Eric Benet Live: Best Live Show At Venue Under 500, This Year

(ネタばれになります。これからごらんになる方で事前の先入観を持たれたくない方はご注意ください)

【エリック・べネイ・ライヴ】

襞(ひだ)。

4時過ぎの仕事の前に、3時20分ごろブルーノートによってチケットを買おうとしたら、なんと何人も並んでいた。2時過ぎからすでに並んだ人たちがいたそうだ。すごい人気。そして、それから約6時間以上を経て、エリックはセカンドステージに登場した。1997年8月、1999年7月に続いて3度目の来日公演。

ストライプのはいった小粋なスーツにシャツとネクタイ、そして、サングラス。ゆっくりと少し体をくねくねさせながら、ステージに上がってきたエリック・べネイを見て、瞬間にプリンスっぽいな、と感じた。オープニングは、ファーストアルバムにはいっているスライ・ストーンのヒット「イフ・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ステイ」。プリンスがあこがれたスライの曲から始める、プリンスにあこがれた男、エリック・ベネイ。会場の女性(7割は女性ではないか?)に「if you want me to stay」と歌わせ、男性に「stay with me」と歌わせ、いきなり観客をこの空間に巻きこみ一体感を演出した。

楽屋からでてきた姿だけでも、かっこいい。これは女性ファンに圧倒的に受ける。スロー・バラード、ミディアム調、R&B風、ラテン調、ポップ調までさまざまなタイプの曲が次々と、時に解説つきで歌われる。歌ものライヴとしてはかなり満喫した。キーボード2台、ギター、ベース、ドラム、コーラスひとりという布陣もしっかりしていた。

「僕には13歳になる娘がいる。ときどき、自分が13歳の娘の父親であることが信じられなくて、自分をつねってみたりすることがある。女の子からレディーになっている。この曲はその娘、インディアのために書いた曲だ。もちろん、現在の13歳の娘にも聞いてもらいたいが、彼女が30年後に43歳になった時に、この曲を聴いて、父親である僕がその当時彼女のことをこれほど愛していたんだとわかってくれれば、嬉しいと思う。人生はいろいろなことがある。これは、できない、あれもできない、と言って悩むこともあるだろう。だけど、おまえのパパは、おまえなら出来るよと言う。そんな歌」 こう解説して歌い始めた「インディア」。新作アルバム『ハリケーン』の中でもタイトル曲とならんで白眉の出来の作品。そして、ソウルのこもったパフォーマンスだ。

さらに、新作から「ビー・マイセルフ・アゲイン」。これもまた、エリックにとってのソウル・サーチン・ソングだ。つまり人生にさまざまなことが起こり、自分を見失っていた彼が、「自分自身に戻る」という歌だ。暗くなりそうなテーマを、実に明るいポップ調な曲に仕上げた。

ステージに登場してから、ずっとプリンスっぽいなあ、と思っていたら、なんとここで、プリンスの79年の大ヒット「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー」が歌われるではないか。頼んでないのに! やってくれた。ほんとに、プリンスが好きなんだということを確信した。この曲がはやった79年、エリックは10歳である。このヒットに心を奪われたのだろう。スライ→プリンス→エリックと3世代のソウルの歴史がここに身を結んでいる。「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ラヴァー」と同じギターリフをそのままひっぱって「スピリチュアル・サング」へ。

「さて~、ニュー・アルバム『ハリケーン』、ショップにあるよ~~。インディアには新しい靴が必要なんだ。(笑い) だから、アルバムを買ってね。アルバムの3曲目にいれてあるタイトルの『ハリケーン』は、僕にとってメタファー(比喩)なんだ。たとえば、みな誰しも人生にはさまざまなことがおこる。そこから再出発しなければならないことがある。たとえば、家族の死、男女関係の終焉、経済的な破綻、ハリケーンで家が全壊したりすることもあるだろう。でも、それに立ち向かわなければならない。そういうときには、人のもっとも強い部分をだして、人生を再構築しなければならない。僕は、(そんな人生の)階段を1歩1歩あがっていくことを選びたい。この曲は、そんなことを歌った歌です」

ひときわ何度となく聴いてきた「ハリケーン」という曲が染みる。新作は売れっ子プロデューサー、デイヴィッド・フォスターのプロデュース曲が何曲か入っている。そこで、エリックはデイヴィッドの作った作品をいくつかワンフレーズほど歌ってみせた。(下記セットリスト参照) 「デイヴィッドと話たんだ。一緒に、ずっと長い間歌い継がれる歌を作ろうってね。今から100年後にも歌われるような、そして、100年後にも書いたときと同じ感動が呼び起こされるような曲をね。たとえば、昔フランク・シナトラやビリー・ホリデイが歌ったような作品を作ろう、と。そしてできたのが、『ザ・ラスト・タイム・アイ・フェル・イン・ラヴ』」

エリックの過去15年の人生にはさまざまなことが起こった。最初の妻の交通事故死、その妻との間に生まれたインディアの成長。女優ハル・ベイリーとの結婚、離婚。レコード会社とのトラブル。そうした苦悩と挫折から生まれた経験はエリックの深い歌声に刻み困れている。まさに彼の人生もソウル・サーチンの連続だった。彼の歌声に刻まれたソウル・サーチンの結晶は、彼の歌声の襞(ひだ)になって聴くものに熱く届く。

ザ・ソウル・サーチャーが今年、収容人数500人以下の会場で見たライヴの中で、個人的にベストだ。

Setlist (1)=1st album, (2)=2nd album, (3)=3rd album

show started 21:50
01. If You Want Me To Stay (Sly & Family Stone) (1)
02. When You Think Of Me (2)
03. India (3)
04. Be Myself Again (3)
05. I Wanna Be Your Lover (Prince)
06. Spiritual Thang (1)
07. Why You Follow Me (2)
08. Hurricane (3)
09. Spend My Whole Life With You (2)
10. “David Foster Song: Snippet” After The Love Has Gone / Through The Fire / I Will Always Love You
11. The Last Time I Fall In Love (3)
12. I Wanna Be Loved (3)
13. Where Does The Love Go (3)
Enc. Georgy Porgy (including “What You Won’t Do For Love”) (Toto)(2)
show ended 23:15

■アルバム

1. True To Myself (1996)
2. A Day In The Life (1999)
3. Hurricane (2005)

■エリック・ベネイ過去記事

June 21, 2005
Eric Benet’s New Album “Hurricane” Portrays His Soul Searchin’ Story
http://blog.soulsearchin.com/archives/000339.html

July 27, 2005
Eric Benet Will Be Coming To Japan On September
http://blog.soulsearchin.com/archives/000412.html

■ブルーノートウェッブ

http://www.bluenote.co.jp/art/20050929.html

(2005年9月29日木曜、東京ブルーノート=エリック・ベネイ・ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Benet, Eric

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