Category Archives: ドキュメンタリー

○■ ナイル・ロジャーズ、ドキュメンタリー放送日決まる

○■ ナイル・ロジャーズ、ドキュメンタリー放送日決まる 【Nile Rodgers Documentary Will Be On Air October 21】 ドキュメンタリー。 2011年4月からナイル・ロジャーズとその関係者をインタヴューして制作してきたドキュメンタリーの放送日が2011年10月21日金曜午後10時からと決まった。これは有料衛星テレビ局WOWOW(ワウワウ)の番組『ノンフィクションW』の枠で放送されるもの。タイトルは『魂のスタート・アゲイン』。 また、ほぼ時を同じくして、今年(2011年)4月18日、パートナー、バーナード・エドワーズの命日に東京ブルーノートで行われたライヴの模様が一度WOWOWで放送されたが再放送される。 このドキュメンタリーは、ナイル本人、ナイル周辺の人物などにインタヴューをして構成している。ナイルが癌になってからの人生に対する心境の変化、音楽をプレイすること、シックを続ける意義、また自伝のこと、ミュージカル『ダブル・タイム』のことなどを語っている。 カメラは東京、ニューヨークのアパート、自伝を出す出版社のオフィース、手術を受けた病院、コネチカットの自宅、ミュージカル『ダブル・タイム』のリーディングが行われたアラバマ州モンゴメリーなどに、ナイルを追う。 ナイルは2011年1月、自身が癌で手術を受けたことを自身のブログで公表。以後、9月末までほぼ毎日、癌について、自身の人生について、さまざまなテーマで綴ってきている。その模様は、このソウル・サーチンのホームページやツイッターで翻訳をご紹介してきた。現在サイトはデザイン変更を経て、ブログも、まさに「シーズン2」が9月30日から始まっている。 ナイルの自伝は2011年10月18日、全米で、ついでイギリスでリリースされ、現在はその準備プロモーションなどで忙しいようだ。 ■ ドキュメンタリー放送予定(ワウワウWOWOWは、有料衛星放送) 2011年10月21日(金)夜10:00 ノンフィクションW ナイル・ロジャース ~魂のスタートアゲイン~ (初回) 10/23(日)午前11:00 ノンフィクションW ナイル・ロジャース ~魂のスタートアゲイン~ 10/31(月)深夜0:00 ノンフィクションW ナイル・ロジャース ~魂のスタートアゲイン~ ■ ライヴ映像・放送日 10/11(火)夜10:00 ナイル・ロジャース & CHIC Live at … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | 3 Comments

■『アンサング』6月からシーズン3始まる

■『アンサング』6月からシーズン3始まる 【Unsung: Season 3 Starts June】 シーズン3。 ワシントンDCのケーブル放送局TV ONE制作のブラック・ミュージシャンにスポットをあてるドキュメンタリー『アンサング』の第3シーズンが2011年6月から始まる。ラインナップは次の通り。 June 6 — Deniece Williams June 13 — The Spinners June 20 — Alexander O’Neal June 27 — Big Daddy Kane July 4 — The Ohio Players July 11 — Evelyn … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | Comments Off

