2009年05月31日(日) 06時16分14秒 soulsearchinの投稿

◎小川隆夫さんの音楽"トーク絶好調"ゼミナール(パート1)

テーマ:ブログ
◎小川隆夫さんの音楽"トーク絶好調"ゼミナール

【何でも知ってる音楽物知り、歩く百科辞典・小川隆夫さんの音楽ゼミナール】

百科辞典。

以前から気になって見に行きたいと思っていたジャズ評論家の小川隆夫さん主催のトーク・イヴェント、「音楽ゼミナール」を2009年5月29日(金)やっと見に行った。会場は駒場東大前の住宅街にあるオーチャード・バーという小さなバー。なにかテーマを決めてトーク(脱線あり)をしながら音楽をかけていくというもの。今回は、昨年8月以来通算21回目。テーマは、「60年代音楽シリーズ第一弾:ザ・ヒット・パレードの時代」。テレビ番組『ヒット・パレード』を軸に日本のポップス黎明期にスポットをあてたトークと音楽の紹介だ。早めに行ったが、すぐに20席ほどが満席に。

小川さんはマイルス・デイヴィスをはじめとして多くのジャズ関係の著作を残されているが、実はソウル、R&B、はたまた60年代のポップス、グループ・サウンズ、歌謡曲などにも造詣が深い。そして60年代のポップス、歌謡曲などの音楽についての本を書きたいと思った、という。でも書くよりも、話したほうが自分は楽なので、選曲をして、話をして、それを録音し、原稿に起こしたらいいのではないかということで、このテーマでのゼミをスタートさせたそうだ。

日本のポップス、グループ・サウンズなどの実に細かい裏話などをしながら、アイ・ポッド(小川さんは4台以上所有=各1万曲収録)を使って、その関連曲を次々とかけていく。当日のセットリストは下記を参照していただくとして、曲間のトーク・ネタでおもしろかったものをいくつか。

小川さんはアイ・ポッド自体を何台も持ち、ジャンル分けして、使い分ける男だった。

小川さんは1950年渋谷に生まれ、育つ。初の洋楽体験は、おそらく1956年頃、ジーン・ヴィンセントの「ビー・バップ・ア・ルーラ」であった。その当時はSP盤78回転で、蓄音機も手巻きで1曲終わると針を交換し、ねじを巻いてかけていた。音楽の魅力に惹きつけられた小川少年はFENやら他のラジオを聴いて、どんどん音楽にはまり、レコードを欲しがるようになる。

小学生、中学生時代、渋谷・百軒店(ひゃっけんだな)に「ひまわり」という電器屋さんがあった。まだ道玄坂にヤマハはなかった。その頃はいわゆる電器屋でレコードを売っていた。小学生、中学生ではそれほどの小遣いがあったわけではない。小学生時代の小遣いがせいぜい月500円程度だった。6歳年上の兄がいてある日兄と一緒に電器屋にいくと、兄はお金を払わずにレコードを持って帰ってくる。なんだと思ったら、ツケで買うというシステムがあることを知る。そこで、どんどん欲しいレコードをツケで買うことを覚える。では一体そのツケは誰が払っていたのか、ときくと、親が払っていたそうだ。(笑)「だけど、自分は、それなりに自己規制するんですよ(笑)」。

小川さんは小学生、中学生時代からレコードをツケで買っていた男だった。

小川さん本人も一体何回続くかわからない、という「60年代音楽シリーズ」。今回のゼミの中でも、彼が注目したのは、漣健児(さざなみけんじ)という人だ。アメリカやヨーロッパなどの洋楽曲に、実に巧みに日本語の歌詞を乗せ、それを日本でヒットさせてしまった人物である。それはそれは見事な歌詞だ。60年代のヒット・ポップスの多数の訳詞をてがけているのが、漣健児さん。「洋楽を日本に定着させた大きな貢献者、日本の洋楽の裾野を広げたことで、(洋楽シーンが)次なる時代を迎えることができた」と小川さんは分析する。まったくその通りだと思う。ここ試験にでる重要ポイントです。(笑)

April 11, 2005
Nat King Cole Sings "Love" In Japanese In A Beautiful Way
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_04_11.html
漣健児氏の傑作のひとつ、「ラヴ」。

