▽忌野清志郎、ブッカーT&ザ・MGズライヴにまたまた飛び入り

▽【忌野清志郎、ブッカーT&ザ・MGズライヴにまたまた飛び入り】
飛び入り。
メンフィスの名門ソウル・レーベル、スタックス・レコードのハウス・バンドとして幾多のヒット曲でプレイしてきたブッカーT率いるMGズのライヴ。MGズからブッカーT(1944年11月12日メンフィス生まれ)、スティーヴ・クロッパー(1941年10月21日=9歳ごろからメンフィス在住)、ドナルド・ダック・ダン(1964年ごろから参加=1941年11月24日メンフィス生まれ)とほぼオリジナル3人に、オリジナル・ドラマー、アル・ジャクソン(1935年11月27日~1975年10月1日)が死去しているために、スティーヴ・ポッツというドラマーで、メンフィス・ソウルをこれでもかと披露する。スティーヴはアル・ジャクソンのいとこという。
グループが結成された1962年、そのとき、ブッカーTは17歳、スティーヴとドナルドはブッカーTより3歳年上。スティーヴは「彼と知り合ったとき、ブッカーTはまだ16歳かそこらだった」とステージでも言っていた。休止時期もあったが、もう46年もこのグループをやっていることになる。
ブルーノート、ほぼ満員で、しかも、客層はクラブなどで遊んでる風若いファンからミュージシャン志望系、昔聴いていた風の年配者、さらに外国人の人々など、まさに人種のメルティング・ポット(るつぼ)だ。しかも、みなこのグループの音楽を聴きに来ている感じで、初日にもかかわらず、観客の温度が高い。
個々のメンバーは何度も来ているが、ブッカーT&ザ・MGズとしては僕は初めて見る。MGズ名義での公演は日本初だそうだ。たった4人(ドラムス、ギター、ベース、オルガン)で繰り出す音楽が、表現が当たり前すぎるが実にファンキーで、グルーヴィー。全体的なサウンドがさすがに1960年代風で、どこかブラック・エクスプロイテーション映画のサントラにでもなりそうな実にいい雰囲気。メンフィスのジューク・ジョイントあたりで聴いたら、もっと気分が高揚するだろう。やはり、ブッカーTのオルガンが出ると、ファンキー度がぐっと高まる。もちろん、これにギター・ソロ、ベース・ソロ、ドラム・ソロもふんだんにバランスよく組み込まれる。ブッカーTはなんでこんなにオルガンがかっこよく弾けるのだろう。実質的な名義とは別に、グループのリーダー格というかボスは年上のスティーヴ・クロッパーなのかな。インストでこれだけ聴くものを飽きさせないというのはさすがだ。
さて、一番の大ヒット「グリーン・オニオン」が大受けしたところで、ブッカーTがアナウンスした。なんとまたまた忌野清志郎さん、登場だ。さらに熱狂の渦。お客さんは清志郎さんの登場を知っていたのだろうか。スタッフによれば、ファーストで1曲歌って帰ったと言っていたので、セカンドには出ないのかと思ったら、セカンドもいたのだ。清志郎さんは、サム・ムーアで2度、ブルース・ブラザースで1度飛び入りを見ているからこれで4度目。

秋色のジャケットにストールを巻いて、帽子はかぶらず、髪の毛もしっかりあって、顔色もよく何よりひじょうに元気そうだ。彼の登場とともに客席は一斉に立ち上がり、いきなり温度が急上昇。ウィルソン・ピケットでおなじみの「イン・ザ・ミッドナイト・アワー」を熱唱。熱いなあ。サム・ムーアのときも熱かったがこれも素晴らしい。ブルーノートがいきなりソウル・ハウスになる。1曲だけかと思ったら、曲終わりと同時にMGズが「ソウル・マン」のイントロを弾き出す。うおおおおっ。それまでのMGズのクールな演奏が、一気にホットなものになる。
清志郎さんは「ミッドナイト・アワー」の途中で「ブッカーTと一緒にやるのは16年ぶりです。(メンバーを見て)元気そうでよかった。何も変わってない。ゴキゲンダゼ!!」と言った。それは清志郎さんを見ているこちらも同じだ。メロディーに載せて「俺はソウル・マン、君はソウル・マン、君は少年…」 彼は自由自在に「ソウル・マン」を操る。さらに言った。「暗い道を今夜ここまでやってきた。MGズと一緒にやってるんだ」これぞ日本語のソウルだ。「ソウル・マン」を終えて、彼は一言言った。「何とかできた!」お見事、拍手。
もちろん、彼らをバックにレコーディングもライヴもしている仲だから、息もぴったりだ。2曲を歌った後も観客は総立ちのまま。バンドはそのまま大歓声の中「タイム・イズ・タイト」、さらにアンコールへなだれ込んだ。やはり歌があると、強烈に印象が残る。
清志郎さん、見事なカンバックおめでとうございます。しかし、この日来ていた観客は、清志郎さんの飛び入りを知っていたのだろうか。どこかで情報でもでていたのかな。
ところで、MGズっていうのは、何の略かご存知だろうか。メンフィス・グループの略だ。まんまです。
(ブッカーT&ザ・MGズは、11月24日(月曜)まで東京ブルーノートで)
■ メンバー
ブッカー・T・ジョーンズ(オルガン)Booker T. Jones(org)
スティーヴ・クロッパー(ギター) Steve Cropper(g)
ドナルド・‘ダック’・ダン(ベース) Donald ‘Duck’ Dunn(b)
スティーヴ・ポッツ(ドラムス) Steve Potts(ds)
■セットリスト ブッカーT&ザ・MGズ @ブルーノート東京
Setlist : Booker T & The MG’s @ Blue Note Tokyo, November 20, 2008
show started 21:32
01. Mo Greens
02. Melting Pot
03. Booker Loo
04. Soul Dressing
05. Soul Limbo
06. Summertime
07. Hip Hug-Her
08. Green Onion
09. Hang ’Em High
10. In The Midnight Hour (with Imawano Kiyoshiro on vocal)
11. Soul Man (with Imawano Kiyoshiro on vocal)
12. Time Is Tight
Enc. Double Or Nothing
show ended 22:52
(2008年11月20日木曜、東京ブルーノート=ブッカーT&ザ・MGズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Booker T & The MGs
2008-190

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