■TV-ONEの『アンサング~オージェイズ』~オージェイズのソウル・サーチン

■TV-ONEの『アンサング~オージェイズ』~オージェイズのソウル・サーチン 【”Unsung” O’Jays On TV ONE~ O’Jays’ Soul Searchin】 オージェイズ。 ブラック向けテレビ局TV-ONEが毎週月曜日夜10時から放送しているミュージシャンのドキュメンタリー番組『アンサング(Unsung)』。2010年11月8日放送分では、オージェイズが紹介され、さっそく1週間限定でウェッブで公開された。 http://www.tvoneonline.com/shows/show.asp?sid=1195&id=3115 今回も見所たくさん。一番メインにインタヴューに答えるのは、オージェイズの核であるエディー・リヴァートとウォルター・ウィリアムス。さらに、一時期メンバーとなった元リトル・アンソニー&インペリアルズのサミー・ストレイン、フィリーに出る前にオージェイズを辞めたほぼオリジナル・メンバー、ボビー・マーシー。ロスアンジェルスで最初彼らをプロデュースしたHBバーナム(その動く姿は初めて見た)、現在のオージェイズのメンバーとなっているエリック・ノーラン・グラントなど。エディーが言う。「ウォルター、俺、ウィリアムの3人はナチュラル・シンガー(生まれながらのシンガー)だ。ボビーとビルはバックグラウンド・シンガーだった。でも、ボビーは車を持ってたから、仲間にしたんだ。(笑) あと、彼はグループのスポークスパースンみたいになったね」 今回の番組でも、「ソウル・サーチン」という言葉が使われていたが、オージェイズの50年近いキャリアの紆余曲折がドラマティックに描かれる。エディーは、「(自分たちが歌い始めたのは)金なんか関係ない。ガールズにもてるためだ、それがモチヴェーションだった」と笑いながら語る。そんな5人組だっただが、カリフォルニアにガールフレンドが出来たビル・アイルは「(地元に)戻る」と言っていたが、結局戻ってこなかった。彼らがギャンブル&ハフに誘われて録音のためにフィラデルフィアに行くとき、ボビー・マーシーは一緒に行かなかった。今では彼は笑いながら「今となっては後悔している」とも言う。そして、オリジナル・メンバーのウィリアム・パウエルのドラッグから癌になっての35歳の死。パウェルがライト・スキンで3人の中で一番モテていた、というのは知らなかった。 エディーとともに、現在のオージェイズの屋台骨であるウォルターは、MS(多発性硬化症)という筋肉が動きにくくなる病気にかかっていて、踊り、振り付けなどに大変苦労している、という。振り付けは、モータウンで多くのアーティストを手がけていたチョリー・アトキンス。「チョリーは言ってた。フォー・トップスは練習に一度も来なかったんだ。だから、連中は(ステップが出来ずに)クビを左右に振るだけなんだよ、ってね(笑)」「チョリーからは、ステージの踊り方、マイクの使い方、歩き方、すべてを習ったよ」リハは厳しく、週6日、一日6時間だった。 ピンクのスーツを着た3人が歌う「バックスタバーズ」は、かっこいいなあ。あれは何の番組なんだろう。『ソウル・トレイン』じゃないし。 新しいメンバー、エリック・ノーラン・グラントがエディーの息子ジェラルドらの推薦でオージェイズに迎え入れられても、最初の2年はメンバーとして紹介されなかった、というくだりもエンタテインメントの世界の厳しさを垣間見せる。 そして、エディーの2人の息子、ジェラルドとショーンの死の場面は、身につまされる。 こういうドキュメンタリーを見ていると、僕が書いた『ソウル・サーチン』と視点が似ていると感じる。こういうドキュメンタリー作りたい。フォーカスするポイントが、『ソウル・サーチン』もこの『アンサング』も同じなのだ。早いとこ、『ソウル・サーチン』の英語版を作らないと…。 エディーも、ウォルターもものすごく元気そうで、ひじょうに嬉しい。エディーは昨年(2009年)5月にソロで来日、元気いっぱいのライヴを見せていた。 ■関連記事 チョリー・アトキンス訃報記事 2003/04/22 (Tue) Charles “Cholly” Atkins Dead At 89 http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200304/diary20030422.html 2009年05月07日(木) エディー・リヴァート・ライヴ~熱いソウルは零れ落ちる汗とともに http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10256152327.html 2010年11月05日(金) TVワンの強力ソウル・ドキュメンタリー「アンサング」 http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20101105.html ■ エディー・リヴァート・サー&ジェラルド・リヴァート著 『アイ・ガット・ユア・バック』(洋書)(番組の中でも紹介されている著書) I … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | Comments Off

