NO.822
2004/10/30 (Sat)
Fertile Ground: Fertile Musical Band From Baltimore

肥沃(ひよく)。

3本の羽根を頭につけ、ユニークな民族衣装に身を包んだリードシンガーは、ナヴァーシャ・ダーヤ。そしていかにもローカルバンドらしいメンバーがステージで準備を整える。ライヴを見るのは初めてだが、これは期待できそう。

ドラムス、ギター、パーカッション、トランペットとサックス、キーボードにコーラス2人、そして、ナヴァーシャの計9人のステージ。なぜかベースがいない。ベース部分はほとんどキーボードが担当している。日本ではほとんど無名のボルティモア出身のロウ(生の)・ジャズ・ファンク・グループ、ファータイル・グラウンドのライヴ。グループ名の「ファータイル・グラウンド」とは、肥沃な土地、といった意味。グループ名は中身を表していた。

一言で言えば、ものすごく70年代的なバンド。まさにオールドスクールな土着的ファンク系のバンドだ。最初に思い出したのが、ちょっとラテン系もはいっていたマンドリルというファンク・バンド。ファータイルたちもファンクをベースにジャズ、ラテン、アフリカ、レゲエ、ニューオーリンズ的なサウンドをまぶす。音楽的多様性がじつにある。それもかなりのオールドスクールスタイルで。この音楽的多様性をしてファータイル・グラウンド(肥沃な土地)と名乗るのはひじょうに納得がいく。

ゆったりとしたグルーヴ感のある1曲目「チェンジング・ウーマン」から、アップテンポの2曲目「リヴィング・イン・ザ・ライト」あたりで、充分このバンドのコンセプトはわかった。ヴォーカルのナヴァーシャの声は、エリカ・バドゥ、あるいはレイラ・ハザウェイのような低い落ち着いた声で魅力的。

曲によって、それぞれの楽器のソロを聴かせる部分もある。ちょっとチャーリー・パーカー似のサックスに、エディー・マーフィーかアイザック・へイズ似のトランペットの2人のホーンセクションがかなりのアクセントをつけている。各個人がとりたてて凄腕のミュージシャンということではないが、サウンドとしてひとつになると方向性がしっかりして、バンドのコンセプトが見事に浮かび上がる。70年代にジャズ・ファンク・グループという言葉で表されるバンドがあれば、こんな形になっていただろう。

70年代のジャズ・ファンク・バンド。もっとプロモーションすれば人気がでてもまったくおかしくない。少なくともワイルド・マグノリアスくらいまでは行くのではないか。メンバー紹介でキーボードのジェームス・コリンズが彼女の夫だと言っていた。なるほど夫婦ファンクバンドか。

途中でのインストになり、ナヴァーシャがそのリズムにあわせて踊っているところなど、何かヴードゥーの儀式かと思わせるような独特の雰囲気を醸し出していた。

アンコール手前の曲が終った後、彼女は叫んだ。「ピース、ビー・ナチュラル!(ピース、自然にふるまいましょう)」 それにしてもこのナチュラルなファンクをベースとした肥沃な音楽的土壌はいい。



Setlist (2nd) (At Tokyo Blue Note, 10/29)

show started 21:33

1. Changing Woman
2. Living In The Light
3. Spirit World
4. Yesterdays
5. Black Is...
6. Yellow Daisies
7. You
8. Being Natural
Enc. Let The Wind Blows

show ended 23:11


ブルーノートのウェッブ


グループのオフィシャルサイト(英語)


ファータイル・グラウンドのメンバーが、31日(日曜)『ソウルブレンズ』(インターFM76.1mhz=午後1時から5時)で2時台にゲスト出演します。残るライヴは、ブルーノートは土曜日(30日)、日曜(31日)と月曜(1日)は横浜モーションブルーへ出演。

(2004年10月29日・金・ブルーノート東京・セカンドセット=ファータイル・グラウンド・ライヴ)

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Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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