NO.116
2003/01/08 (Wed)
History of Soul Music in Five Minutes
歴史。

BBSのほうで質問を受けましたが、ソウルミュージックの歴史を知るのに、何を聞けばいいのか、何を見ればいいのか、どうすればいいのか、という相談はよく受けます。

いくつかの本を挙げましたが、わかりやすく、ソウルの歴史を解説したものが、ないんですね。

5分でわかるソウル解説にちょっとチャレンジしてみましょう。

まず、ソウル・ミュージックとは何か、と言いますと、一言で言えば、黒人が、基本的には黒人のために作っている大衆音楽、ということになります。黒人音楽を「ブラック・ミュージック」と呼ぶとすると、その「ブラック・ミュージック」は、時代によってその呼び名を変えてきました。

17世紀にアメリカに宣教徒がやってきて、また、アフリカから奴隷が連れてこられて、ゴスペルとブルーズという音楽形態ができる下地ができました。

ゴスペルは教会音楽、ブルーズは日々の生活を歌った世俗音楽。これらの黒人音楽は、それぞれに発展してきましたが、20世紀に入って、微妙にまざりあうようになりました。

そして、1940年代までに、ブルーズとゴスペルをあわせ、しかも、強いビートを持った黒人の音楽が誕生していました。その音楽は、当時はレース・ミュージックと言われていました。その黒人のレース・ミュージックは、1949年に「リズム&ブルーズ」という名前で呼ばれるようなっていました。このリズム&ブルーズに注目した白人ミュージシャンがそれを真似て、ロックン・ロールというものを生み出し、これが世界的にヒットするようになりました。

黒人のレース・ミュージックはリズム&ブルーズ、さらに、ソウル・ミュージック、ブラック・ミュージック、あるいは、ブラック・コンテンポラリー・ミュージックなどと呼ばれるようになり、60年代、70年代以降に一大勢力になっていきます。60年代以降には、これとまた別の黒人音楽であるジャズの要素が加わったソウル、ブラック・ミュージックも誕生します。また、70年代には、ディスコの影響を受けたブラック・ミュージック、あるいは、ロックや、他の第三世界のいわゆるワールド・ミュージックなどの影響を受けたブラック・ミュージックも登場してきます。

今は、リズム&ブルーズと呼ばれることが多くなっています。略してR&B(アール・アンド・ビー)です。

そして、このR&B、ブラック・ミュージック、ソウル・ミュージックの世界で、様々な分派、あるいはジャンルが生まれます。それは地域的な要因であったり、音楽的要因だったりします。

ソウルの場合、とても地域性の特徴がでるところが、他の音楽との大きな違いです。デトロイトからでたモータウン・サウンド、シカゴからでたシカゴ・サウンド、メンフィスのメンフィス・サウンド、70年代一世を風靡したフィラデルフィア・サウンド、オハイオ・サウンドというのも現象としては小さいですが、あります。ニューオーリンズにも特徴的なサウンドがあります。ニューヨーク・サウンドもありますし、また、あまり特徴的ではありませんが、ロスアンジェルスのサウンドもあります。

そして、音楽的要素で言えば、ファンク、スイートソウル、ヴォーカル・グループ、正統派ソロシンガー、アカペラ、ドゥワップ、セルフコンテインド・グループ(自分達で歌を書き、演奏し、歌う、すべてを自給自足でまかなうグループのこと)、ここ20年はヒップホップなどいくつものジャンルがでてきます。

こうしたものが複雑にからみあって、ブラック・ミュージックが形成されています。ブラック・ミュージックの枠組みはかなり広いものです。そして、そこには虹のごとく七色の、いやそれ以上の輝きがあります。

ブラック・ミュージックが大衆に浸透していく上で忘れることができないのが、ライヴパフォーマンス、そして、全米のブラック・ラジオが果たした役割です。ラジオでかかり、ヒットし、レコードが売れ、ライヴを行い、人気がでて、さらに、レコードが売れる。ラジオ、ライヴ、レコード、これら3点は、ブラック・ミュージックに限りませんが、ポピュラー音楽が浸透していく上での大原則です。

といったところが、本当に、超俯瞰(ふかん)した大まかなシナリオです。それぞれに、また、充分な説明、アーティストの紹介が必要になりますが、また、これは追ってなんらかの形でやっていきましょう。




Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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