NO.758
2004/08/30 (Mon)
What Is The Best Picture Of Music
ライヴ映像。

マウントフジの映像について少し書いてみたい。ライヴ会場はかなり広い。キャパは5-6000人で、立派なステージの左右にテレビモニターのスクリーンがある。ドームなどでよく見られる、あれである。そこで行われているライヴショウの映像が映し出される。一番後ろで立って見ていたので、どうしても、その大きなモニターを見る機会が多くなってしまった。普通は、モニターはほとんど見ずにミュージシャンを直視することが多いのだが。

最低5台くらいのカメラがあったと思う。一番後ろ中央から真正面、全体をとるカメラが2台。ステージ真下にレールの上に乗って左右に移動するドリーカメラ。ステージの上の手持ちカメラが2台。もう一台どこかにあったかもしれない。

さて、そのモニター映像、それがそのままテレビ映像となって放送されるかはわからない。そのライヴ会場だけの映像かもしれない。放映分はもっときちんとした映像が編集されるのかもしれないが、ここのでライヴモニター映像がうっとうしく感じられた。まったくダメなのだ。とにかく画面の切り替えが忙しく、落ち着いて見ていられない。まったく集中できない。

例えば、ジョーサンプルのピアノソロになった。ワンテンポ遅れて(これポイント)、手持ちカメラが後ろからジョーを背中からとり、手元を映し出す。じっと見ているとあっという間に別の映像に切り替わってしまう。「おっと、もっと見たいぞ」と思ってももう遅い。また、このワンテンポ遅れてというのが、なさけない。事前にある程度、曲を知っていると、だいたいどこで誰のソロになるかがわかる。そうすると始まる直前くらいにそのソロを撮りはじめるのが美しい。

この次々に映像が切り替わるのはまあ、いかにも最近のヴァラエティー的というか、日本のテレビ的というか、しょうがないのかもしれないが、少なくともプロのミュージシャンの音楽映像にはなんとかしていただきたい。映像を作っている人たちは少なくとも音楽を知っている人ではない。あるいは音楽ライヴなどをあまり見たことがない人だろう。もう少し海外のものでもいいのでいい音楽ライヴの映像などを勉強してもらいたいものだ。

この映像を見ていて、自分が音楽ライヴを見るとき、どういう目線の動きをするかふと考えた。やはり、全体的なシーンを見て、ソロになると、そこに集中している。あるいは、ソロでない時でも誰かのプレイに集中したくなると、そこを見る。2秒ごとに視線が変わることはない。

正確には覚えていないのだが、かつてフレッドアステアが自分のダンスを撮らせる時、正面からカメラを動かさずに最後まで撮れと言ったというような話をどこかで読んだことがある。もっとも大事なことはパフォーマンス自体にパワーがあるとき、その被写体を撮る側は下手な小細工をするな、ということなのである。ライヴミュージシャンに力があれば、一番いいライヴ映像は、正面センターからとる固定映像だ。まずそのあたりの基本を知ってから、映像作りをして欲しい。日本人アイドルを撮るなら、カメラを動かし、いろいろと映像で遊んでもいいだろう。しかし、こうしたちゃんとしたプロのライヴミュージシャンを映像化するときは、音楽が好きで、音楽を知る、それなりのプロの撮影スタッフにやってもらいたい。オンエアされるものは、ちゃんとした映像になっていることを期待したい。

音楽ライヴを撮影する時のベストな映像は何か。大きなテーマだ。

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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