September 05, 2008

More Sam Moore (Part 2): This Is "The Soul Show"

【サム・ムーア:「ザ・ソウル・ショウ」@ブルーノート】

MC.

フル・バンドを揃え、ステージの中央に立ち、次々とソウル・ヒットを歌う。観客とのやりとり(コール&レスポンス)も抜群にうまく、観客を楽しませ、なごませ、そして、泣かせる術、すべてを知っているシンガー。それがサム・ムーアだ。少し甲高い声で、アップテンポからバラードまで、ひとつのサムの世界を作る。サムは、このショウのすべてを取り仕切るマスターだ。その意味で、マスター・オブ・セレモニー(司祭)。

たとえば、8月に亡くなった盟友アイザック・ヘイズへのトリビュート「アイ・スタンド・アキューズド」からサム&デイヴの持ち歌「アイ・キャント・スタンド・アップ・フォー・ファーリング・ダウン」へのバラード・メドレーは、彼の十八番「僕のベイビーに何か(When Something Is Wrong With My Baby)」とともにショウのハイライトになっている。サムが歌うと、まるでストーリーの語り部のように、そして、演技者のように、その歌の主人公を見事に演じる。前者では、本当に自分が相手を愛して、罪だ、ということを淡々と歌っていると、そのことのつらさがにじみでてくるようで聴くものの涙を誘う。

「僕のベイビー…」では、最後の歌詞「...with me」の「ミー」のところを、すこしためてから、ほぼオフマイクでかすれるように歌いきった。バンド演奏もほぼなくなり、会場にサムの歌声だけで、「ミー…」のワンワードが響く。すばらしい。そしてバンドが最後を締めるが、そのときには観客席の客はみなおもむろに立ち上がり、惜しみないスタンディング・オヴェーションを送った。それほどの価値があるパフォーマンスだ。

ちなみに、「アイ・キャント・スタンド・アップ…」は、サム&デイヴのものとしてはシングル・ヒットはしていないが(シングルとしては1967年の「スーズ・ミー」のB面に収録されている)、1990年にイギリスのエルヴィス・コステロが同地でヒットさせ特に人気があるそうだ。そこで、イギリスのライヴで歌い始めたという。ただし、この「アイ・スタンド・アキューズド」は今回、アイザック・ヘイズの死去にともない歌い始め、これをリハーサルで歌っているときに、マネージャーでMC役も務めるジョイスさんが、「アイ・スタンド…」につなげてこれをやったらどうだとアイデアを出し、2曲メドレーになった、という。これは音楽監督のアイヴァンとライヴ後話していて、教えてくれた。

この日はフォーラムで歌われたベンEキングの「ドント・プレイ・ザット・ソング」を若手キャロウェイが歌った。コーラス4人のうち、客席から見て一番右側に立っていたシンガー。若々しい歌がとても好感を持てる。母方の先祖はヨーロッパ、ドイツ、スカンジナビア系だという。ソウルフルでもありつつ、ロック、ポップの路線に行きそうなシンガーだ。ちなみにコーラス隊は客席から見て左から、我らがブレンダ・ヴォーン、ナオミ(発音はネイオミと聴こえた)、クリスティーン、そして、キャロウェイ。

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キャロウェイ

この日は、なんと昨年に引き続き日本のトータス松本が飛び入りで、「ルッキン・フォー・ア・ラヴ」を歌った。堂々とした歌いっぷりで、サムにうながされ、「愛を探しに、観客席へ」行って、女性ファンとハグしてきた。軽くこうやってステージで歌えるっていうのが、とてもいい。

終盤、「アイ・サンキュー」で観客とのやりとりをした後、「ソウル・マン」へ突入するところ、「ソウル・マン」のギターリフが始まる瞬間は、本当に興奮する。110分、2時間近くのショウをまったく飽きさせず、緩急つけてやりとげるサム・ムーア。現役ソウル・マンだ。本当に、ソウル・ショウ、それもただのソウル・ショウではない、「ザ・ソウル・ショウ」だ。昨年よりも声がでて、元気いっぱいでステージに立ったサム・ムーア。

