NO.729
2004/08/03 (Tue)
Another "American Dream"
夢。

階段を降りると分厚いカーテンがかかっていて、それをくぐりぬけるのにけっこうな力が必要だった。なんとか、かいくぐって店の中に入ると、かなり暗い。初めて足を踏み入れた神田のTUC(タック)というジャズの店。席数50くらいか。つめれば70くらい行くらしい。ステージ中央にハモンド・オルガンを弾く女性。右手に黒人のドラマー。左手に日本人ギタリストの計3人。

ニューヨークから来た敦賀明子さんというハモンド・オルガン奏者のライヴがあると友人Oから連絡をもらったのは、ほんの25分ほどまえ。ちょうど別の仕事をしていたが、スクランブル発進して現地におもむいた。

その黒人ドラマーが、店内が暗くて顔などわからないのだが、軸がぶれずに、ひじょうにシュアなドラムを叩く。おそらくかなりのヴェテランなのだろう。それも、いとも簡単にさらりとやってのけるのだ。しばし、その彼に目が釘付けになった。軸がぶれずにドラムを叩くドラマーが僕はとても大好き。ゴルフも、他のスポーツも、なんでも、軸がしっかりしていることはとても大事なこと。余談だが、軸がぶれないドラマーの最高のひとりは、デニス・チェンバースだ。あれだけ激しく叩いても、頭があんまり動かない。

そこで、興味を持って、その誘ってくれた友人Oさんに尋ねた。「あのドラマーも、ニューヨークから来た人? 名前はなんていうの?」 「えーとね、なんだっけ、グラディー・テイトとかいってた・・・。歌も歌ってた、さっき」 「えええっ、グラディー・テイト??? レコード持ってるよ。へえ〜〜」 てなわけで、今年72歳の超ヴェテラン・ドラマー、グラディーさんでした。

僕が見たのはセカンドセットだけだったが、その中で一曲彼がマイクを持って、歌声を聴かせた。これがなかなかのもの。確か、レコードでも彼はよく歌っていたと記憶する。それに明子さんのハモンドが軽快にからむ。オルガンの音というのは、たださえファンキーな雰囲気が醸し出される。

ライヴが終ってでてきたテイトさんとちょっとだけ話した。「日本は何度目かなんて覚えてます?」「いやあ、覚えてない。たくさん、たくさん、来てるよ」「じゃあ、初めて来たのはいつ?」「さあなあ、60年代のどこかだろうな。67とか68年くらいじゃないか。覚えてない」 「じゃあ、誰と来たかは覚えてませんか?」 「オ〜〜ノ〜〜、覚えてないよ(笑) でも、日本は観客がみんな一生懸命音楽を聴いてくれるから大好きだよ」

「最近も依然、けっこうプレイするんですか?」「いやあ、今はあんまりしないな。気にいったアーティストだけだよ。疲れるしね。(笑) アキコは、とても成長している。彼女のことは好きだから一緒にプレイするんだ。彼女はいいよ!」 「歌とドラムはどちらが多いのですか?」「自分の時はほとんど歌だな。でも、今日は彼女が主役だろう。(と言って彼女の方を指差す) だから僕はあんまり歌わないんだ(笑)」 

女性のファンキーなオルガン奏者というのは、他に知らないので、敦賀さんにはぜひがんばっていただきたい。彼女のMC。「え〜、ニューヨークに渡って、向こうでずっとやってきて、それでやっとCDを出して(M&Iレーベルから発売された)、こうやって日本にライヴのために戻ってこれたっていうのは、私的には十分『アメリカン・ドリーム』なんですけど。(観客席から笑い) このCD、ぜひお買い求めの上、ご家族みなさんで、お聴きください」 う〜む、さすが大阪出身。言うことがおもろい。でも、もっとおもろいこと、たくさん、言うてな。

あ、そうそう。グラディーさん来週いっぱい日本にいる。来週はなんと青山ボディー&ソウルの30周年ウィークだそうで、店にいろんな人が来るらしい。彼も、毎日行ってるそうだ。「ボディー&ソウルで、また会おう」と言われた。

敦賀明子オフィシャル・ウェッブサイト
http://www.akikotsuruga.com/index-japanese.html
http://www.akikotsuruga.com/index-english

神田タック・サイト
http://www.tokyouniform.com/tokyotuc/

(2004年8月2日月曜、神田タック(TUC)=敦賀明子ライヴ)

ENT>MUSIC>LIVE>Tsuruga, Akiko / Tate, Grady

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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