■TVワンの強力ソウル・ドキュメンタリー「アンサング」

■TVワンの強力ソウル・ドキュメンタリー「アンサング」 【TV ONE: “Unsung” Featured Miki Howard】 TVワン。 アメリカ・ワシントンDC在住の翻訳家、押野素子さんが、TVワンの強力なソウル・ドキュメンタリー番組『アンサング』というのを教えてくれた。現在第3シーズンで、次週のオージェイズで一度終わってしまうそうだが、毎週約40分、一人のアーティストにスポットをあてて、その人物のキャリアを複数の関係者からの証言でドキュメントするもの。ひじょうに真っ当で、正しいドキュメンタリーの王道中の王道番組だ。 今週放送されたのが、ミキ・ハワードの生涯で、これも実におもしろかった。現在2010年11月8日までの期間限定で、フル・プログラムがネットで見られるので、興味ある方はぜひ。 http://www.tvoneonline.com/shows/show.asp?sid=902&id=2959 TVワン(TV ONE)局は、アメリカ東部メリーランド州シルヴァースプリングに本拠を持つ黒人向けテレビ局。アフリカン・アメリカン向けに、かつてのブラック・プログラム、『エイメン』『グッドタイムス』『リヴィング・シングル』などのクラシックから、現在のライフスタイルにフォーカスした番組や、エンタテインメント番組、ドキュメンタリーなどを制作、放送している。全米にはケーブルや、衛星回線で配信し、2004年から放送を開始している。特に2008年7月、バラク・オバマをフィーチャーして取り上げるようになると、TVワンの認知度、人気も急上昇した。 ■ミキ・ハワードの生涯 さて、今週の『アンサング』、ミキ・ハワードの回。知らないことばかりだった。シカゴに生まれ、父は家庭に寄り付かず、母親はゴスペル・グループの巡業で娘(ミキ)のめんどうをみず、フォスター・ペアレンツ(里親)に育てられる。9歳で母親とLAに出向き、ハイスクール時代にサイド・エフェクトに加入。このバンドのリーダー、オーギー・ジョンソンと恋仲になり2人の息子を産む。一人目が1980年か1981年誕生のブランドン、もう一人がニコラス。だが、オーギーと結婚したかったにもかかわらず、それは実らず、二人は別れ、グループも解散。その後、なんとミキは、ジェラルド・リヴァートと付き合う。しかし今回も結婚にはいたらず、次の男と結婚。しかし、この男がだめ夫で、暴力はふるうわ仕事はしないわで、大荒れの人生になる。途中で、ソロ・シンガーとしても契約をものにするものの、やれ、ホイットニー風に売れだの、なんなのと音楽的方向性が定まらず、いつの間にかドラッグにおぼれてしまう。結局、息子2人、その後生まれた娘(ケイトリン)と、親友らの助けでドラッグ渦から抜け出し、新たな一歩を踏み出す。そんな話が約40分で語られる。こんなに彼女が苦労しているとは知らなかった。まさに、ミキ・ハワードの「ソウル・サーチン」だ。 ここで興味深いのは、ミキの息子は、サイド・エフェクトのオーギー・ジョンソンとの間に生まれた子供とされている点だ。番組ではミキが20歳のときに、ブランドンを生んだ、と言っている。ブランドンの生年月日がわからないので、なんともいえないが、ミキは1960年9月30日生まれということなので、ブランドンは1980年9月30日から1981年9月29日までの間に生まれたことになる。さて、マイケル・ファミリーとの関連はどうなるのだろうか。ここは、これだけでは、なんともいえない。 いずれにせよ、この『アンサング』。全部見てみたい。そして、できれば日本に紹介したい。 ENT>TV>TV ONE>Unsung

