Marcus Miller: Another Strong Black Funk Band

【ブラック度全開のファンクバンド】

フロントマン。

一般的に言えば、ベース奏者はドラムスと同様、音楽の屋台骨を支える文字通り「縁の下の力持ち」的存在だ。ところが、このマーカス・ミラーという男のベースは、思いっきり前面にでてくる。彼は、まちがいなくベースという楽器で堂々のフロントマンだ。

元マイルス・デイヴィス・バンドのベース奏者、アレンジャー。ルーサー・ヴァンドロスの『ネヴァー・トゥ・マッチ』以来のプロデューサーであり盟友。超売れっ子のスタジオ・セッション・ベース奏者。そして自己のグループをいくつも作り活躍するミュージシャン。マーカスにはいくつもの顔がある。

単にベース奏者で人気者と言えば、古くはラリー・グラハム、ブッチー・コリンズ、ルイス・ジョンソンという系譜があり、現在はまさにマーカスがその旬の最高峰か。日本では日野賢二。やはり、ベースを強い力でまるでギターのようにメロディーを弾いてしまうところが圧巻。さらに、勢いのチョッパー・ベースも見逃せない。

マーカス名義では今年の2月に来日していたが、タイミングがあわず見られなかったので、久々になる。

ベースとトランペット、あるいは、サックス、キーボードなどとの楽器バトルがあちこちにちりばめられる。まさに、ミュージシャンズ・ライヴだ。マーカスはさらに多彩なところを見せ、「カム・トゥゲザー」では、キーボード、サックスもてがける。基本的には、ブラック度が圧倒的なファンクバンドだ。そのほとんどがインスト曲という感じ。また今回はハーモニカがなかなかアクセントになっている。もうひとつ縦笛みたいな楽器が目を引いた。

「カム・トゥゲザー」から「フランケンシュタイン」までの約30分のノンストップの流れは、実に強力。4曲目「カム・トゥゲザー」と6曲目の間にもう1曲あったようだが、流れが自然なので、わからなかった。スライの「サンキュー」のリズムパターンをベースにしたような曲だった。ただのジャムなのかな。

それにしても、ファンキーなバンドだ。また、アンコールの「シルヴァー・レイン」(エリック・クラプトンと共作。マーカス自身の歌あり。マーカスの最新作『シルヴァー・レイン』のタイトル曲)は、なんと30分近くやっていた。マーカスが言うところの「ヤンキーには難しいレゲエ・シャッフル・ビートの曲」で、実に気持ちよかった。

(11月28日から12月3日まで東京ブルーノート)

■マーカス・ミラー関連記事

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■セットリスト

Setlist (2nd set)

show started 21:38
01. The Blues
02. Boogie On Reggae Woman
03. Steveland
04. Come Together~
05. ??~
06. Make Up My Mind~
07. Frankenstein
Enc. Silver Rain
show ended 23:22

■メンバー

マーカス・ミラー(ベース)、
グレゴリー・マレット(ハーモニカ)、
キース・アンダーソン(サックス)、
マイケル・スチュワート(トランペット)、
ボビー・スパークス(キーボード)、
プージー・ベル(ドラムス)
Marcus Miller(b),
Gregoire Maret (hca),
Keith Anderson(sax),
Michael Stewart(tp),
Bobby Sparks(key),
Poogie Bell(ds)

ブルーノートウエッブ
http://www.bluenote.co.jp/art/20051128.html

(2005年11月28日月曜、東京ブルーノート=マーカス・ミラー・ライヴ)

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