2010年08月10日(火) 00時01分00秒 soulsearchinの投稿

◎スティーヴィー・ワンダー・ライヴ~圧倒的余裕の自己紹介ライヴ

テーマ:ライヴ評・レポート
◎スティーヴィー・ワンダー・ライヴ~圧倒的余裕の自己紹介ライヴ

【Stevie Wonder Live At Summer Sonic】

余裕。

音楽神スティーヴィー・ワンダーの2003年12月、2007年2月以来3年6ヶ月ぶり通算16回目の来日公演。今回はいわゆる「夏フェス」「サマーソニック」の出演アーティストのひとりとして登場した。基本的にはこうしたフェスでは、多くの出演者のひとりということで、アーティスト側も最大公約数的、自己紹介的、ショーケース的なライヴになるということなのだろう。約73分、次々とヒットを少しずつ歌っていった。

このライヴは、ずいぶんと「はしょってるな」と感じたのは下記セットリスト5からのメドレー。「リボン・イン・ザ・スカイ」「ステイ・ゴールド」「レイトリー」とピアノ曲メドレーは、通常のライヴだとここだけで15分は行く。この日は3曲で5分。一曲をずいぶん短くしてる、ライヴ時間も短いのかなと思ったのだが、後から考えると、9時にはライヴを何が何でも終わらせなければならなかったという事情があるようだ。

また、セットリストの流れも、通常だと曲から曲へ、スティーヴィーが先導して、ノンストップで流れていくのだが、この日は一曲を終えると、次には何をしようかと考え考えやっているようにも見えた。たぶん、時間調整をしていたのかもしれない。いずれにせよ、各曲どれも短くまとめ、曲数を増やそうとしていた。ま、もちろん、それはそれでよいのだが。結局、ショーケース用のショートヴァージョン・ライヴということになった。

とは言っても、夏フェスにやってくる圧倒的に若いファンにむけて、スティーヴィーが自己紹介的にライヴを見せたのは大いに意義があるところ。ここで初めてスティーヴィーを見た人たちが、次のスティーヴィーのフルスケールのライヴに来て、より感動を深くしてくれればいいのではないだろうか。

それにしても、圧巻はスティーヴィーの声。イアモニターの調子が悪かったようで、何度も付け直したり、コーラスのキース・ジョンに何かを言ったりしていたが、そんなことは関係なく、スティーヴィーの声力は素晴らしかった。

ちなみに、下記の8は、最近自分が気に入った曲がある、みんな歌ってくれないかな、と言って観客に歌わせようとしたもの。実際は、スティーヴィーはほとんど歌っていない。よくあるコール&レスポンスの一部だ。

驚いたのは、オープニングの「マイ・アイズ・ドント・クライ」と後半に「さくら・さくら」から続けて歌われた「フリー」。どちらもアルバム『キャラクターズ』からの作品。一瞬、僕はなじみがなかったので、「すわ、新曲か」と早合点してしまったほど。前回のライヴなどではまったく歌われなかった楽曲だけに驚いた。「フリー」は、帰ってCDを聞き直したが、断然ライヴの方がよかった。特にここでは20人近くの日本人コーラス隊を従えて歌ったので、迫力も満点。また曲のメッセージもいかにもスティーヴィーらしいものだった。

この日本人コーラス隊は、最後の「アナザー・スター」でも登場。スティーヴィーがステージを去ってから、さらにその後、8人くらいいたか、パーカッションと和太鼓のようなものを叩くプレイヤーたちが登場し、バンドのパーカッション奏者たちと、コール&レスポンスを繰り広げた。このうちのひとりは日本人のヒダノ修一さん、ほかにアフリカ、インド、ブラジル、アラブなどの打楽器奏者と、もともとのスティーヴィー・バンドのパーカッション奏者が一緒になって激しくリズム・バトルを見せた。

今回のバンドはパーカッションが2名を含めた13人編成。これにスティーヴィーだから14人。リズムを主体に考えられているのかとも感じた。ちなみに、今回のキーボードのひとり、ヴィクトリア・セオドーアは、2007年8月からスティーヴィー・バンドに参加したそうで、前回来日時にはいなかった。今回のバンドは、ベースのネイサン・ワッツ、コーラスのキース・ジョン、第一パーカッションのムニョンゴ・ジャクソンなどのほか、ドラムス、ギター、キーボード、コーラスらに新しいメンバーが入っていた。

ところでこの日は黒沢薫さんと一緒に行ったのだが、行く途中で「サマー・ソフト」みたいな、夏曲歌ってくれるといいね、などといろいろとスティーヴィー話に花が咲いた。ベストのCDをかけながら会場に向かったのだが、黒沢さんは、どの曲もCDにあわせて歌う歌う。ものによっては、ウクレレ持参で、ウクレレ弾きながら練習なう、絶好調であった。

ミュージシャン力50のアーティストが全力で100だしきっても、50点のステージだが、ミュージシャン力200のアーティストが60の力でやっても、120点になる、まさにそんな余裕を見せ付けたステージだった。

$吉岡正晴のソウル・サーチン


■ スティーヴィー・ワンダー過去ライヴ評、関連記事

2007年前回ツアー総力取材

February 18, 2007
Stevie Wonder Live: Yokozuna Of Musician
http://blog.soulsearchin.com/archives/001594.html
(ここにさらに2003年時のライヴ評一覧なども)

February 19, 2007
Stevie Wonder: Day Two: "Because I Like It"
http://blog.soulsearchin.com/archives/001601.html

