2011年05月26日(木) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◇「タイム・アフター・タイム」物語~タック&パティー(パート2)

テーマ:名曲物語
◇タック&パティー(パート2)~「タイム・アフター・タイム」物語

【”Time After Time” Story】

名曲物語。

シンディー・ロウパーの歌で歌われ大ヒットした「タイム・アフター・タイム」だが、タック&パティーの18番でもある。日本でも大変人気の高い曲だけに、タックたちも必ずこれをステージで歌う。

この曲はこうして生まれた。

シンディー・ロウパーが1983年、デビュー・アルバムを制作しているとき、ほぼレコーディングは終了したが、「もう1曲何かを入れよう」ということで、スタジオで作業をしていた。当時は、レコーディングに予算があったため、デモテープを作らず、いきなり24チャンネルのレコードプラントのスタジオに入っていろいろセッションを繰り広げるうちに曲を作り上げていった。

そんなスタジオのロビーに週刊テレビガイドがあり、そこに『タイム・アフター・タイム』という1979年の映画が放送されると書いてあった。これは、マルコム・マクドゥエルがSF作家HGウェルズ役を演じる物語で、主人公がタイムマシンを発明するという話だった。シンディーはこの単語を見て、ピンと来て、この単語を核にレコーディングを始めた。バンドの一員として参加していたフーターズの一員、ロブ・ハイマンがピアノで伴奏をつけ、適当にコードを弾きメロディーを作りだし、歌詞とメロディーが徐々にできあがった。当初はのりのりのレゲエ調のサウンドだったが、歌詞がほろ苦いストーリーになってきたあたりから、ミディアム調のリズムではなく、スローっぽいテンポの遅いリズムにしたほうがいいということになった。

曲は完成し、アルバムのA面最後に収録される。シンディーの「タイム・アフター・タイム」は、アルバムの一番最後に録音されたが、「ガール・ジャスト・ウォント・トゥ・ビー・ファン」に続く第二弾シングルとして1984年1月にリリースされ、見事に全米ナンバーワンとなった。

ビデオ。

このプロモーション・ビデオも制作されるが、そこではボーイフレンドを故郷において、どこか、おそらく大都会へ旅立つ主人公を演じている。本当は別れたくないが、別れなければならないという雰囲気だ。このビデオには当時彼女がつきあっていて、マネージャーでもあったデイヴィッド・ウルフが出ているというが、この相手役がデイヴィッドなのか、他の端役なのかよくわからない。また、シンディーの実の母は母役で、実の父もダイナーのコック役ででている。このビデオ冒頭で使われている映画は、『ザ・ガーデン・オブ・アラーThe Garden Of Allah(邦題、砂漠の花園)』というマリーナ・ディートリッヒ、シャルル・ボワイエ主演の1936年の映画。最後、主人公たちの別れのシーンのセリフを、何度も見て覚えているシンディーがなぞるところから始まる。

このビデオの食事のシーンは、ニュージャージー州にある「トムズ・ダイナー」で撮影されたが、そのダイナーは一時期はデートスポットとしても大変な人気を博したが、すでにもう閉店している。ただその店自体は取り壊されずに残っている。また、スザンヌ・ヴェガが歌った「トムズ・ダイナー」とは違うダイナーだ。ヴェガが歌ったダイナーは、ニューヨークのブロードウェイと112丁目の角にある「トムズ・レストラン」。

以後100以上のアーティストがカヴァーしている。そんな中でもマイルス・デイヴィスのものと、このタック&パティーのヴァージョンは特に素晴らしい出来になっている。

訳詞。

下記歌詞の「秒針が戻る(逆回りする)Second hand unwinds」というフレーズは、プロデューサーのリックが持っていた腕時計が、普通と逆に針が回るものだったので、それを入れ込んだ、という。

