November 26, 2007

It’s The Temptations’ Week With The Temptation Walk (Part 1)

(テンプテーションズ・レヴューのライヴ評です。これからご覧になる方で事前に内容を知りたくない方はご注意ください)

【歴代ナンバー・ワンR&Bヴォーカル・グループ、テンプテーションズ・ライヴ】

歴史。

正確には「テンプテーションズ・レヴュー・フィーチャリング・デニス・エドワーズ」というのがグループ名。シンプルに名乗る「ザ・テンプテーションズ」すなわち本家本元とは違う「派生グループ」のひとつだ。しかし、本家のオーティス・ウィリアムスの「テンプテーションズ」もオリジナル・メンバーがほぼいなくなった今日、まさに「テンプテーションズ」(略して「テンプス」)のレガシーを保ち続けるのはこの「デニスのテンプテーションズ」なのかもしれない。

なにしろ、ここには歴代リード・ヴォーカルの中でもひときわ人気の高い2人のシンガーが同時にいるのだから。デニス・エドワーズ、そして、アリ・(オリ)・ウッドソンだ。しかも、一時期日本のレコード会社が「テンプスを蹴った男」というキャッチフレーズをつけた実力者デイヴィッド・シーもいる。言ってみれば「スリー・トップ」のテンプテーションズなのだ。そして、ベースのマイクも、ファルセットのクリスもグループ内で自分の持ち場で輝きを増す。これでよくないわけはない。最初から「サティスファクション・ギャランティー」である。

結論を簡単に言えば、お見事、素晴らしい、脱帽、まいった、ここまでできるか、ここまで歌うか、ここまで楽しませるか、充実の83分だった。テンプスは個人的には小さな箱で見るライヴとしては今年1番かもしれない。アリを除いた4人(デニス、デイヴィッドら)が日本で一般ライヴを行うのは2000年4月以来(横浜・モータウン・カフェのオープニング・ライヴ)だからほぼ7年7ヶ月ぶり。一足先にDVD『ザ・テンプテーションズ・レヴュー・フィーチャリング・デニス・エドワーズ/ライヴ・イン・コンサート』(輸入盤)がでているが、若干の曲順の入れ替えはあるが、これにそった流れ。

この日は数種類ある中から青地に虹色のデザインが施されたスーツ。中のシャツ、靴、靴下までお揃い。いよいよステージに登場、いきなり「スタンディング・オン・ザ・トップ」で煽る。舞台向かって一番右側のマイクがその曲のリード・シンガーのポジションだ。もちろん、テンプスは5人全員がリード・ヴォーカルを取れる実力者ばかり。そして、1曲の中で次々とリードが変わったり、クロスしたり、5種類の声のブレンドが楽しめるというヴォーカル・グループの魅力、醍醐味を存分に味わうことができる。いまどき、こんなグループがないので、久々に見る本格派、堂々たる王道を行くグループのライヴだ。振り付けは、もちろん曲ごとにきまっていて、十八番のテンプテーションズ・ウォークも見られる。

今回のセットリストは、曲名の横の[ ]内に、一番右手のマイクを取る、その曲の最初のリード・シンガーの名前をいれてみた。セットリストを見ればわかるようにリード・シンガーが次々変わる。中央から右手マイクへの移動もみな、スムーズで見事。それぞれのシンガーに「自分のハイライト・シーン」がある。

めがねをかけた低音ベースの声の持ち主マイク・パティーロ(メルヴィン・フランクリン役)は「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」、ファルセットのクリス・アーノルド(エディー・ケンドリックス役)は「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ・ザ・シングス・ユー・ドゥ」「ジャスト・マイ・イマジーネション」、デイヴィッド・シーは「アイ・ウィッシュ・イット・ウド・レイン」、そして、アリ・ウッドソンは「レディー・ソウル」「トリート・ハー・ライク・ア・レイディー」などだ。

