2010年10月14日(木) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◎小沼ようすけライヴ:「グオッカ」(クアドループのリズム)とのケミストリー

テーマ:ライヴ評・レポート
◎小沼ようすけライヴ:「グオッカ」(クアドループのリズム)とのケミストリー

【Onuma Yosuke: Chemistry With Rhythm Of Gwo Ka】

化学反応。

カリブ海に浮かぶグアドループ島(フランスの海外県、公用語はフランス語)のリズム「グオッカ」を取り入れた新作『ジャム・カ』をリリースした湘南のギタリスト、小沼(おぬま)ようすけがアルバム発売と連携してツアー、その最終日を2010年10月12日東京ブルーノートで迎えた。前日の秋田から移動し、このライヴではアルバムのレコーディング・メンバーも参加。

キーボード、ベース、サックスにパーカッション2人、そしてギター小沼ようすけの6人。さすがにおしゃれな感じの女性ファンが多い。

そもそもこのプロジェクトは、今回のプロデューサーの松永誠一郎さんがサックスのジャック・シュワルツ・バルトとつながりがあり、彼とつながりのある2人のパーカッション奏者(=レジーとオリヴィエ。正確にはグオッカのリズムを奏でるグオッカ・ドラマー)が演奏しているCDを小沼が気に入ったことから、そのメンバーでレコーディングしようということになったそうだ。この2人のパーカッションとベース奏者が繰り出すリズムが、グアドループ島の「グオッカ」というリズム。これはさすがに言葉で表現できないので、小沼のその新作『ジャム・カ』を聴いていただきたい。一言で言えば、実に高揚感が出るのりのいいリズムだ。アフリカをルーツに持ち、グアドループ島で独自に発展したという。

当初、全体的なサウンドはまさに南国のホテルのラウンジで奏でるライヴバンドという感じがした。冷えたシャンパーン、白いワインを傍らに南国のそよかぜがブルーノートのろうそくを揺らすといった趣だ。

しかし、徐々にこのバンドの肝は2人のパーカッション奏者だということが明らかになっていく。

本人の説明によると、このアルバムは、今年2月にニューヨークで録音し、そのスタジオはガラス張りで、ときに外に雪が降るのが見える。そんな中で「グオッカ」のリズムをレコーディングしていた。映像が浮かび上がるような小沼のギターと、それを支えるバンドのコンビネーションが実にいい。

僕が特に気にいったのが下記セットリスト6曲目の「ジャム・カ」。パーカッションの2人から繰り出されるこの繰り返しのリズムは実に強力だ。これを聴いていてメルヴィン・ヴァン・ピーブルスのブラック映画『バッドアスBaadasssss!』あたりのBGMに最適ではないかと思った。一昔前のブラック・ムーヴィー(ブラックスポロイテーション映画)のサントラに使えそうな感じだ。だから、これなんか、ヒップホップの連中にサンプリングされてもいい。そう思って聴いていると、ニューヨークのブラック・FMステーションなんかの深夜時間帯にかかってもいいような気さえしてきた。

僕はそもそもブラックっぽいものが好きなので、小沼のブラック・フィーリングあふれるギターが出てくるとすごく気分が高揚するが、この日もシンプルなカッティングは実に最高。アンコールの1曲目に出た「ファン・カ」は、2人のパーカッション(まるで兄弟のよう)とキーボード、ベース、サックスすべてがソロを演じ、特にパーカッションだけになるバトル部分は圧巻だった。途中からひじょうに難しいリズム(何拍子なのかわからなくなった)で繰り広げられるパーカッションのさまざまなリズムには圧倒させられた。たった2本の腕で、2人ともさまざまなリズムを生み出す。オリヴィエとアーノウは、まさにリズムの総合商社だ。

熱くなったセッションを終えるとバック・メンバーはステージを降り、小沼だけが残った。そして、最新アルバムの最後に収録されている「チアラモンティ」をアコースティック・ギターで一人で弾いた。まさにそれまでが「動」だったら、最後の締めは「静」だった。

彼などを見ていると、才能あるアーティストというのは、一緒にコラボするアーティストたちによって、さまざまな引き出しにある才能をひっぱりだされるんだなあ、ということを痛切に感じる。グアドループの「グオッカ」のリズムと結合することで、小沼は自身の中にある新たな才能を発見した。まさに化学反応、ケミストリーだ。

ミュージシャンは、あちこち世界に旅をすればするほどいい。

■ ジャム・カ 小沼ようすけ最新作

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■メンバー

Yosuke Onuma(g) 小沼ようすけ(ギター)
Jacques Schwarz-Bart(sax) ジャック・シュワルツ・バルト(サックス)
Milan Milanovic(Rhodes) ミラン・ミラノヴィッチ(ローズ)
Reggie Washington(b) レジー・ワシントン(ベース)
Olivier Juste(per) オリヴィエ・ジュスト(パーカッション)
Arnaud Dolmen(per) アーノウ・ドルメン(パーカッション)

■セットリスト 小沼ようすけ
Setlist: Onuma Yousuke @ Bluenote Tokyo, October 12, 2010

show started 21:40
01. Rain Drops
02. Seascape
03. Dlo Pawn
04. Friend & Lover
05. Esan
06. Jam Ka
07. Flyway
Enc. Fun Ka
Enc. Chiaramonti
Show ended 23:25

(2010年10月12日火曜、ブルーノート東京=小沼ようすけライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Onuma, Yosuke
2010-168

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