NO.101
2002/12/24 (Tue)
Lyrico Live At Nakano-Sun plaza
必然。

日本のトラディショナル・ソングの一曲かと思いました。日本のどこかの民謡か、あるいは、NHKの「みんなの歌」で歌われるような、そんな曲かな、と。

シンガー、Lyrico(リリコ)の中野サンプラザでのライヴで歌われた「キセキノハナ」という曲です。

楽屋でばったし会った妹尾さん(キーボード奏者/作曲家)が、語ってくれました。「今回、彼女のアルバムにいくつか曲を提供していて」

「あ、そうなんですか。で、どの曲?」

「『「キセキノハナ』とか、です」

「あ、そうなんだ。あれはいい曲ですね。どんな経緯でこの曲を?」

「『ゼロ戦公園』っていうところに行ったとき、ものすごく感銘を受けてね。で、その時に感じたことを曲にしたんです。ずいぶん前ですが、ずっとあのときの気持ちを曲に書きたいとおもっていたんです。歌詞を書いたのは、リリコです」

「『キセキノハナ』っていうのは、いい曲ですねえ。ほんと、日本の昔からある曲かと思いましたよ」と言うと、彼は「それは、うれしいですねえ」と答えました。

リリコは歌が上手です。そして、きっと日本人の歌を歌いたいのでしょう。彼女の歌を聞いていて、過去の先達で言えば、加藤登紀子とか、森山良子とか、最近だと元ちとせとか、歌のきれいさで言えば、竹内まりあとか岩崎宏美とか、ポップ面でいけばエポとか、そういう人たちを思い浮かべました。伝統的な女性シンガーの系譜に入る人なのでしょう。

ゴスペル風あり、ポップ風あり、多重録音によるアカペラ風あり、様々なタイプの曲を、縦横無尽に歌いました。2時間以上、ほとんど、観客がずっと座ったままのライヴは、最近ではとても珍しかったですね。それだけ、みんな歌をじっくり聞いたのでしょうね。

リリコがかつて露崎春女と名乗っていたころの作品はほぼ封印し、リリコとなってからの作品を中心に構成したライヴ。基本的なバンド編成に加え、ストリングスを4人、パントマイムなども含め、かなりの大所帯のステージでした。

特にこれといったソウルフルさは感じなかった。ミーシャと同じように、R&Bを打ち出しても、歌はまったくR&Bではありませんでした。ポピュラーソングですね。特にグルーヴを打ち出したものはありません。

「キセキノハナ」は、ライヴ後半で一度歌われました。しかし、アンコールの2曲目で、彼女は再びこの曲を違うヴァージョンで歌い、観客の耳を奪いました。改名によって、果たして、どのような飛躍が彼女に訪れるのでしょうか。

彼女はステージで言いました。「今日みなさんが、このライヴにいらしていただいたのは、偶然ではありません。必然です」

僕もそのライヴに足を運んだのは、偶然ではなく、必然なのでしょうか。では、一体どのような必然があったのか。あるいは、このライヴに出かけたことによってこれから何が僕の上に起こるのでしょうか。楽しみです。

(2002年12月22日=日曜)中野サンプラザ
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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