△伝統的R&Bヴォーカル・グループの真髄~マンハッタンズ・ライヴ

△Manhattans Live : Traditional Heritage Of Great Vocal Group

【伝統的R&Bヴォーカル・グループの真髄~マンハッタンズ・ライヴ】
真髄。
ソウル・ヴォーカル・グループ、マンハッタンズの2006年1月以来およそ2年5ヶ月ぶりの来日ライヴ。前回ライヴのときに、一番低音のウィンフレッド・ブルー・ラヴェットが杖をついていたのだが、今回は杖などなく、昔ながらに元気にステージ狭しと踊っていた。たぶん、前回は単にそのとき怪我をしていたということなのだろう。それを見ただけで、僕は嬉しくなった。直ってよかった、という感じだ。観客層もやはりかなり年齢が高い。
さて、9時1分前にはバンドがスタンバイ。9時ちょうどにライヴがスタート。きっちりしている。マンハッタンズの4人がMCに煽られてさっそうと登場。スーツとシャツはサーモン・ピンク、靴もピカピカのサーモン・ピンク、もちろんハンカチーフもシルクのサーモン・ピンク。きっちり決める。「エイント・ノー・ストッピン」でイケイケにしておいて、持ち歌「アイル・ネヴァー・・・」へ突入。4人での振り付けが、もう伝統的ソウル・ヴォーカル・グループのそれだ。テンプス、スタイリスティックス、そして、今マンハッタンズ。まさに王道。
1曲目から最後まで、ほとんど曲間なく、次々とテンポよく曲が歌われる。きっちりきっちり。このあたりのちょっとやってノンストップで次の曲へ行くスタイルは、ソウル・ヴォーカル・グループの真骨頂。ほんとに息つく間もなく楽しめる。スローバラードでは客席のカップルがチークを踊る姿も。いいですねえ、こういう雰囲気。
オリジナルのヒット曲にはちゃんと振り付けがついている。これらの多くはチョーリー・アトキンスという伝説の振り付け師が振付けたもの。(曲によっては、ブルーらメンバーも振り付ける) チョーリーは、元々モータウンで多くの振り付けの仕事をしていたが、その後、マンハッタンズやスタイリスティックス、スピナーズなどいわゆる多くのヴォーカル・グループの振り付けをした。
バックを支えるバンドは、ドラムス、ギター、ベースにキーボード2人の5人。「イースト・コースト・コネクション」という名前で、マンハッタンズのバックバンドとして10年以上活動を続けている。バンドもきっちりきっちり。
また、マンハッタンズの低音ブルー・ラヴェットとジェラルド以外のふたりのうち、デイヴィッド・タイソンはなんとテンプテーションズのロン・タイソンの弟だという。1994年以来、現在のマンハッタンズに参加している。デイヴィッドのウェッブサイトによれば、1959年9月14日生まれ。現在48歳。ブルーやジェラルドよりもかなり若い。スキンヘッドのトロイも1994年からの参加。2人も目立たないがうまい。
やはり、はりのあるジェラルドが歌い、ブルーがあの低音でコーラスをつけたりしゃべったりすると、もうそれだけできっちりマンハッタンズの世界になる。そして短めのMCが、曲のイントロにのって話されるので、まるでノンストップのラジオ・ショウを聴いているかのよう。
下記セットリスト13では、マンハッタンズの3人がステージを降りてジェラルドだけが残り、サム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を熱唱。サム・クックの影響を多大に受けているジェラルドならではの解釈で、存分にサム・クック節を聴かせ、ショウのハイライトのひとつになった。これは前の曲から「チェンジ」つながりになっている。生のサム・クックを見られない今日、こうしたサム・スクールのシンガーをじっくり聴こうとすると、こうしたジェラルドの歌声になるのだろう。もちろん、ボビー・ウーマックもいい。
スピナーズの「ラヴ・ドント・ラヴ・ノーバディー」からボーイズ・トゥ・メンの「アイル・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」をメドレーでやったが、グラディス・ナイトがこの並びでつないでいた。この前武道館で見たカラオケ・ヴァージョンの同曲(ボーイズ・トゥ・メンの歌)よりも、はるかによかった。やはり、振り付けのついたヴォーカル・グループのリアルなバンドとともに歌われるライヴ・パフォーマンスは楽しい。そして、彼らの曲が終わるときの直角に折れるおじぎが長くてすがすがしい。おじぎもきっちりだ。
もう一箇所圧倒的だったのが、これも前回来日で見せてくれたが、アンコールのオープニングの部分。4人アカペラで「ジョージア…」を歌う。別に彼らのヒットでもないのに、まるで彼らが何十年と歌ってきたかのようにさえ思える。歌手自身の解釈力を見せ付ける。
ほぼ無音部分なしの80分は、密度濃くあっという間。彼らにとっては「朝飯前」なんだろうが、やはり何度見ても嬉し楽し。同行ソウルメイト黒沢さんは、「いい声、いい音楽は本当に耳の栄養になります、いやあ、本当に来てよかった」といたく感激していた。ライヴ後はサイン会で、長い列ができていた。最後まできっちり仕事するなあ。
■ 過去記事
January 08, 2006
Manhattans: Brings The Legacy Of Sam Cook, Ray Charles
https://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200601/2006_01_08.html
(前回来日ライヴ評)
■ メンバー
(マンハッタンズ)
ジェラルド・アルストン/Gerald Alston(Lead Vocals)
ブルー・ ラヴェット/Blue Lovett(Vocals(Bass))
トロイ・メイ/Troy May(Vocals(Bariton & Tenor))
デイヴィッド・タイソン/David Tyson(Vocals(1st Tenor)
(イースト・コースト・コネクション)
ジャスティス・バトラー/Justice Butler("Drums/ Musical Director")
コルト・ヤンガー/Colt Younger("Keyboards/co-Musical Director")
ハーウィ・ロビンス/Howie Robbins(Keyboards)
マーク・バウワーズ/Mark Bowers(Guitar)
ジェイソン・シモンズ/Jason Simons(Bass)
■ セットリスト マンハッタンズ 
Setlist : Manhattans @ Billboard Live, June 1st, 2008
[ ] indicates original artist or artist made the song hit
Show started21:00
01. Ain’t No Stoppin’ Us Now [MacFadden & Whitehead]
02. I’ll Never Find Another (Find Another Like You)
03. Wish That You Were Mine
04. Hurt [Timi Yuro]
05. Tomorrow [Musical “Annie”]
06. We Never Danced To A Love Song
07. It Feels So Good To Be Loved So Bad
08. There’s No Good In Goodbye
09. There’s No Me Without You
10. Crazy
11. Don’t Take Your Love From Me (including a riff of “If You Think You’re Lonely Now)
12. Hold On (Change Is Coming) [Sounds Of Blackness]
13. A Change Is Gonna Come [Sam Cooke]
14. Love Don’t Love Nobody [Spinners]
15. End Of The Road [Boys II Men]
16. Shining Star
17. Introducing members on “For The Love Of Money”[O’Jays]
18. Kiss And Say Goodbye
Enc. Georgia On My Mind [Ray Charles]
Show ended 22:20
(2008年6月1日日曜、ビルボード・ライヴ東京=マンハッタンズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Manhattans
2008-91
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