最後、「ユー・アー・ソー・ビューティフル」の終わりに、「ジャパン、サンキュー・ソー・マッチ」と高らかに宣言。本当に日本が気に入っているようだった。客席を通りながら楽屋に引き上げるサムはみんなから握手攻めにあっていた。70歳を超えても、2時間近くのショウをめいっぱい出来るなんて、すごい体力だ。真のソウル・サヴァイヴァーだ。

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(サム・ムーアの項、続く)

■メンバー

SAM MOORE -The Legendary Soul Man-サム・ムーア -The Legendary Soul

サム・ムーア [ヴォーカル] Sam Moore[vo]

ブレンダ・ヴォーン [ヴォーカル] Brenda Vaughn [vo]
クリスティン・ポーランド [ヴォーカル] Christine Poland[vo]
ナオミ・マーゴリン[ヴォーカル] Naomi Margolin[vo]
キャロウェイ [ヴォーカル] Calloway [vo]

アイヴァン・ボドリー [ベース] Ivan Bodley[b - musical director]
マーク・ニューマン [ギター] Mark Newman[g]
トニー・ルイス [ドラムス]Tony Lewis[ds]
ジェイムス・ダウアー [キーボード] James Dower[key]
オマー・マルティネス [パーカッション] Omar Martinez[per]
ラリー・エトキン [トランペット] Larry Etkin[tp]
ダン・シプリアーノ [サックス] Dan Cipriano[sax]
大野清 [バリトン・サックス] Kiyoshi Ohno[bs]
青木タイセイ [トロンボーン] Taisei Aoki[tb]

ジョイス・ムーア [mc] Joyce Moore [mc]

■セットリスト サム・ムーア @ ブルーノート
Setlist: Sam Moore @ Tokyo Blue Note, September 4, 2008
[ ] indicates original artists, and year of hit

musicians on the stage 20:04
show started 20:06
01. Peter Gun (Instrumental)[Henry Mancini - 1959, Blues Brothers - 1980]
02. Theme From Shaft [Isaac Hayes - 1971]
03. Hold On, I'm Coming [Sam came on the stage at 20:16] [Sam & Dave - 1966]
04. Knock On Wood [Eddie Floyd - 1966] (duet with Brenda Vaughn)
05. You Don't Know Like I Know [Sam & Dave - 1966]
06. [Standing On The] Shakey Ground [Temptations - 1975]
07. I Can't Stand The Rain [Ann Peebles - 1973](with Naomi, Christine)
08. Them Changes [Buddy Miles - 1970]
09. Soul Sister, Brown Sugar [Sam & Dave - 1969]
10. I Stand Accused [Jerry Butler - 1964, Isaac Hayes - 1970]
11. I Can't Stand Up For Falling Down [Sam & Dave - 1967, Elvis Costello - 1990](10-11 Medley)
12. What'd I Say [Ray Charles - 1959]
13. Come On, Come Over [Jaco Pastorius - 1976]
14. Night Time Is Right Time [Ray Charles - 1959] (with Brenda)
15. Don't Play That Song [Ben E King - 1962] (Calloway sings)
16. I've Got News For You [Ray Charles - 1961]
17. I Can't Turn You Loose[Otis Redding - 1965]
18. Lookin' For A Love [Bobby Womack - 1962, 1974] (Tortoise Matsumoto joined to sing)
19. When Something Is Wrong With My Baby [Sam & Dave - 1967]
20. I Thank You [Sam & Dave - 1968]
21. Soul Man [Sam & Dave - 1967]
22. Dance To The Music [Sly & The Family Stone - 1968] ~ Soul Man (21-22 Medley)
23. You Are So Beautiful [Billy Preston - 1974]
show ended 21:56

[2008年9月4日木曜、東京ブルーノート=サム・ムーア・ライヴ]
ENT>MUSIC>LIVE>Moore, Sam
2008-148

投稿者 吉岡正晴 : 06:35 AM | コメント (0)