March 02, 2008

Ryan Shaw: The Great Real Soul Man

【今年ナンバーワンの新人、ライアン・ショウ・ライヴ】

衝撃。

昨年(2007年)7月に輸入盤が出て、今年4月23日日本盤がリリースされる超強力ソウル・シンガーの新人、ライアン・ショウが本邦初ライヴを行った。すでに一部のソウル好事家(DJオッシー含む)の間では、大きな話題になり本格的なソウル・シンガーとして大注目されていたが、この夜、その全貌が明らかになった。

まずこのCD『ディス・イズ・ライアン・ショウ』では、1960年代風サウンドに1970年代のソウル作品などをカヴァー、しかも泥臭く、南部っぽく、ディープ・ソウルになっていた。なによりその声の存在が素晴らしい。しばらく前のジョス・ストーンのデビュー時、あるいはリッキー・ファンテ、アリあたりのデビュー時を漂わせていた。そんなCDを聴いたSちゃんは、ライアンについて「精子が元気に飛び跳ねてそう」と一言コメント。僕自身このCDは、かなり気に入っていたのだが、果たしてライヴではどうなるのか。期待に胸を弾ませ松尾潔さん、オッシーとともにコットンへ。コットンでは偶然隣の席にルーシー・ケントさんも。

会場に着くと驚いたことにこの無名のライアン・ショウのライヴ、ほとんど満員。輸入盤で知ってきたファンか。土曜も前日金曜も、1回のショウしかないからか。どこからこんなに集まるのか。これはすごい。

バンドは、ドラムス、ギター、ベースの3人。ライアン、ステージに上がり、マイクを握っていきなり”I was born by the river in a little tent…”とアカペラで歌いだすではないか! 衝撃が走る。いきなりサム・クック。さらに、アルバムでもカヴァーされていたボビー・ウーマックの「ルッキン・フォー・ア・ラヴ」へ。1-2パンチだ。これらの曲はすべて彼が生まれる前の曲だが、かつてのソウル・ミュージックが「リアル」な響きを持っていた頃の良さを2008年に表現していた。しかも、この声のすごさ。

変化球なし、直球で100マイル(160キロ)以上の剛速球を何も考えずストレートにキャッチャー・ミットめがけて投げるようだ。声で、声力で観客を有無を言わせずねじ伏せる。恐れ入った。まさに彼も声だけで金が取れるシンガーだ。少しサム・ムーアを思わせるようなちょっと甲高いところもあるが、低めの音もがーんとくる。

「レット・イット・ビー」は、まるでアレサかライアンか、ゴスペルシンガーか、というほどゴスペル的な解釈。お見事。ドレッド姿のライアンがボブ・マーレーを歌うというのも、悪くない。

唯一個人的に気になったのが、ギターのロブG。彼は完全にロックの人だった。彼にレイ・パーカー風のバックに徹したリズム・ギターを習得して欲しい。ライヴ後話す機会があったが、好きなギタリストはの問いにすかさず「ジミー・ページ(レッド・ゼッペリン)」ときたもんだ。「わかった、やっぱりね」という感じだ。(笑)でも、話した感じはすごくいい奴。

ショウの圧巻は後半、オーティスの「トライ・ア・リトル・テンダネス」、ピケットの「アイ・ファウンド・ラヴ」、アーマ・フランクリン(一般的にはジャニス)の「ピース・オブ・マイ・ハート」あたりの熱唱系作品群。もし、オーティス・レディングが若かったら、こんな風に歌ったのかとも一瞬思わせられた。「トライ…」は、ファイン・ヤング・カニバルズ以来の見事なオーティス・カヴァーだ。この3曲は文句なく素晴らしいパフォーマンスだ。熱く、暑く、厚く、その声で圧倒してくる。トータス松本さん、忌野清志郎さんらは、もうこのライアンを聴いているだろうか。ぜひ彼らに見せたい。

3曲目で、早くもワキの下に汗をかき、それがシャツから染み出てきたが、中盤では汗は背中にも、そして、最後には腕のところまで汗が滴る。隣にいたMさん「あせワキパットをプレゼントしたいわ」。ワキから腕筋まで汗のつながる瞬間をみた。シンプルな3ピースバンドも、基本的にはすごくいい感じで、たった4人で(音楽業界に)革命を起こせるのではないか、とも思わせられる。ライアンのバンドは、彼の声を引き立たせることに徹底すればいいと思うが、それでもドラムス、ベースはいいコンビネーションだ。

彼は昨年デビューアルバムを出しているので、来年のグラミー賞・新人賞の資格はもうないのだろうか。個人的には、今年初めて知って、ライヴを見たという意味で、早くも彼に「ソウル・サーチン新人賞」を授与したい。「精子コメント」のSちゃん、ライアンのライヴを見て「もう妊娠するかと思った」。

(この項続く=ライヴ後、ミュージシャンとライアンに少し話を聴いたのでその模様などを)

■ デビューアルバム 『ライアン・ショウ・ディス・イズ・ライアン・ショウ』(ビクター、2008年4月23日発売)

ディス・イズ・ライアン・ショウ
ライアン・ショウ
ビクターエンタテインメント (2008/04/23)

■メンバー
Ryan Shaw(vo), Robert Guariglia(g), Michael Lindsey(b), Keith McCray(ds)

■セットリスト ライアン・ショウ
Setlist : Ryan Shaw @ Cotton Club, March 1, 2008
setlist transcribed by the soul searcher

show started 19:31
01. A Change Is Gonna Come [Sam Cooke]
02. Looking For A Love [Bobby Womack]
03. I Am Your Man [Bobby Taylor & The Vancouvers]
04. Nobody
05. Overjoyed [Stevie Wonder] (bass solo)
06. We Got Love
07. Let It Be [Beatles]
08. Over & Dune
09. Chosen [To be included upcoming second album]
10. Redemption Song [Bob Marley]
11. Shake It Up
12. I Do The Jerk
13. Try A Little Tenderness [Otis Redding]
Enc.1. I Found A Love [Wilson Pickett]
Enc.2. Piece Of My Heart [Erma Franklin, Janis Joplin]
Enc.3. Do The 45
Show ended 20:58

(2008年3月1日土曜、丸の内コットン・クラブ=ライアン・ショウ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Shaw, Ryan
2008-28

投稿者 吉岡正晴 : 04:06 AM | コメント (0)