Posted in ドキュメンタリー | 1 Comment

▲ドキュメンタリー『ソウル・ディープ』再放送始まる

▲ドキュメンタリー『ソウル・ディープ』再放送始まる 【”Soul Deep” Rerun Starts Monday】 ディープ。 今年(2010年)1月にNHK-BSで放送されソウル・ファンの間で話題になったイギリスBBC制作のブラック・ミュージック、ソウル・ミュージックの歴史を駆け足で見るドキュメンタリー番組『ソウル・ディープ』の再放送が5月3日(月曜)深夜24時(正確には火曜日午前0時)から始まっている。 僕も改めて見ているが、1月の時点でまとめたことを振り返っておきたい。 また、今回の再放送に関して、前回放映時にNHK版でカットされた部分を解説してくれた松林さんが、1回目の補足資料をブログでまとめている。これがひじょうに読み応えがあるので、ご紹介する。 http://microgroove.jp/2010/05/a_few_supplements_to_soul_deep_1_of_6.html よくここまで調べた、という感じで、本編とあわせて見ると理解が深まる。松林さんは、これを5回目までの分をまとめたいとのことだが、なかなか時間がなくてできていない、とのこと。ぜひがんばってほしい。これは1日仕事というか、大変なお仕事。感謝、そして、リスペクト。 なお、ツイッターでのハッシュタグは #souldeep 。ここで、この番組を見た人たちの感想などが見られる。 また、『ソウル・ディープ』のBBCのサイト。ここで全曲リストが見られる。 http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/1/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/2/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/3/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/4/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/5/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/6/ 1月に見たときの感想文、一覧はこちら。↓ http://ameblo.jp/soulsearchin/theme-10018497246.html  ■ ソウル・ディープ関連記事 2010年01月08日(金) 『ソウル・ディープ』を見て~本当に黒人アーティストは1960年代に「クロスオーヴァー」を狙っていたか http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100108.html 2010年01月09日(土) 『ソウル・ディープ』をより理解するための書籍など(パート1) http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100109.html 2010年01月10日(日) 『ソウル・ディープ』6回目を見て~すっぽり抜け落ちた1980年代 http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100110.html 2010年01月11日(月) 『ソウル・ディープ』にアリシアは入らず。21世紀のブラック・ミュージックは、アリシア・キーズのようなジャンルレスなアーティストが台頭か http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100111.html ENT>MUSIC>TV>DOCUMENTARY>Soul Deep

Posted in ドキュメンタリー | Comments Off

■『ソウル・ディープ』NHK放送のカット部分

■『ソウル・ディープ』NHK放送のカット部分 【These Are What Cut Down From “Soul Deep” NHK Version】 カット。 先週2009年1月4日から9日まで6夜連続でNHK-BSで放送されたイギリスBBC制作の音楽ドキュメンタリー『ソウル・ディープ』のカットされた部分がわかった。NHKで放映された部分はオリジナルから10分超程度カットされている。日本での放映時間が10分短いこと、また前説にピーター・バラカンさんの解説が入るためだ。 このカット部分について、ツイッターの「ソウル・ディープ(#souldeep)」に書き込みがあったもので、その書き込みをされた(kohji405mi16=松林さん)に許可を頂き、ここに掲載する。松林さんは、BBCで放送されたオリジナルと見比べて、今回のカットされた箇所を調べた。ただツイッター上への投稿は140字の制限があるので、かなりはしょった部分はあるとのことだが、大まかな感じはつかめると思う。 ツイッターでの『ソウル・ディープ』のハッシュ・タグはこれ。#SoulDeep また松林さんのツイッターはこちら↓  http://twitter.com/kohji405mi16 NHK『ソウル・ディープ』のカット部分。(kohji405mi16=松林さん調べ) #SoulDeep 第1回 #NHK 放送時カットされた映像を確認した: アラン・トゥーサン、ファッツ・ドミノ、リトル・リチャードの演奏シーン、黒人R&BのSP盤が白人DJに割られる当時の映像、白人によるR&B演奏の一例としてジョージア・ギブスのステージ映像 #SoulDeep 第2回 #NHK 放送時カットされた映像を確認した: SARレーベルのエピソード ジョニー・テイラーの演奏シーン ヴァレンティノズ(ボビー・ウォーマックのグループ)の話題&ストーンズの It’s All Over Now 演奏シーン #SoulDeep 第3回 #NHK 放送時カットされた映像を確認した: メアリー・ウェルズ … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | 1 Comment

