2010年08月22日(日) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◎ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(パート1)~ヒスパニックとヒップホップの融合

テーマ:ライヴ評・レポート
◎ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(パート1)~ヒスパニックとヒップホップの融合

【Musical “In The Heights”(Part 1): Fusion of Hispanic And Hip Hop】

融合。

2007年にオフブロードウェイで始まり、その後ブロードウェイに進出、トニー賞など数々の賞を総なめにした話題のミュージカル『イン・ザ・ハイツ』が日本初上陸。すでに来年(2011年)、『ディス・イズ・イット』のケニー・オルテガ監督で映画化が決まっている作品、さっそく初日を見た。初日ということで、コシノジュンコ夫妻、林家ペー、パーコ夫妻なども観劇していた。

ストーリーは、ニューヨーク・マンハッタン北西部にあるスパニッシュ系住民が多く住む「ワシントン・ハイツ」という地域の一角で起こる悲喜こもごもの3世代の住民たちのストーリーを描いたもの。スパニッシュ系ということで、ラテン、サンバ風サウンドに、ブラックのヒップホップ、ラップの要素もからまるミュージカルになっている。

全編ラテン系の楽しいダンスとヒップホップ風ラップとダンスが繰り広げられ、ラテンとヒップホップが違和感なく融合している。音楽もそうだが、実際の生活の中でもラテン系とブラック系の人たちが共に生きているわけだから、そこにそうした融合、ときに衝突が起こるのも当然だ。それらの小さなエピソードをストーリーの中にいれこみ、リアル感を出しているところが、きっと、ニューヨークで大当たりした理由のひとつではないかとも思った。流れ的には、『レント』や、古くは『ウェストサイド・ストーリー』を思い浮かべるが、いずれとも違うストーリーで、かなり独自なミュージカルだといえる。こうしたミュージカル作品は、千秋楽に近づくにつれチケットが入手しづらくなるので、見るなら早いうちがいい。

僕は初日ということもありストーリーを追うのに必死だったが、やはり、それでも歌とダンスは見入ってしまう。このレベルのミュージカルだと、ダンスも歌も、まず間違いない。見所はいくつもあるが、第一部では、ニーナが歌う"Breathe"やヴァネッサが歌う"It Won't Be Long Now"など印象に残った。さらに第二部ではクラウディアおばあさんについて歌うシーンなどはぐっとくる。

たとえば、『ドリームガールズ』などはストーリーが頭に入っているせいか、ステージ上のパフォーマンスに集中できるのだが、今回の『イン・ザ・ハイツ』は初めてということもあったので、字幕とパフォーマンスの両方を追った。

この作品を楽しく味わうためには、ぜひ開演前の30分前に行き、プログラムを一冊買い求め、そこで登場人物とストーリーのあらすじをしっかり頭にいれておくとすごくいいと思う。

そこでこのあたりを押さえておくといいというポイントをご紹介しよう。

■舞台と登場人物、これだけ押さえればOK

『イン・ザ・ハイツ』の舞台には、3つのお店がある。舞台左から「ロザリオ・カー・アンド・リムジン」の店、中央に主人公ウスナビが切り盛りする雑貨店、そしてすぐその右隣にヘアサロン。そして、リムジン店の上のアパートに住むハイツでのご意見番的な存在がおばあちゃんアブエラ・クラウディア。アブエラとはスペイン語でおばあちゃん(grandmother)という意味だそうだ。クラウディアは、ウスナビの両親が亡くなったあとウスナビを実の親のように育て、このハイツ地域の誰もを知り、みんなから尊敬されている。

リムジン店の経営者はプエルトリコからやってきたケヴィンとカミラ・ロザリオ夫妻。苦労して一代でリムジン・サーヴィスを築き経営している。その一人娘が名門スタンフォード大学に通うニーナ、彼女は両親の自慢で誇り。リムジン店で働くのが黒人のベニー。ベニーはニーナに恋心を寄せるが二人には人種間の障壁が。また、2人にはスペイン語をあまり話せないという微妙な共通点もある。

雑貨店を切り盛りするウスナビの親友はソニー。ソニーはウスナビの年下のいとこ。ソニーの悪友にグラフィティー・アーティストのグラフィティー・ピートがいる。

ヘアサロンのオウナーは、赤いミニドレスに身を包むちょっと派手なダニエラ。そこで働くのがヴァネッサとカーラ、彼女たちはとにかく噂・ゴシップ好き。ウスナビは、ひそかにこのヴァネッサに恋心を寄せている。

