NO.404
2003/10/04 (Sat)
James Brown Live At Budoukan, Day 2: "A" Sign Song
"A"。

ジェームス・ブラウン・ショウはいつでもサプライズの連続だ。同じショウは二度とない。ミスター・ブラウンのショウには事前に決められた曲目表(セットリスト)がない。すべて、その日、その気分、その場ののりで曲が決まっていく。だから、同じショウはふたつとしてない。同じ曲でさえ、ソロパートをとる人間を変えることもあれば、長さが短くなったり長くなったりすることもあるから、毎回違うということになる。

ジェームス・ブラウンはヒット曲で100曲以上、アルバムで80枚近くあり、しかもソウルクラシックさえも歌うからレパートリーの正確な数など誰も知らない。500曲かあるいは1000曲くらいあるのだろうか、その中から、その日のステージで歌われるのはせいぜい20曲から多くて30曲。これでは一回見ただけでは、「君たちは、われわれができることの5パーセントしか見ておらんよ」とミスター・ブラウンが言う通りだ。

初日とは違ってソウル・ジェネラルは、この日はおなじみの「ソウル・パワー」から始めた。いきなり全開だ。白のパンツに青いジャケットがミュージシャンたちのユニフォーム。ダニー・レイは黒のスーツに赤いチーフを胸ポケットにさし、実にかっこいい。伊達男とは彼のような人物のことか。英語では、Dudeだろうか。ダニー・レイの声がいやがおうでも、ガソリンが撒かれた会場に火をつけようとする。

「メイク・イット・ファンキー」でブラウンはスタート。ジェフのサックスが発火材となって炸裂する。続く「ゲッタップ・オファ・ザット・サング」ではリロイのサックスが爆発。一気に、会場は火事場と化した。そして4曲目の「アイ・ガット・フィーリン」でミスター・ブラウンが自ら「サプライズをお送りしよう」と言って、ドン勝本氏をステージにあげた。二人でしばしファンキー・ダンスを披露。

ブラウン・ショウにはいくつもの秘密がある。曲順があらかじめ決まっていないため、ミスター・ブラウンは次の曲のキューをだす。そのキューは時に言葉だったり、指で作る数字のブロックサインだったりする。そして、この日、ひょっとしたらサインのひとつがわかったかもしれない。ブラウンがバンドメンバーに向かって「A!」というと、彼らは「リヴィング・イン・アメリカ」を始めた。「A!」という単語が「リヴィング・イン・アメリカ」へのサインではないだろうかと思ったのだ。前日は、それをおそらくマイクを通さずにステージで直接メンバーに言っていたのかもしれない。

この途中で、銀色のマントが登場、ダニー・レイがそれをブラウンの背中にかけ、ブラウンははらいのける。でも、今日も一回だけ。その後、ビタースイートのメンバーのひとりシンシア・ムーアがアレサの「リスペクト」を歌った。これはなかなかいける。

この日のハイライトは、なんと言っても「スーパーバッド」だろう。このリズム、圧倒的に押し寄せてくるファンクの波は、圧巻だ。めちゃくちゃかっこいい。途中のリロイのサックスもかなりいい。さらに、これに続いて「ホットパンツ」が演奏された。また、この日はほんの少しだったが、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」が歌われ、もう一度マントショウが行われた。

もうひとつ、サインを知っている。ブラウンが「ビッグ・ストロングD」と叫ぶと、「アイ・フィール・グッド」になだれこむ。アップテンポ、ミディアム調、スローと自由自在に様々な曲をちりばめるショウは、まさに飽きることがないエンタテインメント・ショウだ。確かにリズム隊などは70年代初期のバンドのほうが強烈だっただろうが、21世紀の今日、これだけのレヴューを見せてくれるという点で驚嘆と畏敬の念を持たざるを得ない。しめは12分間の「セックス・マシーン」。アンコールは、やはりなかった。同じように観客はアンコールを求めた。会場に放たれた火を消すには長い時間が必要だった。

(ジェームス・ブラウン・インタヴューは近日中に掲載します)


show starts 19:17

1. Soul Power (Soul General)

2. Ain't It Funky Now - Gimme Some More (Danny Ray)
3. Make It Funky (以下特記なきものはJames Brown)
4. Get Up Offa That Thang
5. I Got Feeling (King Of Soul - cameo)
6. Living In America
7. (Mother Popcorn-Bridge)
Respect (Cynthia Moore)

8. Try Me
9. (What My Mama Say)(?) Instrumental Jam
10. Try (Tommie Rae Brown)
11. My Lonely Days Are Gone(Tommie Rae Brown)
12. Medley: Come Rain Or Come Shine(Tommie Rae Brown)
You Send Me (James Brown)
Unforgettable (Tommie Rae Brown)
Bewildered (?) (James Brown)
Baby, I Love You (?) (Tommie Rae Brown)
13. I Can't Turn You Loose (Tommie Rae Brown)

14. Just Say You Come Back To Me (?) (Bittersweet)

15. Super Bad
16. Hot Pants
17. It's A Man's Man's Man's World
18. Please Please Please (cape show)
19. I Feel Good
20. Sex Machine

end of the show: 20:47

【2003年10月03日金曜・日本武道館=ジェームス・ブラウン・ライヴ】


ENT>MUSIC>LIVE>BROWN, JAMES 2003.10.3

タイトル・"A"の叫びが始める物語
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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