NO.727
2004/08/01 (Sun)
Roots Of Black Music: Blues, Gospel, R&B, Jazz, Soul, All Happening Here @ Harlem Night
虹。

昨日のロニー・ヤングブラッドのライヴ・セットリストについて、少々解説しましょうか。彼がいかに広範なブラック・ミュージックの歴史から選曲しているか。1曲目、「A列車で行こう」はジャズの巨匠デューク・エリントンのもっとも有名な作品。このA列車は、ニューヨークはマンハッタンを立てに走る地下鉄の路線のひとつ。行き先は、もちろんハーレムです。『ハーレム・ナイト』というイヴェントのテーマとしては、もってこいですね。

2曲目の「ウェイ・バック・ホーム」は、ちょっとおもしろいですね。インストなんですが、「もう帰って」しまうんですから。(笑) これは、モータウン所属のサックス奏者、故ジュニア・ウォーカーの有名な作品。後に、クルセイダーズもカヴァーします。ロニーがウォーカーのサックスが好きだということで、この曲が選ばれているようです。

ミッツィーが登場して1曲目。邦題は「恋は異なもの」。女性ジャズ・ヴォーカリスト、ダイナ・ワシントンの1959年の大ヒット。後に、エスター・フィリップスもカヴァーします。「サマータイム」も、スタンダード。1935年にミュージカル『ポギー&ベス』のために偉大な作曲家ジョージ・ガーシュウィンが書いた作品。『ポギー&ベス』は、9月に来日しますね。

「ストーミー・マンデイ(・ブルース)」は、Tボーン・ウォーカー作のブルースのクラシックで、ボビー・ブランドの歌などで有名。「アメイジング・グレイス」は日本でもCMなどで使われるゴスペルの超有名曲ですね。「オー・ハッピー・デイ」もゴスペルクラシックです。これを有名にしたのは、エドウィン・ホウキンス・シンガーズ。彼らの作品は69年にミリオンセラーになっています。

タップダンサー、オマーのバックで使われた曲の中で、「パパ・ウォズ・ア・ローリング・ストーン」は、ご存知モータウンのテンプテーションズの71年の大ヒット。

第二部。「キャラヴァン」も、デューク・エリントンの1937年の有名作品。ミュージカル『ソフィスティケイテッド・レディーズ』にも使用されました。続く2曲はゴスペルとしてよく知られている曲のようです。僕は詳しくは知りませんでした。

ロニーになってからは、ソウル、R&Bのヒット曲オンパレード。まず、「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」は、オーティス・レディングの大ヒット。「パーソナリティー」は、50年代から60年代に活躍したR&Bシンガー、ロイド・プライスの59年のヒット。ロニーに、プライスは最近どうしてるか尋ねたら、まだやっている、とのこと。プライスとロニーは友人だそうです。もう一曲「スタガー・リー」も彼の58年の大ヒットです。ロニーが17歳くらいのヒットなので、その頃、本当に大好きだったのでしょう。

「ジョージア」「愛さずにはいられない」は、ともにレイ・チャールズのヒット。超クラシックですね。このあたりは、日本のファンにもかなり受けていました。「愛さずに・・・」からメドレーで歌われた「ブルーベリー・ヒル」は、やはりR&Bの巨匠ファッツ・ドミノの56年の代表曲。このあたりの選曲は、年季を感じさせます。そして、観客をステージに上げて、ラインダンスをさせるという演出の「ニューヨーク・ニューヨーク」。フランク・シナトラのヴァージョンがもっとも有名でしょう。これは元々1945年に書かれた作品で、ミュージカル『オン・ザ・タウン』に収録されました。映画版で、フランク・シナトラ、ジーン・ケリーなどが登場しています。「マイ・ウェイ」は、ポール・アンカの作品で、シナトラのものでも有名。日本人がカラオケで歌う英語曲の人気ナンバーワンでしょうか。そして、「ホワッド・アイ・セイ」もレイ・チャールズです。

このように、言ってみれば、『ハーレム・ナイト』で歌われた曲とは、ブルース、ジャズ、ソウル、R&B、ゴスペルといったブラック・ミュージック全般から選曲されているわけです。70年代以降、80年代、90年代はさすがにはいっていませんが。そのあたりまで網羅したら、『ハーレム・ナイト』転じて、『ヒストリー・オブ・ブラック・ミュージック・ナイト』になってしまいますね。それでも、この『ハーレム・ナイト』の中には、様々な彩りを見せるブラック・ミュージックの七色の虹がかかっているのです。

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Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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