もう一人アクセント的に、ヒスパニック・コミュニティーの夏の風物詩でもあるかき氷(ピラグア)を売り歩くピラグア・ガイも登場する。

まとめるとリムジン店チームが4人(両親、娘、使用人)、雑貨店チームが3人(ウスナビ、ソニー、グラフィティー・ピート)、ヘアサロンが3人、そして、かき氷売りとクラウディアおばあちゃんという12人、これを覚えよう。残るパフォーマーたちは、いわゆるアンサンブルというダンサーだ。

■ストーリー

ストーリーは、翌日に独立記念日を控えたある7月3日に始まる。ざっと登場メンバーが紹介される。リムジン店の一人娘ニーナが夏休みで帰ってくるが、奨学金を打ち切られ、ドロップアウトしてしまったと告白。だが両親のリムジン店は経営が厳しい。そこで父は店を売って金を作り、ニーナの学資にしようとする。一方、ニーナに気持ちを寄せる同店の従業員ベニーだが、両親から人種が違うことからつきあうことを猛反対される。

ウスナビはいつものように雑貨店を開き、コーヒーを作っていると、いつものようにハイツのご意見番、クラウディアおばあちゃんがロト(宝くじ)を買いにくる。隣のヘアサロンのヴァネッサに好意を寄せるウスナビはなんとかデートに誘い出し、クラブへ。そこで、街全体が突然、停電に。そして、花火が打ちあがる。ここまでが第一部。

停電と花火後のハイツ。その停電に乗じてウスナビの店が強盗に襲われ、めちゃくちゃにされてしまう。一方、毎日買っていたクラウディアの宝くじが当選。ウスナビに故郷ドミニクで店をやったらどうかと提案。なかなか電気も復旧せず、いらいらがつのる住民。そんな中、みんなで踊ろうと踊りだす。しかし、そんな中に思わぬニュースが。家賃高騰のため出て行かなければならなくなったヘアサロン。売りに出すリムジン店、破壊された雑貨店。果たして、このハイツの店と、人々の運命は?

(この項つづく=終演後、アフター・パーティーに参加したので、そのあたりの話を明日以降にご紹介します)

■ 『イン・ザ・ハイツ』オフィシャルウェッブ
2010年8月20日から9月5日まで
http://www.intheheights.jp/

■ サントラはすでにグラミー賞を受賞(まだDVDはなし)

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■ メンバー
Character -- National Tour Cast

Graffiti Pete -Luis Lopez
Usnavi - Joseph Morales
Piragua Guy - David Baida
Abuela Claudia -Elise Santora
Carla - Genny Lis Padilla
Daniela - Isabel Santiago
Kevin - Daniel Bolero
Camila - Natalie Toro
Sonny - Christopher Chatman
Benny - Rogelio Douglas Jr.
Vanessa - Lexi Lawson
Nina - Arielle Jacobs

Ensemble : Sandy Alvarez, David Baida, Christina Black, Natalie Caruncho, Oscar Cheda, Dewitt Cooper III, Wilkie Ferguson, Rayanne Gonzalez, Rebecca Kritzer, April Ortiz, Joel Perez, Carlos Salazar

Music and lyrics by Lin-Manuel Miranda
Conceived by Lin-Manuel Miranda
Directed by Thomas Kail

■セットリスト イン・ザ・ハイツ 国際フォーラムC 2010-8-20
Setlist: In The Heights @ Kokusai Forum C, August 20, 2010

show started 19:06
Act I
"In the Heights" — Usnavi and Company
"Breathe" (Respira) — Nina and Company
"Benny's Dispatch" — Benny and Nina
"It Won't Be Long Now" — Vanessa, Usnavi, and Sonny
"Inútil" (Useless) — Kevin
"No Me Diga" — Daniela, Carla, Vanessa, and Nina
"96,000" — Usnavi, Benny, Sonny, Vanessa, Daniela, Carla, and Company
"Paciencia y Fe" (Patience and Faith) — Abuela Claudia, and Company
"When You're Home" — Nina, Benny, and Company
"Piragua" — Piragua Guy
"Siempre (Always)" — Camila †
"The Club" — Company
"Blackout" — Company
performance ended 20:25

performance started 20:44
Act II
"Sunrise" (Al Amanecer) — Nina, Benny, and Company
"Hundreds of Stories" — Abuela Claudia and Usnavi
"Enough" — Camila
"Carnaval del Barrio" — Daniela and Company
"Atención" — Kevin
"Alabanza" — Usnavi, Nina, and Company
"Everything I Know" — Nina
"No Me Diga (Reprise)" — Carla, Nina, Vanessa, and Daniela †
"Piragua (Reprise)" — Piragua Guy
"Champagne" — Vanessa and Usnavi
"When the Sun Goes Down" — Nina and Benny
"Finale" — Usnavi and Company
show ended 21:39

(2010年8月20日金曜、国際フォーラムC、ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』)
ENT>MUSIC>LIVE>In The Heights
2010-

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