November 16, 2007

The Appreciation Of Philadelphia Museum Of Art With Mr. Oka

【岡先生と鑑賞するフィラデルフィア美術館展】

講釈。

前々から企画していたソウル・サーチャー岡先生と見る『フィラデルフィア美術館展』に行ってきた。美術の先生でもある岡伸昭さんに解説してもらいながら、美術展を見ようという「ソウル・サーチン文化部」の企画。昼の1時半に上野の森、東京都立美術館前で岡さん、松尾夫妻らと待ち合わせ。

すたすた歩いていると、後ろから聞き覚えのある声。松尾さんだった。今回ここには、全77点が展示されているが、オープニングのときに岡さんが解説つきで話をしてくれたのがおもしろかったが、1時間半ではぜんぜん足りなかったので、フル・ヴァージョンをじっくりお願いしようということにあいなった。みんな、ノートとペンを持って、さあ出発。

今回の展覧会は大まかに5章に別れている。「写実主義と近代市民生活」「印象派とポスト印象派」「キュビスムとエコール・ド・パリ」「シュルレアリスムと夢」そして、「アメリカ美術」の5章。作品的には1865年くらいから1943年ころまでの約80年間。

岡先生、ノンストップで解説。「3大写実主義の作家としては、コロー、ミレー、クールベで・・・」「マネの『キアサージ号とアラバマ号の開戦』は、浮世絵の影響があるもので・・・」

マネの『キアサージ号とアラバマ号の開戦』(1864年)↓
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/101707.html

「ええ? なんで、なんで?」「こういう所からって、本当は絵が描けないんですよ。俯瞰する見方を取り入れていて、それは浮世絵の構図の影響があるんです。当時、浮世絵っていうのは、それこそ日本から何か送られてくるときの包み紙みたいなものだったんですけど、その絵にヨーロッパの人はものすごく興味を持ったんですね。マネは、この絵は新聞記事を読んで描いたので、実際にはこの場には行ってないんです」 「へええ」

「1870年代に入ると、チューブ入りの絵の具が開発され、画家が外に出て写生するようになった・・・」「チューブ入りの絵の具の開発は、ウォークマンの登場と同じね」「モネは晩年目をやられて見えなくなりつつあり、そうした焦りや苛立ちが例えば『睡蓮、日本の橋』などに見られる・・・」「ゴッホはものすごく思い込みの激しい人で・・・」 生徒は、「へえ」とか「ほー」とか、相槌を打ちながら、ときに質問などをしつつ進むが、ちょっと声が大きくなったりしたり、一作品の前でずっと解説を受けたりしていて渋滞を引き起こしていると、「もうちょっと静かにしてください」と係りの者に注意される。

「いわゆるシュールレアリスムというのは、非現実というか、絵の中に矛盾があったりするんです。例えば、キリコの『占い師の報酬』、よく見てください。時計は昼の2時前を指していますが、この時間ならこんなに影は長くならない。それから汽車の煙の向きと煙突からでる煙の向きが逆でしょう。ありえないんです」 「おおおっ」(みんな歓声)「シ~~~」

ジョルジョ・デ・キリコ『占い師の報酬』(1913年)↓
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51288.html

「ダビンチは仕事がものすごく遅いんですよ、ミケランジェロは早くて、ラファエロはいろいろな良いとこどりをして、でも37歳の若さで死んでしまうんです」「それまで単一的視点から絵を描いてものをいくつもの視点で、多視点で見て、それをキャンバスに記したのがキュビズムの特徴です。これは1907年からほぼ10年くらいの期間にブームは終わっています」「へえ、美術の世界もブームが意外と短かったりするのね。ニュー・ジャック・スウィングと一緒だあ」「ピカソとかは、当時はけっこう前衛だったりするわけ?」「そうですね、前衛ですねえ」「じゃあ、プリンスみたいなもんですかねえ」 なんでも、ソウルに置き換えるところあたりが、ソウル好き連中らしいところ。

「マルセル・デュシャンが描いた『画家の父の肖像』は、デイヴィッド・T・ウォーカーみたいじゃない?」「いや、ちょっとクライヴ・デイヴィスにも似てるな・・・」 

マルセル・デュシャン『画家の父の肖像』(1910年)↓
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51405.html

「これなんて、マンハッタン・トランスファーのジャケットだよね↓」

フェルナン・レジェ『生き生きした風景』(1924年)↓
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51986.html

色が圧巻で、目に焼きついたのはこれ↓
フォアキン・ソローリャ『幼い両生類たち』(1903年)
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/104425.html

岡先生曰く「これは、色が圧巻ですよね。この光の当て方。これを展示した個展(1909年)には、なんと16万人の人が見に来たそうです。もう超大人気画家ですよ」

「絵っていうのは、100年前のもの、150年前のものでも、こうやって現物が見られるわけですから、すごいですよね。音楽はせいぜいここ100年、といっても実際は数十年でしょう」「な~~るほど」

なんとこんな調子でてれてれやっていたら、岡先生3時間半しゃべり続けて、最後の第5章『アメリカ美術』のところは相当はしょった。時間が足りなくなったのだ。「まもなく、閉館です、お急ぎくださ~~い」と係員にまたまた促された。

近くでやっていた「ムンク展」「シャガール展」とか、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」でもやってもらいましょう、って話しになった。そして、帰りの車はフィリー・ソウルでゴー・ゴー・ゴー。

ENT>ART>Philadelphia Museum Of Art

投稿者 吉岡正晴 : 05:09 AM | コメント (0)