⊿『ソウル・ディープ』にアリシアは入らず。21世紀のブラック・ミュージックは、アリシア・キーズの

⊿『ソウル・ディープ』にアリシアは入らず。21世紀のブラック・ミュージックは、アリシア・キーズのようなジャンルレスなアーティストが台頭か 【Alicia Keys: Artist Belongs To Any Genre, Beyond The Category】 ジャンル。 昨日の『ソウル・ブレンズ』でアリシア・キーズの新作『エレメント・オブ・フリーダム』を紹介した。その中で、アリシアの母はイタリア系を先祖に持つスコティッシュ、アイリッシュ、父がアフリカン・アメリカン、ということを紹介したのだが、1981年生まれの彼女にとって、マイケル・ジャクソンでさえ『スリラー』(1982年)など、後追いで知ることになる。 すでに、彼女が物心付くころから、音楽ジャンルを意識することなどなかったのだろう。しかし、それでも彼女は自分のルーツとして、ジェームス・ブラウンやスティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハザウェイ、アレサ・フランクリンなどのオールド・スクールのソウル・ミュージシャンに敬意を払ってきた。 彼女にせよ、ビヨンセ(1981年)にせよ、後期マイケル・ジャクソンなど、従来のソウル・ミュージックという概念からは、充分に飛び出ている。 土曜日までの音楽ドキュメンタリー番組『ディープ・ソウル』は、タイトル通り、「ソウル・ミュージック」に特化してその歴史をなぞった。たぶん、制作者は、わざと意図的にマイケル・ジャクソンやジャネット、プリンスをはずし、ホイットニーは白人受けを狙ったという位置づけにしたのだろう。多分狭義の意味合いでの「ソウル・ミュージック」から外れるということで、そうしたアーティストを外したのだ。その気持ちもわからないでもないのだが…。 しかし、アフリカン・アメリカンたちが作り出してきたブラック・ミュージックの過去60年余の歴史を振り返り、俯瞰的にドキュメントしようとするのであれば、昨日のブログにも書いたが、マイケル、プリンス、ホイットニー、ルーサー、そして、今だったらこうしたアリシア、ビヨンセなどを正しく理解し、解説し、記録しなければならない。 たぶんざっくりした感触だと、1990年代以降に出てくるブラック系ミュージシャンらは、特にジャンルレスになる傾向が強くなっている。そういう意味で、21世紀のソウル・ミュージックは、従来であればソウル・ミュージシャンと呼ばれた人たちが、ひとつの「ソウル・ミュージック」というジャンル、枠組みを飛び出し始めた時代、と捉えるのが一番当たっているのではないかと思う。 仮にこの番組のように、黒人対白人という対立軸の文脈で見るなら、僕はマイケルが『スリラー』あたりでやりだしたことは、それまではブラック・ミュージックというのは、白人たちに「搾取(さくしゅ)される」ことの連続だったのに対し、初めて黒人側が白人音楽を「搾取」したのではないか、と思った。おもしろい象徴的なエピソードは、レイ・パーカーがヒューイ・ルイスの作品を盗作して訴えられたことなどがある。あれなどまさに白黒逆転した事件だった。 また、『ソウル・ディープ』の最終回は、あまりに時代が現代すぎて、制作者たちも、過去の歴史に関する文献、評価などは充分にリサーチできても、新しいものだけにまだ評価が固まっていない、また、俯瞰した文献がないなどから、試行錯誤で迷いながら作ったのだろうと思えた。 それにしても、『ソウル・ディープ』という番組は、いろいろと考えさせてもらういい機会を与えてくれた。改めて感謝。 ■アリシア・キーズの最新作『エレメント・オブ・フリーダム』(DVD付き)(前3作まではすべて全米1位になったが、これはならず。彼女のダークな心模様が、一般受けしなかったのか…。しかし、シンガーソングライターの作品としては、じっくり聴くと、彼女の鼓動が聴こえてくる。歌詞、あるいは訳詞などをじっくり読みながら鑑賞がお勧め) エレメント・オブ・フリーダム デラックス・エディション(DVD付) posted with amazlet at 10.01.11 アリシア・キーズ SMJ (2010-01-01) 売り上げランキング: 208 Amazon.co.jp で詳細を見る +++++ 『ソウル・ディープ』参考文献(パート2) 『ヒップホップはアメリカを変えたか?―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ』S.クレイグ ワトキンス著 … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | Comments Off

