NO.108
Ageha
Journal To Death
午前4時半。

新木場に有線ブロードネットワーク(大阪有線)が十数億円の資金を投入して新しく作った巨大ディスコ「あげは」。大きなダンスフロアに、人々があふれ返っています。一瞬音が止まり、照明が消え、すぐさま、「リライト・マイ・ファイアー」のイントロが始まると、観客は奇声をあげます。待たされに待たされてやっと、いよいよショウタイムの始まりです。

12月31日の正式オープンを前にしたプレオープン。この日は、なんと「ゲイ・ナイト」。それらしき人々がたくさん集っています。店の雰囲気も、ニューヨークの巨大ディスコ「セイント」や、「パラダイス・ガレージ」などを思わせる作り。音も、雰囲気も、かなりニューヨーク的なものを感じさせます。

ダンスフロアの中心にいると、低音のバスドラムの音が、体にびんびん響いてきます。その真上には、やはりこれまでに見たこともないほどの大きなミラーボール。なかなかに、アメリカナイズされたディスコです。

そのこけら落としに登場したのが、今や「ハウスの女王」とでも呼べる、ロリータ・ハロウエイとジョスリン・ブラウンのダブル・キャストです。しかし、それにしてもショウの開始が4時過ぎとは。完全なアフターアワーズのディスコです。クラブではなく、ディスコ。まさに、バブリーなディスコです。

イントロが流れ出しても、幕は下りたまま。長い長いイントロの所々で、ロリータが、「あ〜〜〜」と声をあげます。その声に反応する観客。それはまぎれもない、ロリータの迫力たっぷりの声。そして、幕を少しだけあけ、ほんの顔だけを「ちょっとだけよ」といった趣で、だし、すぐにまた引っ込む。それを何度か繰り返し、2分以上のイントロの末、ついに歌に突入すると、徐々に幕が開き始め、巨漢ロリータの全貌が姿を現しました。

「リライト・マイ・ファイー」「ランアウエイ」「ヒット・アンド・ラン」。わずか20分余のライヴですが、カラオケにもかかわらず、その歌の迫力にはノックアウトさせられました。若干音に不安定なところはありましたが、ロリータは健在です。

そして、登場したジョスリンが、ロリータに勝るとも劣らぬ巨漢。これまたすごい迫力。両者とも、以前にライヴは見ていますが、今回この巨大ディスコで二人続けて見ると、大変な迫力です。

彼女の大ヒット「サムバディー・エルスズ・ガイ」が歌われると、ダンスフロアは熱狂です。

二人とも、バンド演奏ではなく、いわゆる「トラック」(カラオケ)で歌って、これだけのパフォーマンスを見せられるのですから、やはり、歌手としての底力があるんですね。

最後に二人でそろって、今回のあげはのオープニングに関連して制作した「ア・ベター・ワールド」を歌いました。

ロリータは言いました。「今日は『ゲイ・ナイト』なんですってね。私の友達の多くは、ゲイなのよ(笑)」

ロリータも、ジョスリンも、そして、ハウス・ミュージックも、最初はニューヨークのゲイ・ディスコを中心にブレイクしました。彼女たちは、ゲイの間では、ヒロインであり、文字通りのディーヴァだったのです。その点で言えば、ゲイ・ナイトに、ロリータとジョスリンのライヴは、ぴったりだったわけです。

帰る時、全員にランチボックスのような赤いケースがおみやげとして配られました。その中には、あげはのタオルと、先ほどのデュエットで歌われた曲のCDが入っていました。

(2002年12月29日深夜・新木場「あげは」)

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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