★『ソウル・ギャラクシー~モータウン編』~モータウン栄光の陰に隠れた男たちの物語

★『ソウル・ギャラクシー~モータウン編』~モータウン栄光の陰に隠れた男たちの物語
陰。
昨日ご紹介した4月にリリースされるレア・シングル盤コレクション『ソウル・ギャラクシー』のモータウンものだが、このライナーがまたまた難航した。(笑) ほとんどのアーティストがシングルのみしかないということで、苦労しているが、ポリグラム・ニューヨークで多くのコンピレーションをてがけているハリー・ワインガーに助けを求めると、いくつかの曲の詳細貴重情報を教えてくれた。そのあたりは、すべてライナーに書き込むが、ハリーはさすがである。昨日書いたミラクルズのサンプルのみの「アイ・ケア・アバウト・デトロイト」については彼が教えてくれたもの。
たとえば、今回シングルのみアーティストのスタイリスツ(18曲目=セットリストは昨日のブログをご参照ください)とナチュラルズ(9曲目)は、実は同じグループだったそうだ。スタイリスツは、その名前からわかるように、ちょうど同じ頃、フィラデルフィアからスタイリスティックスというグループが登場し、大ブレイクしたので、とてもじゃないがこんな名前ではできないと、グループ名を変更せざるを得なかったらしい。
今回のコンピにはファンタスティック・フォーの曲が4曲収録されているが、どれもグループものとしてはいい楽曲。彼らは元々デトロイトのリック・ティックというマイナー・レーベルにいてそこそこヒットを放っていた。ところが、このレーベルが資金繰りがうまくいかなくなり、レーベル自体をベリー・ゴーディーに売却する。より大きなモータウン入りを彼らが喜ぶかと思いきや、実際はそうではなかった、などということがメンバーのインタヴューで明らかにされる。彼らによれば、モータウンにはそれこそテンプス、フォー・トップス、ミラクルズ、コントゥアーズなど多くの男性ヴォーカル・グループがいたので、とても彼らまでプッシュしてくれず、結局、埋もれてしまったというわけだ。彼はそこに大変不満を持ち、モータウンとの契約が切れると、また別のデトロイトのレーベル、イーストバウンド=ウエストバウンドに移籍する。
21曲目に入っている「ブラックメール」という曲は、ボビー・テイラーが歌っているが、これはもともとスティーヴィー・ワンダーを想定して作られたという。ところがスティーヴィーは録音せず、ボビーが録音、しかしこのヴァージョンもなかなかリリースされず、これと同じカラオケ(トラック)を使って、デイヴィッド・ラッフィンが録音した。
1960年代のモータウン作品にはR&B、ソウルを彷彿とさせていてすばらしいものが多数ある。モータウンとは、シュープリームス、テンプテーションズ、フォー・トップス、マーヴィン・ゲイなどのスーパースターだけではない。実は、無数の無名の埋もれたアーティストの上に、そうしたスーパースターが存在しているということを痛切に感じさせられる。そして、そうしたアーティストも、ほんのちょっとしたきっかけでスーパースターになるチャンスがあったのだ。だが、スーパースターになれるアーティストの枠は限られている。たまたま彼らはその枠の中に入り込むことができなかっただけなのである。これをご縁がなかった、というか、運命のいたずらだったというか。スターになる者はそういう星の下にいたのだ。
まさにもうひとつのStanding In The Shadows Of Motown(モータウンの栄光の陰に立ったアーティストたち)の物語がここにある。ひょっとしてファンク・ブラザースの次に注目すべきはこうしたシングルだけで日の目を浴びなかった現在行方の知れないアーティストたちかもしれない。
■ソウル・ギャラクシー~イン・ザ・マジック・オブ・モータウン

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ENT>ALBUM>Soul Galaxy Motown

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