△『ソウル・ディープ』6回目を見て~すっぽり抜け落ちた1980年代

△『ソウル・ディープ』6回目を見て~すっぽり抜け落ちた1980年代 【Soul Deep — From Ghetto To Fabulous: What’s Missing On This Episode】 バランス。 BBC制作の『ソウル・ディープ』の6回目は、「フロム・ゲットー・トゥ・ファブラス」。これは過去5回と比べてかなりつっこみどころ満載だ。まず、この回はブラック・ミュージックのヒストリーを俯瞰したというよりも、メアリー・J・ブライジの特集1時間、という印象が強い。もちろん、それはそれでやる意義はあるのだが、たとえば、ブラック・ミュージックの歴史を1時間x50本やるのであれば、こういう回が1回あってもいい。だが、たった6回の中での1回だと他とのバランスが著しく悪い。ざっくり言うと、1980年代、1990年代のブラック・ミュージック界を俯瞰する部分がすっぽり抜け落ち、コンセプトが甘いと言わざるをえない。 メアリーに1時間割くのであれば、その前に、アリサやアース、クール&ザ・ギャング、オハイオ・プレヤーズ、スティーヴィー、マーヴィン、アイズレイ・ブラザース、ダニー・ハサウェイ、ファッツ・ドミノ、BBキング、マイケル・ジャクソン、プリンス、オージェイズおよびフィリー関連、ジャネット、ルーサー、ナット・キング・コール、エラ、サラ、ダイナなどのジャズ大御所、ダイアナ・ロスなどなど、1時間枠でスポットを当てなければならないアーティストは山といる。 メアリー・Jを紹介する上で、ヒップ・ホップとR&Bを融合したというのは、大体あっているのだが、ここでいうR&Bは、1960年代のR&Bとは少しニュアンスが違っていて、1990年代のR&Bを示している。ブラック・ミュージック(黒人大衆音楽)の呼称の変遷については、6回通して説明(ナレーション)がないので、これだと若干視聴者が混乱する。ここはきっちりと説明すべきだろう。呼称の変遷をフォローすると、ブラック・ミュージックの歴史はかなりわかりやすく説明できる。 『ソウル・ディープ』、最初の5回は全体的に駆け足なのだが、この回だけメアリーと「ヒップ・ホップ・ソウル」について、集中したという感が不自然だ。もしこのあたりを取り上げるのなら、ヒップ・ホップを大きな枠のテーマにし、その最後の部分で、ヒップ・ホップとソウルを融合したメアリーJというスーパースターが誕生した、という流れが自然だ。ヒップ・ホップを取り上げるなら、1979年前後からのラップの歴史を駆け足でもよいので紹介したほしいところ。ラップの最初のヒット「ラッパーズ・デライト」、カーティス・ブロウ、グランドマスター・フラッシュ、そしてランDMCへ。アンドレ・ハレルがあれだけ出てくるなら、ラップ界の大御所ラッセル・シモンズも出さないとバランスがとれない。また、あの編集だと、アンドレ・ハレルが「ニュー・ジャック・スウィング」を作ったかのような印象を与えるが、「ニュー・ジャック・スウィング」を紹介するのであれば、テディー・ライリーなどにも出てきてもらわないと。(もちろん、インタヴューはオファーしたものの、出演を断られたかもしれないのだが) また、メアリーとホイットニーの対比の仕方が、若干恣意的、あるいは作為的な感じがして公平感がない気がする。白人受けするホイットニーに対するアンチとしてメアリーが登場した、という捉え方は、あまりに表面的でうすっぺらい。よくあるテレビ的で残念だ。音楽業界におけるインパクトから言えばホイットニーとメアリーを比べたら、月とすっぽんだ。それを同列、あるいは、メアリーのほうが黒人から支持されたというのは若干無理があるだろう。 たとえば、メアリーのCDは黒人が300万人買いました。ホイットニーのCDは黒人が300万人買い、白人がさらに600万人買って合計900万枚売れました。ではホイットニーの音楽のブラック度がメアリーの半分あるいは3分の1かというと、そんなことはない。充分ホイットニーの音楽もソウルなのだ。しかし、表面的に見ると600万人の白人が買ったことによって、いかにもその音楽自体が「白人に媚びた」風に映ってしまう。(クライブ・デイヴィスは、白人に売るマーケティング戦略は持っていたが。デビュー時にはそれほどでもなかった)そしてメディアはそう書きたがるのだ。それはマイケル・ジャクソンに対しても同じだ。このあたりの「白人に受けたブラック・ミュージック」というテーマは、ひじょうに深いものになると思う。 