2011年01月11日(火) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◎アラン・トゥーサン~ニューオーリンズの香りを漂わせて

テーマ:ライヴ評・レポート
◎アラン・トゥーサン~ニューオーリンズの香りを漂わせて

【Allen Toussaint : With A Touch Of New Orleans】

いぶし銀。

ニューオーリンズというローカルの良質の音楽が、レコード、CDというメディアにのって世界中に運ばれ、それが人気となって、アーティスト本人が日本にまでやってきて、その本場の音楽を披露する。アラン・トゥーサンのライヴは、そんなニューオーリンズ直輸入版そのものだった。きっと、アランは世界中のどこでどんな風に演奏しようとも、そのニューオーリンズの香りは絶対にはがせない。(ま、もちろん、どのようなアーティストも決してその出自は消せないものだが・・・) 2007年10月、2009年5月以来のビルボードへの登場。

一体、ニューオーリンズのリズムの秘密はなんなのだろう。どうやって生まれたのか、そして、どうやって発展したのか。トゥーサン教授に教えを請いたい。ニューオーリンズ独特の「セカンド・ライン」のリズムから、ブギーウギーのようなリズム、ソウル、ファンク、はてはクラシックまで。ありとあらゆるタイプの音楽を縦横無尽にクロスオーヴァーしていた。僕はトゥーサンはもっと「ニューオーリンズ・ニューオーリンズ」しているのかと思ったら、想像以上に多様性のある音楽家だった。

一番盛り上がったのは、12曲目の「バーボン・ストリート・パレード」。このノリは、本当にすごい。ルイ・アームストロング風のヴォーカルをサックス奏者が歌い、どんどん煽っていく。

そして、一番受けたのは、本編最後の「サザン・ナイト」。弾き語りからバンド演奏へ進み、一旦終了し、アンコールへ。アンコールの「ロング・ロング・ジャーニー」は、この日一番染みた。「700万人がこの古い街に住んでいる」という歌詞が、なんともいい雰囲気だった。そして、途中のピアノのフリースタイルでは、まさに好き勝手、自由自在、ありとあらゆる音楽をポップからクラシック、日本の「スキヤキ」「ティップティーナ」「チャタヌガ・チューチュー」などまで混ぜて、ピアノだけで聴かせる即興。これには驚いた。トゥーサンの横顔がときにベートーヴェンのように、そして、なぜかアインシュタインのようにも見えた。自由なピアノ即興をほぼ終えると、エンディングでもう一度「サザン・ナイト」に戻り締めた。このピアノ即興のときに、初めてピアノはスタインウェイでないとだめなんだと思った。こんなに自由自在に音楽を操る達人とは知らなかった。彼の場合、レコードもいいが、それ以上にライヴでその楽しさが感じられるアーティストという気がした。それも多くのライヴをこなし、ライヴに生きてきた経験から生まれるまさにいぶし銀のライヴを奏でるアーティストだ。

ニューオーリンズはフランスの香りがあるからか、どこか小じゃれたところがある。そして、アラン・トゥーサンの音楽にも、南部の泥臭さだけでない何か、ちょっとした洗練が端々に感じられる。事前に予定されたセットリストから大きく離れて、ミュージシャンをどんどんひっぱっていって、ショーを繰り広げた。きっと、毎日、ライヴは違った雰囲気になるのだろう。病み付きになりそうなライヴだ。もちろん、今年一番のライヴでした。(笑) (まだ、2本目ですが)

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(下記セットリスト5曲目の2本のリコーダーのようなフルートのようなものを同時に吹くところから始まるゆったりしたスロー曲がわかりませんでした。最後にトゥーサンが「look around coast」とか小さな声で言ったような気がしたんですが、たぶん、違ってます。「街を眺めると、たくさんのプリティフェイスが見える」みたいな歌詞だったと思います。どなたか曲名ご存知の方、いらっしゃったら、教えてください)

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■メンバー

アラン・トゥーサン / Allen Toussaint(Vocals, Piano)
レナード・ポーチェ / Renard Poche(Guitar)
ハーマン・ルボー / Herman LeBeaux(Drums)
ローランド・ゲリン / Roland Guerin(Bass)
ブライアン・‘ブリーズ’・カヨリ / Brian "Breeze" Cayolle(Tenor Sax)
クレアレンス・’レジナルド’・トゥーサン / Clarence "Reginald" Toussaint(Percussions)

■ セットリスト アラン・トゥーサン、2011年1月9日日曜、セカンドセット、ビルボードライブ東京
Setlist : Allen Toussaint @ Billboard Live Tokyo, Second set, January 9th,2011

Show started 19:30
01. Traffic
02. Sneaking Sally Through The Alley
03. Sweet Touch Of Love
04. Get Out Of My Live Woman
05. ?? (ballad, play two flutes by Roland at the same time) (“Look Around Coast”??)("Pretty, Pretty"??)
06. Who’s Gonna Help Brother Get Further
07. Saint James Infirmary
08. Egyption Fantasy
09. Ruler Of My Heart
10. Play Something Sweet
11. What Do You Want The Girl To Do
12. Bourbon Street Parade
13. Southern Night
Enc. Long Long Journey – freestyle jam – Southern Night
Show ended 2053

(2011年1月9日日曜、ビルボードライブ東京=アラン・トゥーサン・ライヴ)
ENT>LIVE>Toussaint, Allen
2011-002

コメント

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1 ■ニューオリンズ

私が、ニューオリンズの音楽にふれたのは、ミーターズが最初でした。ラッセル・バティステは知り合いです。
アラン・トゥーサンのライブって?すごく知りたかったので、ブログを拝見してよくわかりました。他に、DR.JOHN他のライブは、見ていますが、リズムが独特だと思います。詳しくは説明できませんが、あの街から出来上がったのではないかな?って考えたりもしますよ! 昨日、SWVリハーサル出待ちに行きましたが、アランも、リハーサルに行く前の出待ちに行きたくなりました。

2 ■5曲目のタイトル

本日大阪のビルボードでセットリストの用紙をPA卓で確認させてもらいました。東京と同じ曲順なら5曲目はpretty prettyというタイトルです。

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