訳詞はあくまでひとつの解釈ということで捉えていただきたい。今回、ちょっとトリッキーに訳したのが最後のSecrets stolenの部分。「盗まれた秘密」は何かをいろいろと考えた。たぶん、いろいろな解釈ができるのだと思う。ここでは、その後に来るdrum beats out of time (ビートのはずれたドラムの音=調子はずれのドラムお音)、にしてみた。本当は、それまで二人のビートは、人生を歩む速度も、なんでもぴったり一緒で同時にリズムを刻んでいたのだろう。だが、そのドラムの音が片方はテンポが速くなり、一方は遅くなり、刻むリズムがずれてきた。それがすなわち二人の心のテンポがずれてきた、そして距離が離れてきた、ということを意味する。今までそのことは、彼に対して言ってこなかったが、ここでその秘密を吐露した。そして、別れたくはないが、別れざるをえない状況になった、という雰囲気だ。でも、心には未練がたっぷりある。

だから最後がI'll be loving you alwaysとなる。

シンディーにつづいてユーチューブでご紹介するエヴァ・キャシディーについては、また後日。素晴らしいシンガーだが、すでに癌で亡くなっている。きっかけさえあれば、ミニー・リパートンのようなシンガーになれたであろうシンガーだ。ワシントンDCを本拠に活躍していたシンガーで、チャック・ブラウンに可愛がられていた。白人だが、黒人音楽の影響も強いシンガーで、その点ではティーナ・マリー的な部分もある。

シンディー・ロウパー・オフィシャルPV
http://youtu.be/3C6AXnnjgqI

故エヴァ・キャシディー・ヴァージョン


http://youtu.be/SMznNlfLXP4

■「タイム・アフター・タイム」(訳詞)
Time After Time (1983)
written by Cyndi Lauper and Rob Hyman

Lying in my bed I hear the clock tick and think of you
Caught up in circles confusion is nothing new
Flashback - warm nights - almost left behind  
Suitcase of memories time after -

ベッドに横たわり秒針が刻む音に耳を傾けながら、あなたのことを思う
多くのことが脳裏を巡り、寝付かれないのはいつものこと
想い出のかなたにかすむ生暖かい夜が蘇る
スーツケースいっぱいの想い出が、何度も何度も脳裏をよぎる

Sometimes you picture me I'm walking too far ahead
You're calling to me, I can't hear what you said
Then you say go slow I fall behind
Second hand unwinds

ときに、あなたは私があまりに先に行ってしまうと心配した
あなたは叫ぶ、でも、後ろから叫ぶあなたの声が、私には聞こえない
あなたは、「もっとゆっくり歩いてくれ。自分はどんどん遅れてしまうから」と言う
時を刻む秒針が巻き戻る 

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall, I will catch you I will be waiting
Time after time

でも、もしあなたが道に迷っても、大丈夫、あなたは私を見つけられる
いつでも、何度でも、
もしあなたが転んだら、私はあなたに手を差し伸べる
そして、私はあなたをいつまでも待っている、
いつでも、何度でも

After my pictures fade and darkness is turned to gray
Watching through windows you're wondering if I'm ok
Secrets stolen from deep inside the drum beats out of time

私の思い出が色褪せ、夜空が白み始めたら
窓の向こうから私のことを少しは心配して
私の心の奥に秘めた秘密を吐露してしまったから
二人の心のビートが、もはや、ずれてしまったという秘密を

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you I will be waiting
Time after Time

I'll be loving you always
Time after time

もしあなたが私を見失っても、大丈夫、あなたは私を見つけられる
いつでも、何度でも、
もしあなたがどこかに転げ落ちそうになったら、私はあなたに手を差し伸べて引き上げてあげる
そして、私はあなたをいつまでも待っている、
いつでも、何度でも

私は、今でも、いつでもあなたを愛し続けます
いつでも、何度でも

(訳詞・ソウルサーチャー)

■ シンディ・ローパー・デビュー作 「タイム・アフター・タイム」収録

シーズ・ソー・アンユージュアル
シンディ・ローパー
エピックレコードジャパン (2001-02-21)
売り上げランキング: 26128


SONG>Time After Time
ARTIST>Lauper, Cyndi
ARTIST>Tuck & Patti

コメント

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1 ■吉岡さん、こんにちは

いつも新しい発見があり人生の喜びを感じて吉岡さんの文章を拝見させていただいています。

タイム アフター タイムは大好きな曲なのでそういう経緯があったのか、と思いました。

私はなぜ、マイルスがこの曲を取り上げ、好んでブローしていたのか、また一歩前進したように少しだけわかったように感じました。

マイルスの考えは一生わかるわけがないですがそう感じました。

ありがとうございます。

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