ネルソン・ジョージ(『リズム&ブルースの死』『モータウン物語』ほかの著作で知られる黒人の評論家)が、ヒップ・ホップ周辺を含めてこのシリーズの最後を端的にひじょうにうまくまとめていた。ちょっと字幕のニュアンスが微妙だったが、改めて訳しなおすとジョージはこう言っていた。 「黒人文化は、もはや『クール』なんてものではない。『最高にクール』になったんだ。黒人は郊外の白人たちにアピールするために、(黒人側が意識や態度を)変える必要はなくなった。今では彼らのほうが黒人になりたがっているのだ。これは、ものすごく大きな変化だ。かつてモータウンは(白人から)支持されるように対応(順応)した。ホイットニーもそうだ。マイケルはある部分そうだった。だが、今では、そうしたことを取り巻く世界の方が劇的に変わったのだ。これは文化が大きく変わったということなのだ」。字幕では「音楽の力」となっていたが、これは訳が違う。「文化自体が変わった」とジョージは言っていた。ジョージは今回のブラック・ミュージック、ヒップ・ホップなどを「文化全体」の枠組みの中で語っていたのだ。 (誤訳という点では、アレサ・フランクリンをホイットニーの「遠い親戚」としていたのも間違い。「そんなバカな」と思って、あわてて戻して英語を聞いたら、extended familyと言っていた。一緒に仕事をした親しい仲間、という意味だ。親戚づきあいをするくらい仲良し、というニュアンス。遠い親戚とは言えない) ブラック・ミュージックの歴史を俯瞰し、かつてはしいたげられた人々の音楽が、21世紀になって白人も真似したがるような音楽となり、ヒットチャートの上位を独占するまでになった、ということを最後に簡潔にまとめていたのだが、そう変遷した過程がすっぽりぬけている。どのようにそうなっていったのか。いつからその兆しがあったのか。なぜ、そうなったか。その背景には何があるのか。それを後押しする要因はなんだったのか。ジョージの「文化が変わったのだ」の裏には多くの事実がある。彼の一言は素晴らしいまとめだが、それが番組内60分で紹介されていない。ひょっとしたら、ジョージはインタヴューの中でそうした説明をしていたが、時間の関係でボツになったのかもしれない。つまり、一言で言えば5回目までと6回目の間がすっぽり抜けてないのだ。その間には、ホイットニーやマイケルが大衆から支持された説明、プリンスの音楽が支持されてきた事実などの説明不足感が大きい。 1980年代から1990年代のブラック・ミュージックの周辺テーマとしては、「クワイエット・ストーム」「ニュー・ジャック・スウィング」「フィリー・ソウル」「ディスコ」「ロックとブラック・ミュージック」「ソウル・トレイン」、「MTVとブラック・ミュージック」、「ブラック・ムーヴィー」などいくらでもある。そして冒頭で少し触れられたブラックの間に誕生したミドルクラス(中流)の台頭があった。そのあたりの分析ももう少し深めに欲しかったところだ。 とはいうものの、この1週間「ソウル・ミュージック」の歴史、大変楽しめた。NHKそして、BBCありがとう。そして、見逃した方のために再放送をよろしくお願いします。 そして、BBCには続編あるいは、ヴァージョンアップ版を期待したい。 ◎番組のBBCのサイト(各日ごと=プレイ楽曲リスト) NHKで放送されたものは、10分程度短縮されているので、このリストからいくつか落ちているものがあるようだが、全体的な流れはつかめる。 http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/1/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/2/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/3/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/4/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/5/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/6/ ◎ メアリー・J・ブライジ 「ヒップ・ホップ・ソウル」の登場はブラック・ミュージックの歴史に残る足跡を残しました。傑作アルバムです。(1992年) What’s the … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | 2 Comments

