NO.207
2003/04/01 (Tue)
The Worst April Fool's Day Ever
命日。

4月1日は、エイプリル・フールですが、ソウル・ファンにとっては、何をおいても、マーヴィン・ゲイの命日ということで記憶されます。マーヴィンの誕生日は1939年4月2日。命日は1984年4月1日。45歳の誕生日を翌日に控えての他界だったわけです。悪夢のエイプリル・フールです。

そのニュースを知ったのは、日本時間で4月2日の午後ということになります。ちょうど、その日から、テレビ朝日がCNNと提携して番組を放送するようになったんですね。それで、そのニュースで見ました。ですから、僕にはCNNの日本での放送開始と、マーヴィン死去のニュースがいつもワンセットで記憶にあります。それはびっくりでした。

マーヴィンのライヴは、79年9月に来日したときに武道館で2度見ました。これも衝撃だったですが、その後、83年8月にロスアンジェルスのグリークシアターで見ることができて、それも生涯忘れられないライヴのひとつです。8月だというのに、オープンエアの会場は、けっこう寒かったです。ライヴ後、バックステージに行ったら、めちゃくちゃたくさん人がいて、アメリカのコンサートのバックステージはいつもこんなに混んでるのかと思いました。日本のは、そんなでもないんで。

その日はけっこうバックステージにいたので、帰り際駐車場まで行く道が、もうほとんど人がいなくて、暗くて、かなり怖かったのを覚えています。

その前、83年5月に放送されたあの伝説のライヴ『モータウン25』でマーヴィンがピアノの弾き語りで「ホワッツ・ゴーイン・オン」を歌ったのは、今でも強烈な印象があります。

来年は没後20周年になるんですねえ。そうかあ。(しみじみ) ニュースを知ったときには、ロスで見たライヴが最後になってしまったのか、もう永遠にマーヴィンのライヴを見ることができないのか、と思うと、いてもたってもいられなくなりました。

死後19年たった今も、マーヴィンのソウルは、生きています。

その時の朝日新聞の記事の切り抜きがあります。今読み返すと、う〜む、と思ったので、ちょっとこのことにも触れちゃいましょう。20行余の共同通信からの配信記事です。間違い探しの例題ということで、記事を転載します。(1984年4月2日付け)

 ++++

米のソウル歌手、マービン・ゲイ氏 撃たれて死ぬ

【ニューヨーク1日=共同】 米ロサンゼルス市警察は1日午後、米国の人気ソウル歌手マービン・ゲイ氏(44)=写真=が、同市内の実家で撃たれ、収容先の病院でまもなく死亡した、と発表した。警察は父親から事情を聴いている。

ゲイ氏は1940年ワシントンに生まれ、3歳で教会に立ち、61年にデビュー。「ホワッツ・ゴーイング・オン」(69年)の大ヒットで一躍、スターの地位を確立した。

83年には「セクシャル・ヒーリング」でグラミー賞を受賞。二度目の夫人ジェニス・ハンターさんと別れた後、ハワイで麻薬自殺しようとしたことがあると、語ったことがある。誕生日を翌日に控えての死だった。

 ++++

さて、上記記事にいくつ間違いがあるでしょうか。答えはほぼ2つ(ほんとは3つだと思う)、表記として1つあります。

まず、決定的なのが生年。1939年生まれを40年生まれとしてしまっています。一番最後に「誕生日を翌日に控えて」としているのに、間違えてしまった。( )内の年齢は44歳であっているのに、きっと、記者は計算違いしたのでしょう。

61年にデビュー、という表記。確かにマーヴィンは61年にシングルを出していますが、ヒットには至っていません。彼の最初のヒット曲「スタバン・カインド・オブ・フェロウ」は62年なんですね。この記者がその61年発売のヒットしなかったシングル盤を知っているとは思えないので、どうも怪しい。こういうときは、「62年に『スタバン・・・』が初ヒット」という表記をするのが、一番無難なんですね。

そして、「ホワッツ・・・」(69年)。これは、ないでしょう、いくらなんでも。69年ってどこからでてくるの。正解は71年です。このあたりに本記事のクレディビリティー(信頼性)のなさが現れているので、61年デビューというのも、本当は62年デビューと書きたいところを間違えたのではないかと推測されるわけです。

二度目の夫人、ジェニス。う〜ん、これは発音表記の問題なんですが、原語はJanisなんですね。だから、新聞用語的にはジャニスになるんですよ。こんなに短い記事に、これだけ間違いがあっていいんでしょうか。(笑) ま、もう20年近くも前のことなんで、時効にしてあげてもいいですが。でも、新聞とか活字って怖いですね。こうやって、19年後にも文句つけられちゃったりするんですから。あ〜〜こわ。文字を書くって、本当に後に残ることだから、正確に書かないとね。(これを他山の石としましょう)


Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
|Return|