June 08, 2005
Shoo Kusano Died At 74
【草野昌一氏(漣健児の本名)、74歳で死去】
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200506/2005_06_08.html

14と15は、日本でヒットした15は、その20年以上も前にヒットした14に酷似しているという話をしてのかけ比べ。もともとトニー・ベネットがオーディション・テープで吹き込んだ曲だそうだ。

おもしろかったのは、スリー・ファンキーズの「浮気なスー」(オリジナルはディオン)をかけるときのエピソード。このスリー・ファンキーズからひとりメンバーが辞めて補充されたときに加入したのが、手塚しげおという男で、この人はその前年にテレビの少年時代劇『矢車剣之助』の主役、矢車剣之助をやっていた人だった、というお話をした。テレビのアイドルみたいな人がこのグループに加入したので、よく覚えていた、と小川さんは言う。しかし、そんなこと、よく覚えてますね、と言うと、「高校時代、友達とどこかへ行ったとか、旅行に行ったなんて話はぜんぜん覚えてないんですが、そういうこと(音楽ネタ、レコードネタ)は、事細かに覚えてるんです。なんか変なんですよ(笑)」

小川さんは、こと音楽のことになると、人がすっかり忘れているようなことを全て覚えている男だった。

このゼミナールが終わったあと、小川さんとゆっくり話をした。マイルス・デイヴィスの話しなど、ノン・ストップ、『小川隆夫の絶好調トーク!』で実におもしろかった。それにしても、歩く百科辞典だ。

(というわけで、その模様は、明日以降へ続く)

小川さんのブログにはすでに金曜のことがアップされています。
http://blog.excite.co.jp/ogawatakao/10336726/
(何枚か写真が掲載されています。一番上の写真で、僕に似た人物が寝てるように見えますが、それは寝てるのではなく、下を向いてメールを打っているところです。(笑)その手前は一緒に行ったソウルメイト、内田さん=彼も大変エンジョイしました)

■ セットリスト 小川隆夫の音楽ゼミナールVol.21 @オーチャード・バー、駒場東大前、2009年5月28日(金)
Setlist: (  )=かけたアーティスト [ ]=そのオリジナル

show started 20:02
01. ビー・バッブ・ア・ルーラ(ジーン・ヴィンセント)[ジーン・ヴィンセント ]
02. ビキニ・スタイルのお嬢さん(パラダイスキング)[ブライアン・ハイランド]
03. Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Poladot Bikini (Bryan Hyland)(上記02のオリジナル)
04. ザ・ヒット・パレードのテーマ
05. 可愛い花(ザ・ピーナッツ)[フランスの曲「Petite Fleur」]
06. おおキャロル(かまやつひろし)[ニール・セダカ]
07. 悲しき60歳(坂本九)[トルコのヒット曲「ムスターファ」のカヴァー]
08. 可愛いベイビー(中尾ミエ)[コニー・フランシス]
09. ヴァケーション(コニー・フランシス、日本語ヴァージョン)
10. 渚のデイト(伊東ゆかり)[コニー・フランシス]
11. ルイジアナ・ママ(飯田久彦)[ジーン・ピットニー]
12. Sweet 16 (ニール・セダカ)
13. すてきな16才(弘田三枝子)[ニール・セダカ]
14. The Boulevard Of Broken Dreams (夢破れし並木道)(トニー・ベネット&スティング) [Tony Bennett]
15. ワン・レイニー・ナイト・イン・トウキョウ(越路吹雪)[アントニオ古賀、越路吹雪、西田佐知子、和田弘とマヒナスターズ、ピーナッツなど]
16. 浮気なスー(スリー・ファンキーズ)[ディオン]
17. ロカ・フラ・ベイビー(ほりまさゆき)[エルヴィス・プレスリー]
18. ブルージーンと皮ジャンパー(内田裕也)[アダモ]
19. 君はわが運命(ミッキー・カーティス)[ポール・アンカ]
show ended 21:32

(2009年5月29日金、駒場東大前・オーチャード・バー=小川隆夫の音楽ゼミナール第21回)
ENT>MUSIC>EVENT>Ogawa Takao’s Music Seminar
2009-55

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