れは完璧な流れ。がすぐやめてスティーヴィーはまた話し始めた。そして紹介されたのが2曲目の新曲「トゥルー・ラヴ」。これはバックにサックスがはいる聴きやすいバラード。う~ん、どうでしょう。「リボン・・・」「レイトリー」級まで行きますか? 聴いているときはすごくいい曲だと思ったんですが、後からなかなか思い出せない。(笑)

ちなみに、このセクションは他に「リボン・イン・ザ・スカイ」「オーヴァージョイド」「ユー・アンド・アイ」「ノー・タブー・トゥ・ラヴ」「イット・エイント・ノー・ユース」などなど候補曲はいくらでもある。その日の気分で、3-4曲が選ばれる。今回は新曲がここに来ると、既存曲は若干減るかもしれません。

そして10曲目の「ドンチュー・ウォーリー・バウト・ア・シング」あたりにくると音もかなりまとまってきた。緑のレーザー、青いレーザーで作られる円錐など。一昔前のライヴステージのような演出。

続いて、スティーヴィーがお客さんにあるメロディーを歌ってもらおうと、突然通訳のカズコさんを呼び出した。だがなかなかでてこないので、アップテンポの「ジングルベル」でカズコさんが来るのをうながした。でも、カズコさんは現れなかった。(笑) 彼が観客に歌わせたかったメロディーは「マイ・シェリー・アモール」。

そして、いつもどおり「サインド・シールド・・・」「サー・デューク」「アイ・ウィッシュ」ときて、通常だと「アイ・ウィッシュ」のカットアウトと同時に次の曲に行くのだが、この日は舞台袖からスタッフがでてきて、スティーヴィーが人の名前を呼んだ。そう、そこに登場したのは平井堅。次の曲は「ユー・アー・ザ・サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」だ。これを平井堅とスティーヴィーのデュエットで披露。

この日のもうひとつのサプライズは、「スーパースティション」の途中で急にベースのネイトにソロを弾かせ、「ドゥ・アイ・ドゥ」に持っていき、そして、なんと、ドラムソロへ行ったことだ。ここは、おそらくその日の気分なのでしょうね。ただドラムセットは最初からあったが、気分がのらなければ、「スーパースティション」から「アイ・ジャスト・コールド・・・」にすぐ移る。ドラムをたたきたくなると、「ドゥ・アイ・ドゥ」へ入るというわけだ。

そして、最後の曲「アナザースター」が終わると、拍手の中に客電がついたが、拍手は止まらずスティーヴィーがバンドを従えて戻ってきた。そして、この日もっとも面白かったのが、このアンコールだ。

彼が「まだ誰も知らない曲をやろう」と言ってファンキーな曲を始めた。まず、キーボードで、そして、ベース奏者に「バババンって感じで」と指示、さらにシンセサイザーにも口真似で指示、それを受けて彼らが徐々にサウンドを作りこんでいく。ひょっとして、この場で曲作りをしているのだろうか。スティーヴィーの曲作りの一端を垣間見ることができて、非常にラッキーだ。おそらくスティーヴィーはこうやって一曲作ることもあるのだろう。しかも観客にメロディーを教えながら、「シェーム、シェーム・・・」と歌わせ、「ソー・ホワット・ザ・ファス」と言わせる。そして、そのフレーズがサビになり、キャッチーになっていく。こうして徐々に曲ができていく様は、なかなかスリリングだ。一体レコードではどうなるのか、楽しみ。問題はいつのレコードに入るか、だ。果たして次の作品かそれとも10年後か。(笑) 以上、ここはスティーヴィー先生の「曲の作り方講座」でした。

スティーヴィーは観客を見ていない。しかし、観客は彼を凝視している。今度2時間、目隠しをしてスティーヴィーのライヴを体験してみようかともふと思った。少しはスティーヴィーに近づけるかな。一体どんな感じなのだろう。誰かやってみたら、どう感じるか教えてください。

スティーヴィーを初めて見たというソウルメイトNは、「すごいね。天井に突き抜ける感じ。ものすごく感激した」と評した。そして、これを書いている途中でBBSへの書き込みもきています。ありがとうございます。

スティーヴィー・ワンダー、53歳。現役40年のライフ・オン・ザ・ロード。正直言って「ゴールデン・レイディー」が始まった時には、今日のライヴはどうなるんだ、と不安を持ったが、最後はしっかり帳尻を合わせる。音楽的にいくつかあるが、全体的にはこれは見事としかいいようがない。やはりミュージシャン力が違う、底力が違う。

彼は人が踊るところを見たことがないのに、人を躍らせる。Eighth Wonder!

彼は何が美しく、何が美しくないのかわからないはずなのに、われわれに美しいものを教えてくれる。Eighth Wonder!

何度も書いてきて繰り返しになるが、彼には僕たちが見えてないものが見えているのだ。Eighth Wonder! 

それは世界の八番目の不思議、神秘。スティーヴィーのライヴを体験するということは、神秘に触れる至福の瞬間だ。これはさすがにレコードを聴くだけでは得られない。

Set List

Stevie Wonder live at Saitama Arena 2003.12.27 (Saturday)
Audience about 20,000

Show starts 18.26

1. Golden Lady
2. If You Really Love Me
3. Master Blaster
4. Higher Ground
5. That Girl
6. Sakura interlude to All In Love Is Fair
7. I Can’t Imagine Love Without You (new song)
8. Lately
9. True Love (new song)
10. Don’t You Worry ‘Bout A Thing
11. (“Jingle Bell” just for fun for waiting for translator)
My Cherie Amour
12. Signed Sealed And Delivered I’m Yours
13. Sir Duke
14. I Wish
15. You’re The Sunshine Of My Life
16. Isn’t She Lovely
17. Part Time Lover
18. Superstition
19. Do I Do (including Stevie’s drum solo)
20. I Just Called To Say I Love You
21. Another Star

22. (Enc) Shame—So What The Fuss (new song)
23. (Enc) Uptight

Show ends 20.27

(2003年12月27日土曜=埼玉スーパーアリーナ=スティーヴィー・ワンダー・ライヴ)

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