February 20, 2007
Stevie Wonder Live: Secret Of His Live Performance
【スティーヴィー・ライヴ、曲順の秘密】 
http://blog.soulsearchin.com/archives/001602.html

February 21, 2007
Stevie Wonder In Nagoya: Sings "Lately" Finally
http://blog.soulsearchin.com/archives/001603.html

February 23, 2007
Special Jam Night; Stevie Wonder's Band: Music Is My Hobby
http://blog.soulsearchin.com/archives/001605.html

February 25, 2007
Stevie Wonder At Sendai: Show Dedicated To His Mother
http://blog.soulsearchin.com/archives/001607.html

February 28, 2007
Stevie Wonder Osaka Setlist: 4 Songs In A Row From "Innervisions"
http://blog.soulsearchin.com/archives/001610.html

March 01, 2007
Stevie Wonder Japan Tour: It Was A Mini "Innervisions" Tour
http://blog.soulsearchin.com/archives/001611.html

■ スティーヴィー・ワンダー、最新ベストアルバム(3枚組み)

ラヴ、ハーモニー&エタニティ~グレイテスト50・オブ・スティーヴィー・ワンダー(初回限定価格盤)
スティーヴィー・ワンダー ポール・マッカートニー ディオンヌ・ワーウィック アイシャ・モーリス マイケル・ジャクソン
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■ メンバー

Stevie Wonder (vocal, keyboards)

Nathan Watts (bass/musical director)
Stanley (Rochil) Randolph (drums)
Errol Cooney (guitar)
Kyle (Jason) Bolden (guitar)
Roman (Lamar) Jackson (keyboards)
Victoria (Johannita) Theodore (keyboards)
Dwight (Lynn) Adams (Trumpet)
Ryan (Maurice) Kilgore (Sax)

(Darryl) Keith John (chorus)
Dejan (Lyne) Gomez-Woods (chorus)
LaNesha (Louise) Baca(chorus)

Darryl Munyungo Jackson (percussion)
Fausto Cuevas (percussion)

Guests performers:

Shuichi Hidano (percussion)ヒダノ 修一(和太鼓)
Kaneko Ryutaro(percussion)金子 竜太郎(和太鼓)
Mamadou Lou (Djembe)セネガル
Wagane Ndiaye Rose(Sabar) セネガル
Paulo Vargus (Timbau , Pandero) ブラジル
Dinesh Chandra Dyoundi (Tabla)インド
Amir Sofi (percussion)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1 金子 竜太郎(和太鼓)
 *元鼓童の方で幅広く活動をなさっている方です。
http://ryu-beat.com/

2 ヒダノ 修一(和太鼓)
http://www.hidashu.com/

3 Wagane Ndiaye Rose(Sabar) セネガル
*あのDodou Ndiaye Rose の息子さんです。

4 Mamadou Lou (Djembe)セネガル

5 Paulo Vargus (Timbau , Pandero) ブラジル

6. Dinesh Chandra Dyoundi (Tabla) インド
* いわゆるライブ中心のミュージシャンでは
ないようですが、タブラの先生だそうです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Key Of Life Choir: about 20 Japanese singers

Muntaz Wonder (vocal)

To be confirmed: following 3 musicians are not on
this show

Djamel Laroussi (percussion) ?
Martin O’Neill (percussion) ?
Parvinder Singh (percussion) ?

2 youngest son of Stevie

■セットリスト・ スティーヴィー・ワンダー、千葉マリーン・スタジアム 2010年8月8日(日)
Stevie Wonder Setlist: August 8, 2010, Chiba Marine Stadium

Show started 19:49
01. Harmonica Intro to My Eyes Don’t Cry
02. Master Blaster
03. We Can Work It Ou
04. If You Really Love Me
05. Medley (5-7)Ribbon In The Sky
06. Stay Gold
07. Lately
08. Empire State Of Mind (part of)(Stevie tried to let audience sing)
09. Higher Ground
10. Don’t You Worry ‘Bout A Thing
11. Living For The City
12. Sir Duke
13. Signed, Sealed, Delivered And I’m Yours
14. Sakura Sakura to Free
15. My Cherie Amour (with Muntaz)
16. I Just Called To Say I Love You
17. Superstition
18. Another Star to Happy Birthday
19. Drums and percussion play
Show ended 21:02
Fireworks

(2010年8月8日日曜、千葉マリーン・スタジアム=スティーヴィー・ワンダー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Wonder, Stevie
2010-122

コメント

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1 ■無題

遅ればせながら拝読しました!

 私も当日、アリーナのかなり前方で見ていましたが、2007年の来日(さいたま初日)を見ていたので、サマソニのメドレーが極端に短く、流れがブツ切りに感じられましたが、吉岡さんのレポートに納得。どの曲もほんの少しのフレーズで大歓声が上がっていましたし、ショウケースと考えれば充分ですね(さらっと数曲流すだけでも、誰もが知る大ヒット曲ばかりという異次元ぶりの成せる技ですが。。)。
 それにしても、あの衰え知らずの歌声は素晴らしい。アメリカに重要無形文化財があるのなら指定して欲しいくらいです。

 ただ残念だったのは、Empire Stateのくだりや、突然呼ばれたご子息のムンタズがすっかり歌詞を飛ばしてしまったMy Cherie Amourでのオーディエンスの反応の薄さ。同じシーンが欧米であったら大合唱なのに・・・。黒沢薫さんは、きっと絶唱されていたことでしょう。

 余談ですが、Stevieが登場の際、ハープを吹きながらガイドをつけずに1人でキーボードまで歩いた姿が衝撃でした。
 

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