☆『ソウル・ディープ』をより理解するための書籍など(パート1)

☆『ソウル・ディープ』をより理解するための書籍など(パート1) 【To Understand “Soul Deep” More; Recommended Books】 推薦本。 NHK-BS1で今日(1月9日・土)まで6夜連続で放送される『ソウル・ディープ』に関連して、この番組、あるいは、ソウル・ミュージックの歴史を知るための推薦参考書をいくつかピックアップしてみた。途中までやったのだが、けっこう量が増えてしまいそうなので、まずパート1としてご紹介。まだかなり見落としているのもあるが、とりあえずということで。 その前にこの『ソウル・ディープ』のサイトがBBCの中にあります。こちらは、5日目(ファンクの回)の曲目リスト。↓ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/5/ NHKで放送されたものは、10分程度短縮されているので、このリストからいくつか落ちているものがあるようだが、全体的な流れはつかめる。 ちなみに、こちらが今日放送・6日目の「ヒップ・ホップの回」↓ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/6/ もちろん、1日目から4日目もこのサイトに紹介されている。 http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/1/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/2/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/3/ http://www.bbc.co.uk/music/souldeep/playlists/4/ さて、参考文献。 まず、1日目。レイ・チャールズの回。基本的にCDは、今回ははずした。ただしドキュメンタリー的なDVDは含めた。各アーティストのCDは、各自チェックしてみてください。 『わが心のジョージア―レイ・チャールズ物語』(レイ・チャールズ/デイヴィッド・リッツ著、吉岡正晴訳) わが心のジョージア―レイ・チャールズ物語 posted with amazlet at 10.01.07 レイ チャールズ デイヴィッド リッツ 戎光祥出版 売り上げランキング: 321274 Amazon.co.jp で詳細を見る 文字通りレイ・チャールズの本人が語った自伝。これを元に映画も出来た。ただし、映画にはクレジットはなし。 DVD『レイ』 … Continue reading

Posted in ドキュメンタリー | 3 Comments

■今日から6夜連続で『ソウル・ミュージック』のドキュメンタリーをNHK-BSで放送

■今日から6夜連続で『ソウル・ミュージック』のドキュメンタリーをNHK-BSで放送 【”Soul Deep”: BBC’s Documentary On Air Tonight At NHK-BS】 ドキュメンタリー。 NHK-BSで今日(2009年1月4日)21時10分(午後9時10分)から22時まで、『ソウル・ディープ』というソウル・ミュージックの歴史を追ったドキュメンタリーが放送される。これはイギリスBBCが2003年に制作したもので、今回は6夜連続で放送される。 詳細はこちら。1日目から6日目までの内容が簡単にでています http://www.nhk.or.jp/wdoc/ 1日目の内容↓ http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/100104.html ブラックミュージックの変遷と発展を、様々なミュージシャンの貴重なインタビューと楽曲でたどるシリーズ“ソウル・ディープ”。第1回は、レイ・チャールズを中心にソウル・ミュージックの先駆者を紹介。ソウルの基礎を作ったR&Bの誕生の背景に迫る。 1940年代、黒人ポピュラー音楽はレイス・ミュージック(人種音楽)に代わり、リズム&ブルース(R&B)と呼ばれるようになる。R&Bはやがてルース・ブラウンやジョー・ターナーの活躍によって、黒人社会で確固たる地位を築いていく。そのR&Bをゴスペルと融合させ、“ソウル・ミュージック”という新たなジャンルを生み出した1人がレイ・チャールズだった。 幼い頃に視力を失ったレイは、盲学校でピアノを学び才能を開花。卒業し大手レコード会社と契約したあとは、その深みのある響く声で白人の若者たちの心をつかんでいった。しかし1950年代、黒人たちは依然として人種差別と闘っていた。そしてソウルはその経験を表現する音楽となっていく。 原題: SOUL DEEP  The birth of Soul 制作: BBC (イギリス 2003年) (以上、NHKのホームページより) ENT>TV>DOCUMENTARY>Soul Deep

Posted in ドキュメンタリー | 1 Comment