NO.462
2003/11/30 (Sun)
Album Between Elbert & Errison
クロスロード。

僕のレコード棚は、基本的にグループ、男性ソロ、女性ソロに分けて、それぞれアーティストの苗字(ファミリー・ネーム)のABC順で並べてあります。男性シンガー、ソロアーティストのダニー・エルバートとキング・エリソンの間に一人のソウル・シンガーのレコードがはいっています。「EL」と「ER」の間です。EM EN EO EP EQ などがきますね。個人名でEO EQなんてありませんね。それは1982年2月21日にRCAレコード(当時)から発売されたアルバムでした。タイトルは 『ミッドナイト・ランナー』 。

覚えてますよ。このアルバム。ものすごいソウルフルなアルバム。ウィルソン・ピケットみたいなジャケット。20年以上ぶりにひっぱりだしたアナログ・アルバムの中にはレコード会社が作ったチラシとともに、初回プレスだけだったか、17センチシングルが3枚収録されていました。これは、プロモーション盤だけだったのかな。いかにもソウルのシングル盤みたいなデザインのおしゃれな、いい感じの7インチです。そうだ、あった、あった。ライナー、桜井ユタカ氏。

RCAからのキャッチフレーズは「スーパーソウル・シャウター」。B面一曲目の「スイート・リトル・ラナ」は、ミディアム調の南部風ファンキーソウル。これ、よく聴きました。

さて、アルバム 『ミッドナイト・ランナー』 を歌っているのは円道一成さんという和製ソウル・シンガーです。今でこそ、J-ソウルなどと言われることがありますが、円道一成さんはまさに日本のソウルシンガーの第一期のシンガーです。円道(えんどう)なので、ENのあたりにあるわけです。久保田利伸さんなどよりも、さらに前の世代ですね。上田正樹さんらの少し後くらいになります。でも実際に会ったり、ライヴを見たりしたことはありませんでした。

なんで彼の話題を出したかというと、なんと昨日の深町純さん定例ピアノ会で、円道一成さんがゲストで登場し、一曲歌っていったのです。いやあ、驚いたなあ。最初、深町さんが「僕の友人のエンドー君。エンドー・イッセイ君・・・」と言って紹介したときにはちょっとわからなかったですが、すぐに思い出しました。彼は「一瞬だけ頭を使わなくていい音楽をやります」と言って、「いえ〜〜〜」と声を張り上げました。

深町さんのゴスペル調のピアノに、まささんというパーカッション奏者の演奏にのせて、それをなんと30秒も続けたのです。永遠に続くかと思った。イントロでがっちり観客全員のソウルをわしづかみ状態。拍手喝采。そして一言。「死ぬかと思った」で爆笑をとる。あの少ししわがれた声は、昔とまったく変わりません。曲は「スタンダ・バイ・ミー」。まいった。それにしてもよく声がでている。

高校時代夢中になっていたラグビーの練習中に骨折。その入院していた病院でラジオから流れてきたオーティス・レディングに感銘を受けて、ソウルシンガーになったのが、円道一成さんです。80年CBSソニーからデビュー後、82年RCAから第2弾アルバムをだしました。それが 『ミッドナイト・ランナー』 でした。ソニーからの作品は残念ながら持っていませんでした。(彼の作品、アルファから出たのかと思っていたのですが、RCAだったんですね。ちょっと勘違い)

約9分の「スタンド・バイ・ミー」の堂々とした熱唱は、途中観客とのコール&レスポンスを含め、静かなアートカフェの観客を立たせ、躍らせ、歌わせ、そして、深町さんを再び嫉妬させた。(笑)  アートカフェ、ソウルカフェに転じた瞬間でした。深町さん、熱気の中で終了した後、こう言い放った。「これは、刺身のつまですからね」(爆笑) まあ、でも、この「スタンド・バイ・ミー」のバックの深町さんは、リチャード・ティーみたいにファンキーでいつもとまったく違うのりで、かっこよかったですよ。(←フォロー)

ライヴが終った後、ちょっと円道さんと話をした。「アルバム、持ってますよ。今はどのようなご活動を?」と聞くと、いろいろライヴ活動を中心に、作品も自らインディで発表しているとのこと。ホームページに詳細がでている、という。その間もひっきりなしに握手を求める人たちが。

http://www.team-ize.com/item.htm

なるほど。いろいろCMなどもやられているんですね。

レコードが出たときには会う機会がなかったのに、20年以上もたってから、まったく予期せぬところで出会うんですねえ。しかも、深町さんのライヴでねえ。これだから、やめられないですね。(笑) 彼が歌い続けてきたことを知らなかったですからね。フルライヴ、見に行きましょう。

円道さんは20年以上ソウルを歌い続けてこの日アートカフェにやってきた。そして、僕は20年以上ソウルを聴き続けてこの日アートカフェにやってきた。アートカフェは、クロスロードです。

そして、エルバートとエリソンの間にひっそり眠っていたエンドーのアルバムが20年ぶりに僕のターンテーブルに乗った。

(2003年11月29日(土)恵比寿アートカフェ=深町純ライヴ、円道一成ゲスト)

ENT>MUSIC>LIVE>Jun, Fukamachi, Issei, Endoh



Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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