The Song Born On Halloween Day: “Star Dust”

ハロウイーン。

1927年(昭和2年)10月30日夜、当時28歳だった若き作曲家、ピアニスト、ホーギー・カーマイケルは仲間とともに、インディアナポリスでのちょっとしたライヴを終えて、同じインディアナ州のリッチモンドという街へ夜を徹して車を走らせていた。目的地は、同地のゲネット・スタジオ。このスタジオは既に、ジャズのレコーディングスタジオとして名前を売っていた。

彼らがスタジオに着いたのは夜が空け31日、街がハロウイーンで盛り上がる日だ。レコーディングセッションはなんとすぐに朝6時から始まった。まず一曲「フライデイ・ナイト」という作品が録音され、2曲目の録音が始まった。ピアノのインストゥルメンタル曲で、カーマイケルはその時、この作品に「スター・ダスト」と名づけていた。

カーマイケルは、その2ヶ月ほど前の暑い夏の夜にこのメロディーを、インディアナ大学の構内にいる時に思いついた、という。「夏の終わり、何かを期待させる夜。星が僕の間近で輝き、北極星が木々のすぐ上にあった」と彼は自伝「ザ・スターダスト・ロード」の中で振り返る。彼はそのメロディーを思いつくとすぐに校内のピアノのある部屋へ走っていき、それを書きとめた。

しかし、このピアノ・ヴァージョンの「スターダスト」はそれほど評判にならない。それから2年後の1929年、ミッチェル・パリッシュという人物がこのうだつのあがらない作品に素敵な歌詞をつけた。すると、まさにこの作品に羽根が生えたように、世界に飛び出し始めたのだ。

歌入りのヴァージョンを初めてレコーディングしたのはビング・クロスビーだと言われる。1931年のことだった。

この歌の美しいところは、メロディーと歌詞だけではない。実は、「ラヴ・ソングを夢見ている歌」というコンセプトにある。「歌の歌」というわけだ。「スターダスト」というラヴソングとその曲と直結した昔の彼女との思い出だ。「スターダスト」を聴くと彼女を思い出す、そんな作品である。

以来、この作品は多くのシンガー、アーティストたちがレコーディングするようになった。少なく見積もっても1800のヴァージョンがある、という。ギネスブックにはもっともカヴァー・ヴァージョンがある楽曲として1600のヴァージョンを数えるビートルズの「イエスタデイ」が記録されている。実質的には、「イエスタデイ」を超える数の「スターダスト」があるということになる。この数字は世界の人口同様に秒単位で増えているはずだ。2000はもう超えているのだろう。アメリカ中の、いや世界中のピアノバーに行ってこの曲をリクエストしたら、十中八九ピアニストは弾いてくれるであろうスタンダードだ。

歌詞がついてからちょうど75年の今年、2004年。59歳のイギリス生まれのシンガー、ロッド・スチュワートがこの「スター・ダスト」を録音した。ハロウイーンの10月31日に産声をあげた「スターダスト」。奇しくもそれから77年後の同じ日、横浜のバー「スター・ダスト」を描いたプログラム「スター・ダスト・メモリーズ」が放送される。今週末、世界はハロウイーンで大騒ぎだ。喧騒の日に生まれた静寂のスターダスト。その星屑はいまだに色褪せない。

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「スターダスト」
“Star Dust”
Music by Hoagy Carmichael
Words by Mitchell Parish

黄昏時、一面紫に染まる大空が
僕の心のひだをくすぐる
空高く小さな星たちが瞬くと
いつも別れてしまった君を思い出す

君は道を彷徨い(さまよい)
僕の手の届かぬはるか彼方へ
行ってしまった

決して色褪せることのない
ラヴソングだけを残して

君との愛は今やいにしえの星屑
君とともに聴いたあのラヴソングは
今いずこ

我思う。なぜあのラヴソングを夢見て
いまだに孤独な夜を過ごすのか

あのラヴソングのメロディーが
頭の中から幻想曲の如く決して離れない
そのメロディーが蘇ると、その時だけ
君が傍らにいるかの如く

僕たちの恋がまぶしかったころ
キスするたびに心がときめいた
だが、それもはるか昔のこと

僕を今慰めてくれるのは、あのラヴソングに
こぼれる落ちる星屑だけ

「星たちが瞬く庭の傍らで
君は僕の腕の中・・・」
だがそれはナイチンゲールが語る
バラが咲きほこる楽園でのおとぎ話

僕の夢は儚く(はかなく)おぼろげだが、
あの愛とラヴソングは僕の心に永遠に残る

僕の星屑(スターダスト)のメロディー
それは愛の思い出のリフレイン(繰り返し)

(訳詞・ザ・ソウル・サーチャー)

“Star Dust”
Music by Hoagy Carmichael
Words by Mitchell Parish

And now the purple dusk of twilight time
Steals across the meadows of my heart.
High up in the sky the little stars climb,
Always reminding me that we’re apart.

You wandered down the lane and far away,
Leaving me a song that will not die.
Love is now the star dust of yesterday,
The music of the years gone by.

Sometimes I wonder why I spend the lonely night
Dreaming of a song.

The melody Haunts my reverie,
And I am once again with you

When our love was new,
And each kiss an inspiration.
But that was long ago:

Now my consolation
Is in the star dust of a song.

Beside a garden wall when stars are bright,
You are in my arms,
The nightingale
Tells his fairy tale
Of paradise, where roses grew.

Tho’ I dream in vain,
In my heart it will remain,
My star dust melody,
The memory of love’s refrain.

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