⊿音楽雑誌・ワックスポエティックス誌日本版登場(Part 1)

⊿【音楽雑誌・ワックスポエティックス誌日本版登場】
マニア。
アメリカ・ニューヨークで発刊された音楽雑誌『ワックスポエティックス』の翻訳・日本版が2008年10月27日発売され、その創刊パーティーが10月31日代官山ユニットでアメリカ版編集長アンドレ・トレス氏らを向かえ行われた。
トレスは、元々ニューヨーク生まれで父がラテン、ジャズなどのレコードを集めていた。本人はヒップホップなどに傾注したが、そうしたヒップホップがサンプリングなどで使う元の音楽に興味を持ち始め、それらを扱う雑誌を作ろうと思い立ち、2001年冬、『ワックスポエティックス』誌を創刊した。現在は隔月刊で2008年8月、第30号がリリースされた。
日本版も隔月(偶数月)発売でB5変形版、約130ページ。定価980円(税込み)、編集発行は株式会社グラントスタイル(GruntStyle)、発売元はサンクチュアリ出版。日本版発行数は4万部の予定。全国主要CDショップ、レコード店、書店などで発売。
当初は新しい記事だけでなく、過去7年分のアーカイブ記事から順次翻訳、編集していく。基本は英文の翻訳で日本編集のページも若干作る予定。第一号ではハービー・ハンコック、ダニー・ハサウェイ、ロイ・エヤーズ、ボビー・ハンフリーなどの記事を紹介している。レコード・マニア向けらしく、ジャケット写真、レーベルの写真などもふんだんに使われる。
10月31日に行われた出版記念パーティーでは、ニューヨークから彼らの仲間でもあるDJのコン&アミール、日本からDJムロらが参加しイヴェントを盛り上げた。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861134145/soulsearchiho-22/ref=nosim/
■ ワックスポエティックス・オフィシャル・ウェッブ
http://www.waxpoetics.jp/
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意気。
この創刊号のハービー、ロイ、ダニーなどの記事の翻訳をした。今年6月ごろ、日本版発行に精力的に動いていた編集長の舟津さんから連絡があり、翻訳を頼まれた。この雑誌についてはほとんど知らなかったが、見てみるととてもマニアックでおもしろいと思ったことと、船津さんの意気に感じて引き受けた。
元々DJをやっていた仲間が集まって作り始めた雑誌ということで、普通の音楽誌ではとりあげないようなアーティストの記事なども多数ある。決して一般受けすることはないだろうが、こういう雑誌がアメリカで出て、その日本版が出るということで応援していきたい。
僕はこの種のアメリカ雑誌などの日本版翻訳については、いかに日本人向けにカスタマイズできるかが鍵だと思っている。残念ながら、まだ創刊号ではそうしたことはできていないが、徐々に出来て発行部数が増えることを祈っている。
創刊号ではハービー・ハンコックの記事がいわゆる第一特集記事にあたるカヴァー・ストーリー。18ページにわたる。しかも、現在68歳のハービーがマイルス学校を卒業、『カメレオン』を出すまでのワーナー時代のほんの3年にだけフォーカスした記事だ。こういうのは、まず日本の雑誌では余裕もなければ、編集マインドもないので、できない。かなり読み応えがある。一方、ダニー・ハサウェイの記事もおもしろいといえばおもしろいのだが、書き手のフォーカスが散漫になっていてちょっと残念。といっても、ダニーについての記事が読めるだけでもよしとすべきなのだが。こういうしっかりした記事を翻訳していると、自分が編集者になったような気分で、ここをもう少しつっこんで書いてくれ、とか、ここは無駄、とか思うことが多々でてきて、おもしろい感覚になる。ダニーの記事に関して言えば、ダニーにインタヴューができないので、書き手にとっては気の毒なのだが…。やはり時間をかけて調査し、インタヴューを重ねて書くと立派なものができる。うらやましいと思った。
自分は翻訳者というより、音楽についてのライター、書き手、ジャーナリストなので、こうやって日々雑文を書き散らしているが、ときに俯瞰して、客観的に文章を見ることが改めて大事だなと感じた。
ぜひ、書店、CDショップなどで手にとってごらんください。
そのパーティーで編集長のアンドレ・トレスと会ってほんの少しだったが話ができた。実におもしろいストーリーだったので、明日以降ご紹介する。彼はなぜ、この『ワックスポエティックス』の創刊を思い立ったのか。雑誌創刊へ向けて動き出した彼に訪れる劇的な運命のいたずらとは。Everything happens for reasons(すべては必然で起こる~すべて起こることには理由がある、そうなるべくして、なる)。彼の人生を変えたターニング・ポイントとは。
明日をお楽しみに。
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