NO.498
2004/01/02 (Fri)
"Trouble Is Not Something To Avoid, It's Something To Resolve"
困難。

おせち料理などを食べながら、テレビのリモコンをかちゃかちゃやっているとノーベル賞受賞者である利根川教授のインタヴューがNHKで放送されていた。作家の村上龍氏が聴き手で、とてもおもしろいインタヴューだった。その中で自分が高校に入ったときだったか、初めて自分より頭がいい奴がたくさんいることを知って驚いた、という話がでてきた。ほんの二日前に中学時代の同級生たちと食事をしたときにまったく同じ話題になったので、おもしろかった。それはさておき、そんな頭がいい連中の中で自分がなにか成果をだすには他の人と同じことをやっていてはダメだと思ったという。その結果、クラスのほとんどは東大に行くのに、彼は京大に進む。その後いろいろあって最終的にノーベル賞を受賞するわけだが、そういう学生を育てるのにどういう環境がいいか、みたいな話になった。

利根川教授は、学生たちに好き勝手にやらせている、という。クリエイティヴな部分を伸ばすにはこれが一番。多くの学生を見てきて、何かを成し遂げる人物というのは、もともとの頭の良さだけではない、ということを感じているという。彼より頭がいい連中というのは確かにたくさんいた。だが、いくつかの点で違っていた。彼は言う。「それにはいくつかの要素があるんですよ。例えば、質問ができることとかね。多くの人は質問さえわからないんだ。それから、めげないこと、とかね」 そういう要素が組み合わさって、他の誰もができない研究が完成するわけだ。

利根川教授は言う。人間が充実しているのは、何か目的を持って、それにまい進している時だ。ひとたび目的を達成してしまうと、次の目的を見つけないと、だめになってしまう、というようなことを指摘していた。そして、人間がハッピーであることを感じるのは、その目的へまい進している途中にこそある、という。

インタヴューの中で、彼の子供が作文の課題を書いたときの話もおもしろかった。アメリカと日本で同じような内容の作文を書いた。それは「すきやき」というタイトルで、「自分はすきやきが大好き。特に肉が大好きだ・・・」といったもので、それに対するそれぞれの先生のコメントが象徴的だった。アメリカの先生はその作文を読んで、「すきやきっていうのは食べたことがないけれど、おいしそうだ、ぜひ、今度おいしいすきやきの作り方をおしえてくれ」と書いていた。一方日本の先生は、「健康のためには、肉だけではなく、野菜も食べましょう」というものだった。 思わずその話を聞いて僕は笑ってしまった。これは日米おもしろい違いだった。

この利根川教授の後、日産のカルロス・ゴーン氏がでてきて、再生の話を中心にしていたが、これもなかなかおもしろかった。伸びる人の条件というのは、1にやる気がある人。どんなに頭がよくてもやる気がない人は結局は結果をだせない、という。そして2番目があきらめない、ということ。困難とは、避けるものではなく、解決するもの、という言葉に彼の強い意志を感じた。僕なんかも、避けちゃうからねえ。

今年は、困難を解決していきましょう。困難を解決すると、成長する。(←自分への戒めです)

((2004年1月1日=NHKテレビ『NHKスペシャル・村上龍とリーダーたちの対話』)

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Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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