2010年11月20日(土) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◎インコグニート・ライヴ~匿名性からほとばしり出るグループとしての独自性

テーマ:ライヴ評・レポート
◎インコグニート・ライヴ~匿名性からほとばしり出るグループとしての独自性

【Incognito: Signature Sound Of Incognito】

独自性。

イギリスのアシッド・ジャズ・シーンから登場し、30年以上人気を保ち続けているブルーイ率いるインコグニートの10ヶ月ぶりのライヴ。前回ライヴは、昨年12月から今年1月にかけてのブルーノート公演だから、年に2度来日していることになる。その前も、2008年3月、12月、2007年3月と来ているので、まるで日本に住んでいるかのよう。(笑)

今回のメンバーは、前回(2009年12月)のメンバーと同一。新作がPヴァイン・レコードから出たので、そこからの作品が何曲か演奏された。けっこう、リーダーのブルーイがよくしゃべる印象。特に日本語をぽろぽろいれるので、なおさら、しゃべる印象が強い。

たとえば、2曲目の「1975」について解説する。「1975年という年は、僕にとって特別な年だった。初めて僕がアース・ウィンド&ファイアー(のライヴ)を見た年だった。そして、スティーヴィーが、『キー・オブ・ライフ』を出した年でもあった。そんな頃のことを歌った歌だ」 (ちなみに、『キー・オブ・ライフ』は1976年作品)

僕がインコグを最後に見たのは、2008年3月だったようで、そのときとはドラマーやシンガーらのメンバーがけっこうかわっていた。今回は、ミュージシャンのソロ、ジャムが多かった印象を持った。また、今回は人気曲「ドンチュー・ウォーリー・アバウト・ア・シング」が演奏されなかった。今回で印象に残ったのは、ボズ・スキャッグスの「ロウダウン」。やっぱり曲がいい。そんなわけでライヴとしては、僕は前回見たとき(2008年)のほうが盛り上がった感じがした。新作アルバムでは、チャカ・カーン、アル・マッケイ、リオン・ウェアまで入ってる。みんなブルーイのアイデアだそうだ。

インコグニートというグループは、その名の通り、「匿名性incognito」が特徴。一人の目立つシンガーとかミュージシャンというより、全体的なサウンド・コンセプトでファンに語りかける。そして、そこに独自のサウンドができる。匿名なのに、署名的な(signature sound)が生まれるところがおもしろい。いつも感じるのだが、こういうコンセプトのグループ、日本でも出来ると思う。「日本のインコグ」「日本のブラン・ニュー・ヘヴィーズ」みたいなグループっていないのかな。別にずばぬけたミュージシャンやシンガーがいなくても、全体をきっちりまとめるサウンド・プロデューサーがいればできるはず。

ライヴ後、ブルーイと話す機会があった。ちょうどボジョレー・ヌーヴォー解禁ということで、楽屋には何本もボジェレーが。「あ、そうそう、『キー・オブ・ライフ』は、1976年だよ」というと、「あ、そうだ。『キー・オブ・ライフ』って言った瞬間、なんか違う気がしたんだ。これをステージでしゃべったのは、初めてでね、なんでかわからないけど、なんとなく『キー・オブ・ライフ』って口をついてでてしまった。1976年が正しいよ」とのこと。

レコード・コレクターでもあるブルーイは、前日、タワー・レコードに行って30枚ほどアナログを買ったという。「あんまりたくさん買うと、奥さんに怒られるからね…」と笑ってみせた。フローラ・プリムとか、カクタスって言ってたかな。「一時期ほどじゃないけど、それに最近はヴァイナルが少ないからねえ」とは言うものの、ちゃんとタワーに足を運んでるところが、えらい。しかし、ブルーイはほんといい人だなあ。

「東京ブルーノートのあと、名古屋ブルーノートやって、ロンドンに戻りその翌日ブラジルに行くんだ。フェスティヴァルのような大きなライヴ。1日だけ、でも1週間いられる。だから、飲んで、泳いで、ゆっくり休むよ」とブルーイ。

おおっ、うらやまし。

■過去記事


2008年03月04日(火)
インコグニートは親日家
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080304.html

2008年03月06日(木)
インコグニートのブルーイ語る
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080306.html

2002/11/26(TUE)
Grandfather’s lesson
http://www.soulsearchin.com//soul-diary/archive/200211/diary20021126.html

インコグニート(ジャン・ポール・ブルーイ・モニーク)インタヴュー
『トラヴェリング・ミュージシャンのソウル』(2002年12月10日)
http://www.soulsearchin.com//entertainment/music/interview/incognito20021210.html

2002/12/19 (Thu)
One Nation Under A Groove
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200212/diary20021219.html

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■ メンバー

++denotes members who came to Japan on March 2008

ジャン・ポール“ブルーイ”モニック(ギター、ヴォーカル)Jean Paul "Bluey" Maunick(g,vo) ++
トニー・モムレル(ヴォーカル)Tony Momrelle (vo) ++
ヴァネッサ・ヘインズ(ヴォーカル)Vanessa Haynes (vo)
ロレイン・ケイト-プライス (ヴォーカル)Lorraine Cato-Price (vo)
シッド・ゴウルド(トランペット)Sid Gauld (tp) ++
アリステア・ホワイト(トロンボーン)Alistair White (tb)
サイモン・ウィルスクロフト(サックス)Simon Willescroft (sax)
マット・クーパー(キーボード)Matt Cooper (key) ++
フランシス・ヒルトン(ベース)Francis Hylton (b) ++
ピート・レイ・ビギン(ドラムス)Pete Ray Biggin (ds)

■セットリスト インコグニート、ブルーノート東京、2010年11月18日
Setlist : Incognito @ Bluenote Tokyo, November 18, 2010

show started 21:35
01. Roots (Back To A Way Of Life)
02. 1975
03. As [Stevie Wonder]
04. Lowdown [Boz Scaggs]
05. Deep Waters (From “Positivity” - 1994)
06. Put A Little Lovin’ In Your Heart
07. Colibri + Jam (Drums & Bass only)
08. Still A Friend Of Mine + Jam (Rap)
09. Expresso Madureira
10. Talkin’ Loud
11. Nights Over Egypt
Enc1. Reach Out
Enc2. Everyday
CD One Love / Bob Marley
Show ended 23:09

(2010年11月18日木曜、ブルーノート東京=インコグニート・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Incognito
2010-190


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