デイヴィッドの同曲は、ショーの中でも圧巻だ。マイク・スタンドから1メートル弱も離れてマイクなしで歌うが、それが会場中にマイクがないことさえ忘れさせてしまうほど響く。なんという声の強さの持ち主か。歌詞の一部を客席前列の人に歌わせようとする。残念なことに、この日はマイクを向けられた女性が歌わず、盛り上がりにかけてしまった。ここで歌手みたいにとは言わずともそこそこ歌う人がでてくると、ものすごく盛り上がるのだが。土曜日はかなり大盛り上がりだったようだ。

デニスの声も基本的にはものすごく強い。アリは、いまだ現役バリバリという感じだ。しかも、女性への目の流し方がはんぱではない。まさに「レディーズ・マン」だ。「レディー・ソウル」が流れてきて、思わず目に涙を浮かべた人も多かっただろう。

それにしても、このグループ、スローでさえ、これだけ盛り上げてしまうのだから、底力がある。声の厚さ、声の熱さ、声の暑さで観客をノックダウンさせるところがたまらない。

途中、デニスがマイクを取り、ポール・ウィリアムス、メルヴィン・フランクリン、デイヴィッド・ラッフィン、エディー・ケンドリックスと歴代テンプテーションズ・メンバーの故人に捧げる場面があった。テンプテーションズは、メンバーチェンジを何度行っても、ずっとテンプテーションズだった。それはレガシーであり、伝統であり、歴史であり、いまや生きる伝説だ。

もちろん細かい点では、デニスの声が若干でにくいとか、デイヴィッドが足を悪くして椅子に座って休むシーンなどもあり、彼らにとっては100点満点ではない部分もあるだろう。しかし、トータルで見てこのパッケージは、いけてる。途中から観客も立ち上がる。

40年以上前のヒット曲にあるいは20年以上前のヒット曲に、心を奪われる瞬間が訪れるという事実は、彼らがアメリカのR&Bシーンにおいて、依然「ナンバー・ワン・R&Bヴォーカル・グループ」の座にいることの証だ。継続は力なりもまたここに真実。テンプテーションズという名は、依然ソウル・ミュージック・ラヴァーズにとってテンプティング(誘惑的、魅力的)だ。

先週から今週半ばにかけては「テンプテーションズ・ウォーク」で「テンプテーションズ・ウイーク(週間)」だ。

(この項続く)

■メンバー ザ・テンプテーションズ・レヴュー・フィーチャリング・デニス・エドワーズ
Dennis Edwards(vo), Ali Woodson(vo), David Sea(vo), Mike Pattillo(vo), Chris Arnold(vo), Courtland Jones(Band Leader,key), John Taylor(Director of Horns), Mike Price(tp), 宮本大路(sax), 川村裕司(sax), Raymond Harris(tb), Earl Turhan Turrell(key), Ric Archer(g), James McKay(b), Llewellyn Dunn(ds)

■セットリスト 
Setlist : The Temptations Review Featuring Dennis Edwards @ Cotton Club, November 25, 2007
[ ] indicates first lead vocalist

Show started 19:57
01. Intro
02. Standing On The Top [Dennis]
03. Get Ready [Chris]
04. Ain’t Too Proud To Beg [David]
05. Lady Soul [Ali]
06. Papa Was A Rolling Stone [David – Ali- Chris]
07. Rainy Night In Georgia [Mike]
08. Some Enchanted Evening [Ali]
09. Cloud Nine [Dennis]
10. I Can’t Get Next To You [Dennis]
11. Ball Of Confusion [Chris]
12. Beauty Is Only Skin Deep [David]
13. The Way You Do The Things You Do [Chris]
14. I Wish It Would Rain [David]
15. Treat Her Like A Lady [Ali]
16. Medley: 16-19 My Girl [Dennis – David]
17. Just My Imagination [Chris]
18. Stay [Ali]
19. My Girl [Dennis – David]
Enc. Don’t Look Back [Ali]
Show ended 21:20

(2007年11月25日・日曜、丸の内コットン・クラブ=テンプテーションズ・レヴュー・フィーチャリング・デニス・エドワーズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Temptations Review Featuring Dennis Edwards
2007-164


投稿者 吉岡正晴 : 04:52 AM | コメント (0)