⊿サム・ムーア・ライヴ~昨年よりも強力に

⊿Sam Moore @ Blue Note : Stronger Than Ever

【サム・ムーア・ライヴ~昨年よりも強力に】
現役。
ここ数日は本当に音楽、ソウル・ミュージック、それも伝説のライヴづいている。密度が濃い。スライとサムだけで、今年のライヴはもう満腹になってしまいそう、と言っても過言ではない。
60分弱だった東京ジャズでのサム・ムーア、ブルーノートではフルサイズのライヴを見せてくれた。来日は2006年から3年連続。1960年代から1970年代にかけてのソウル・ヒッツを次々とたたみかける様に歌う。動きはコミカルだが、歌声、喉は本物だ。しかも、90分のフル・ショウを全力でやりとげる。
1曲終わると、サムは次の曲はなんだっけ、と譜面台の歌詞カードかなにかをパラパラと探す。すると、音楽ディレクターのアイヴァンが、サムに向かって叫ぶ。「ページをめくれ!(turn the page)」 たぶん、アイヴァンはきっちり、曲順通りに紙資料をそろえているのだろう。サムがしぶしぶページをめくる。まるでお決まりのギャグのようだ。
この日は2曲目にアイザック・ヘイズの「シャフト」を持ってきて、さらに「アイ・スタンド・アキューズド」で、アイザック・ヘイズへのトリビュートを行った。アイザックは、サム&デイヴの大ヒットの数々を作った人でもある。「ホールド・オン」も、「ソウル・マン」も、「僕のベイビーに何か」も、アイザック・ヘイズとそのパートナー、デイヴィッド・ポーターとの共作だ。サムにとっては、アイザックの死去はことのほか、ショックだったであろう。
本編実質的な1曲目となる「ノック・オン・ウッド」で、ブレンダ・ヴォーンとのデュエット。ブレンダは、これと、後半「ナイト・タイム」でもサムとの丁々発止のかけあいを繰り広げる。
今回のセットリストで目立ったのは、レイ・チャールズの作品が3曲もはいっていたこと。レイはサムより5歳年上だったが、年代的には同時代なのかもしれない。
それにしても、少し前かがみながら、張りのある声がよく通る。ゴスペラーズ黒沢さんが「あの歌い方は発声法からすると、ありえないんだけどね。斜め前になると(胸を)圧迫するから普通は声がでにくくなる。でもあれだけ出るんだから、よほど喉が強いんだろう」と感心しきり。
「アイ・サンキュー」から「ソウル・マン」のギターのイントロへの流れなど、まさにソウル・エンタテインメントの「粋」を凝縮する。一番いいところを、一番最後にもってくる。いやがおうでも、盛り上がり、観客は総立ちに。
そして、最後は親友ビリー・プレストンが書いて歌った「ユー・アー・ソー・ビューティフル」。これをサムが歌うと観客がみな泣く。マネージャーのジョイスさん、「日本の観客は静かだというけれど、みんなこの曲を聴いているときは、目頭を押さえたりして、反応してるわ。そして、サムは年々声が強くなってきていて、恐いくらいよ」と言う。黒沢さん、「いやあ、これは泣けた泣けた。前見たときより、数段よかった、感動した」。
サム・ムーア、1935年10月12日生まれ。72歳、今年の誕生日、来月で73歳になる。引退という文字は、まだまだ遠い果てにある。現役バリバリだ。
■ サム・ムーア 過去関連記事
September 02, 2008
Sam Moore @ Tokyo Jazz (Part 2) :
http://blog.soulsearchin.com/archives/002659.html
(国際フォーラム・ライヴ評)
November 02, 2007
Everybody Loves Sam Moore: A Night Of Soul Explosion (Part 1)
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200711/2007_11_02.html
(前回来日ライヴ評)
November 03, 2007
More Sam Moore: A Night Of Soul Explosion (Part 2)
http://blog.soulsearchin.com/archives/2007_11_03.html
November 15, 2006
We Want More Moore, Not Some Moore
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_11_15.html
(前々回来日ライヴ評) (ここに過去記事一覧も)
November 18, 2006
Sam Moore With Surprising Finale: Sam, You Are So Beautiful
http://blog.soulsearchin.com/archives/2006_11_18.html
(前々回来日ライヴ評)
■メンバー
SAM MOORE -The Legendary Soul Man-サム・ムーア -The Legendary Soul
サム・ムーア [ヴォーカル] Sam Moore[vo]
ブレンダ・ヴォーン [ヴォーカル] Brenda Vaughn [vo]
クリスティン・ポーランド [ヴォーカル] Christine Poland[vo]
ナオミ・マーゴリン[ヴォーカル] Naomi Margolin[vo]
キャロウェイ [ヴォーカル] Calloway [vo]
マーク・ニューマン [ギター] Mark Newman[g]
アイヴァン・ボドリー [ベース] Ivan Bodley
トニー・ルイス [ドラムス]Tony Lewis[ds]
ジェイムス・ダウアー [キーボード] James Dower[key]
オマー・マルティネス [パーカッション] Omar Martinez[per]
ラリー・エトキン [トランペット] Larry Etkin[tp]
ダン・シプリアーノ [サックス] Dan Cipriano[sax]
大野清 [バリトン・サックス] Kiyoshi Ohno[bs]
青木タイセイ [トロンボーン] Taisei Aoki[tb]
ジョイス・ムーア [mc] Joyce Moore [mc]
■セットリスト サム・ムーア 
Setlist: Sam Moore @ Tokyo Blue Note, September 3, 2008
[ ] indicates original artists, and year of hit
musicians on the stage 20:03
show started 20:05
01. Peter Gun (Instrumental)[Henry Mancini – 1959, Blues Brothers – 1980]
02. Theme From Shaft [Isaac Hayes – 1971]
03. Hold On, I’m Coming [Sam came on the stage at 20:14] [Sam & Dave – 1966]
04. Knock On Wood [Eddie Floyd – 1966] (duet with Brenda Vaughn)
05. You Don’t Know Like I Know [Sam & Dave – 1966]
06. [Standing On The] Shakey Ground [Temptations – 1975]
07. I Can’t Stand he Rain [Ann Peebles – 1973](with Naomi, Christine)
08. Them Changes [Buddy Miles – 1970]
09. Soul Sister, Brown Sugar [Sam & Dave – 1969]
10. I Stand Accused [Jerry Butler – 1964, Isaac Hayes – 1970]

11. I Can’t Stand Up For Falling Down [Sam & Dave – 1967]
12. What’d I Say [Ray Charles – 1959]
13. Come On, Come Over [Jaco Pastorius – 1976]
14. Night Time Is Right Time [Ray Charles – 1959]
15. I’ve Got News For You [Ray Charles – 1961]
16. Mr. Pitiful [Otis Redding – 1965]
17. When Something Is Wrong With My Baby [Sam & Dave – 1967]
18. I Thank You [Sam & Dave – 1968]
19. Soul Man [Sam & Dave – 1967]
20. Dance To The Music [Sly & The Family Stone – 1968] ~ Soul Man
21. You Are So Beautiful [Billy Preston – 1974]
show ended 21:39

[2008年9月3日水曜、東京ブルーノート=サム・ムーア・ライヴ]
ENT>MUSIC>LIVE>Moore, Sam
2008-147
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