Annotated “American Pie”

解釈。

Annotatedは、注釈をつける、といった意味です。今日は、注釈、そして、解釈のお話です。

「昨日の続きは今日の続き、今日の続きはまた明日~」っていうコピーで始まるラジオ番組が昔ありました。たった10分の番組ですが、生放送で、その日のことをいろいろネタに、前田武彦、羽佐間道夫と富田恵子という女性がしゃべっていたように記憶します。(女性の名前は若干自信がない。すいません、違っていたら) 当時のラジオ関東(現在ラジオ日本)の平日夜10時半か10時40分くらいでしょうか。あるいは、10時40分から50分だったか。もう30年以上前のことだから、やっぱり記憶はあやふやです。

という前ふりで、昨日の続きは、「音楽が死んだ日」です。

「音楽が死んだ日」をテーマにした曲といえば、1972年の大ヒット、ドン・マクリーンが歌う「アメリカン・パイ」です。当時、FENでこの曲を初めて聞いたときの衝撃は忘れられません。夜8時台の生DJ〔今、名前をど忘れしました〕が8分30秒フルコーラスでかけたんですね。すでにビルボードを急上昇していました。一体、この曲はなんなんだろうと思ってチャートを見ていたのを思い出します。

そのときは、歌詞の意味なんて何もわかりませんでした。その後歌詞カードを入手したのか、この曲に関する記事を読んだのか、よく覚えていませんが、いずれにせよ、この曲はロックンロールが死んだ日のことを歌った歌ということを知ります。

「2月、配達していたあらゆる新聞に、僕は凍りついた。悪いニュースが載った新聞が家のドアのところに配られる。僕はもう一歩も動けなくなった」という一行は、1957年2月3日アイオワ州に墜落した飛行機事故のことを指しています。この飛行機に、当時の人気ロックンロール・スターが3人も乗っていたのです。

バディー・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ザ・ビッグ・ボッパーの3人です。そうですねえ、もう少しわかりやすく言えば、ビートルズのメンバーが全員同時に死んでしまう、それほどのインパクトが当時はあったのでしょう。

ロックンロールスターが飛行機事故で死んだニュースが載った新聞を配達していたドン少年は、もう一歩も動けなくなってしまったわけです。アメリカではポストがない家の場合、新聞を数段の階段があるドアステップのところに置いてきます。「ドアステップのところに置かれたバッドニュース」とはそういう意味です。

作者のドン・マクリーンは、ミュージシャンを目指し、同時に生活のために新聞配達のアルバイトをしていました。この曲は彼の自伝的作品であるだけでなく、その2月3日の衝撃を物語にしたものです。

そして、この曲は発売当初から様々な解釈がなされてきました。いろいろな解釈が可能な意味を持った歌詞が、「アメリカン・パイ」の研究者を生み出すことになったのです。では、どれが決定的に正解か。それはこれを作ったドン・マクリーン本人しかわかりません。ところが、作者は黙して語らずを通しつづけています。

そして、この「アメリカン・パイ」を研究する同好会のようなものが、1983年ニュースグループの中に生まれたのです。それが発展し、多くの人が様々な解釈を考え、述べてきました。そうした解釈をもっとも吟味し詳細にまとめてみせたのが、リッチ・クロウイエックという人物でした。

彼の詳細なる解釈は次のところにあります。最後にはこの解釈をまとめるにあたって貢献してくれた人々のクレジットがつらなります。

http://www.faqs.org/faqs/music/american-pie/

この文字だけのページに初めて遭遇したのは一月ほど前でした。たまたま別のことを調べていたときに、これにひっかかってしまったのです。初めて見たときは、「なんなんだ、これは」と衝撃を隠せませんでした。こんな解釈があったのか、と。たまたま10月9日に発売され。この欄でも一度紹介した「僕たちの洋楽ヒット」のシリーズの中に「アメリカン・パイ」が収録されていて、久々に聞いていたものですから、改めてCDを聞き、その解釈を読み、大変知的好奇心をくすぐられたのです。それでも、まだわからないところは、あるんですが。

「バイ・バイ・ミス・アメリカン・パイ」と歌います。このミス・アメリカン・パイは、「ロックン・ロール」そのものを表しているわけです。つまり、「さよなら、ロックンロール」ということですね。また、3人が乗った飛行機は、元々「アメリカン・パイ」と命名されるはずだった、という説もあります。

たとえば、途中ででてくる「ローリング・ストーン」は何を意味するのか。それはボブ・ディランか、エルヴィスか、ロックンロール全体か、あるいは、ローリング・ストーンズそのものか。

「道化師(jester)」は、ボブ・ディランで、キングとクイーンは、それぞれエルヴィスとコニー・フランシスあたりではないか。

「ブルーズを歌う女の子に出会った。彼女にいいニュースは何かないかと訊ねたが、彼女は微笑んで、行ってしまった」という歌詞。それは、ジャニス・ジョプリンを指す。ジャニスは、70年10月ドラッグで死亡している。

といったことをこと細かく一行一行、解釈、注釈をつけているのです。日本盤についている訳詞を見ても、よくわからないのですが、この注釈を読むと、なんとなく少しはわかったような気になります。本当にアメリカの50年代から60年代くらいまでの若者文化がいろいろと登場してきて、興味津々です。

さあ、CD棚からもう一度、「アメリカン・パイ」を出して聞いてみるとしますか。あなたも辞書を片手に、もう一方の手でアメリカン・パイでも食べながら。アップルパイがいいかな。

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