2010年05月01日(土) 02時18分46秒 soulsearchinの投稿

△セヴィアン・グローヴァー・ライヴ (パート1)~自由に溢れたタップの世界

テーマ:ライヴ評・レポート
△セヴィアン・グローヴァー・ライヴ (パート1)~自由に溢れたタップの世界

【Savion Glover : Very Spontaneous Performance】

スポンテニアス。

タップ・ダンサー、セヴィアン・グローヴァーの単独公演。バックは、アコースティック・ベース、サックス、ピアノ、ドラムス。彼らが伴奏するジャズで、セヴィアンは自由にタップする。初来日は2003年2月、『ブリング・ダ・ノイズ(ノイズ&ファンク)』、その後、2004年12月、東京ブルーノートでのマッコイ・タイナーとの共演、2006年4月、国際フォーラムCでの単独以来か。(もし他に来日公演ご存知の方がいらっしゃったら、お知らせください)

コットンは、立ち見もでる超満員。いつのまに、こんなにタップが、あるいは、セヴィアンは人気になったのだろう。タップをたしなむ人たちが多数つめかけ、静かな熱気に包まれた。

冒頭アコースティック・ベースのアンディーが登場。およそ5分暖めて、おもむろにセヴィアンが登場。黒のパンツ、薄いグレイのシャツ。ずっと舞台向かって左のベース奏者に向いて、ベース奏者と音と音の会話をしながら、タップをする。満員の観客は全員セヴィアンを、セヴィアンの足元を凝視する。本当に全員が集中して凝視している感じなのだ。だから静かに熱い。そしてベースと2人だけで、熱い一戦を交え、19時20分、パフォーマンスが始まって20分を経てピアノ、さらにその後にドラムスとサックスが登場。それまで横を向いていたセヴィアンは正面を向き、いっせいにバンドサウンドとともにさらなるタップに突入した。

楽器の鳴る音に反応して、セヴィアンの足元がときに大きく、ときに小刻みにときに上下激しく、ときに弧を描きながら動く。小さな音から、激しい音まで、様々な音がボードから広がる。

このタップ・ボードは、セヴィアンの特注で、毎回ツアー先に持ち込む。これのオリジナル・プロトタイプは、今は亡き名タップ・ダンサー、グレゴリー・ハインズが作ったそうだ。厚手の板が2枚組まれ、上下に数センチの空間がある。そこにマイクをセットし、セヴィアンのタップ音を拾う。空間があることによって、響くような仕組みになっている。楽器を操るのは4人だが、セヴィアンもタップ・ボードを叩き5人目のミュージシャンとしての存在を見せ付ける。

徐々にグレイのシャツの肩から袖へかけて、汗がにじみ出てきた。ジャズにアドリブがあり、ひじょうにスポンテニアス(自由自在の、自然な、即興的な)な演奏ができるのと同じように、セヴィアンも自由にタップを踊る。2度と同じタップはない。一期一会の素晴らしきパフォーマンス。思わず見入る。

途中のソロも含め、最初の2曲でのパフォーマンス時間は56分に及んだ。そして、3曲目はちょっと息抜きなのか、なんと彼がマイクを握り、フランク・シナトラでおなじみの「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト」を歌いながら、軽くタップを披露。「弾き語り」ならぬ「タップ歌い」か。

そして、それが終わり、彼は1人の人物を紹介した。「僕が、ここにこうして入られるのも、彼女の存在があってこそです。ご紹介しましょう。ダイアン・ウォーカー」 舞台横にいたウォーカーさんが立ち上がって挨拶をした。タップ・ダンサーであり、振り付け師である彼女も別の仕事で来日中だったようで、彼女はセヴィアンにとってのメントゥアー(師匠)のひとりだ。

4曲目が「スターズ・アンド・ストライプス」を大幅にアレンジしたもの。途中で、セヴィアンは腕を広げてテンポを遅くするようにベースのアンディーに指示を出していた。

78分のパフォーマンスを終える頃には、背中がほとんど汗で染みていた。

(この項、続く)

■セヴィアン・グローヴァー関連記事

セヴィアンがでた『ノイズ&ファンク』のライヴ評
2003年3月22日付け日記
Bring In 'Da Noise, Bring In 'Da Funk: Soul explosion!
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200303/diary20030322.html

オマー、セヴィアンなどの大先輩、グレゴリー・ハインズの訃報
2003/08/11 (Mon)
Gregory Hines Dies at 57
グレゴリー・ハインズ癌で死去.
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200308/diary20030811.html

2009年06月25日(木)
名刺入れ忘れて、翌日取りに行くの巻
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20090625.html

■メンバー

セヴィアン・グローヴァー
Savion Glover(tap)
Patience Higgins(sax)
Marcus Persiani(p)
Andy McCloud(b)
Tommy Campbell (ds)

■ セットリスト セヴィアン・グローヴァー@コットンクラブ 2010年4月30日
Setlist: Savion Glover

show started 19:01
01. Bass Solo ~ Visions Of A Bible
02. Footprints
03. The Way You Look Tonight
04. Stars & Stripes Forever
show ended 20:18

(2010年4月30日金曜、丸の内コットンクラブ=セヴィアン・グローヴァー・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Glover, Savian
2010-69

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