November 10, 2005

Brenda Vaughn Steal The Show

【ブレンダの声に感動】 

声。

ハリケーン・カトリーナ救済チャリティー・コンサート第一部が2005年11月9日(水曜)、渋谷オーイーストで行われた。ニューオーリンズ・エレクトロ、リトル・ジャイヴ・ボーイズ、ジェイ&シルキー、フィリップ&ハンクなど多数のアーティストが参加。4時間を越えるライヴを繰り広げた。客の入りは少なかったが、みな、それぞれいいパフォーマンスを見せて、なかなかいいイヴェントだったと思う。

この日、僕がもっとも感銘を受けたのは、フィリップ・ウー&ハンク(西山はんこやさん)にサプライズ・ゲストで登場した旧知のブレンダ・ヴォーンだった。フィリップ&ハンクがバンドとともに1曲「ブルース」を演奏。フィリップ・ウーがリーダーとなり、次々とベース奏者、ギター奏者、ドラマーにソロを指示し、見事なファンク・ジャム・セッションが繰り広げられていた。フィリップがここまでファンクな演奏を見せてくれたのにはまいった。さすが元メイズだけのことはある。

そして、その演奏曲を終えて、「今日は特別ゲストを迎えます。長い友人、ブレンダ・ヴォーン!」といってブレンダ登場。こちらは、おおっ、という感じで驚いた。「私たちは、何々ができない、何々が手に入らない、行くところがないなどと不平を言ったりします。でも、ニューオーリンズの人たちは、それまであった家が、ある日突然、家だけでなく全てを失ってしまいました。それを見て、私はもう不平不満は言うまいと思いました。私たちには、家があり、家族があり、行くところがあるのですから。今日は、この場に来てくれてありがとう」とコメントすると、フィリップがオルガンを演奏し始めた。歌は、「アメイジング・グレイス」。まちがいない! 

ファンキーでゴスペルタッチのオルガンにブレンダの声がかぶさった瞬間、会場の空気が変わった。凍った。ブレンダのことは、前から知っていて、たぶん誰かのバックなどでうたっているのをみたことがあったと思う。しかし、彼女が自分でソロで堂々とここまで歌えるものとは知らなかった。いやあ、度肝を抜かれましたよ。日本在住の女性ソウル・シンガーでナンバーワンといってもいいかもしれない。椅子を座りなおして、しっかり前を見て、気持ちとしては正座して聴いた。(椅子に正座はしなかったが・・・)

本当に、こういう本格的なソウルシンガーをしばらく聴いていなかったな、と思った。声も体も歌も全部ゴスペル。声も体も歌も全部ソウルの塊(かたまり)。濃い。ソウル・シンガーを突き詰めて聴いていくと、結局、そのシンガーの持つ声自体に感動するという極地に到達する。しかし、そこまで行ける、また、感じられるシンガーは少ない。この日のブレンダの歌唱には、声だけで人々を感動させる「魂(たましい=ソウル)」が宿っていた。

「アメイジング・グレイス」が終って、続けてフィリップがピアノでイントロを弾き始めた。おおっ、あれだ。「You can reach me by railway, You can reach me by trailway」ときた。 そう、ブレンダ・ラッセルが書きオリータ・アダムスでヒットした「ゲット・ヒア」だ。ブレンダ・ラッセルのものも、オリータのものも好きだが、この瞬間からブレンダ・ヴォーン・ヴァージョンが一番気に入った。ふたりのものよりも、はるかにソウルフルになっている。すごいわ。後半、その歌声だけでどきどきして、感動した。

「ソウル・サーチン・トーキング」で、いずれアレサ・フランクリンをやろうと思っているが、その時は絶対にブレンダに頼むことに決めた。まちがいない。

あまりによかったので、バンド演奏が終わってすぐにブレンダに会いに楽屋に飛んで行った。「いやあ、すばらしかったよ」 「ありがとう。来てたとは知らなかったわ」 「アメイジング・グレイスはよく歌うの?」 「これは、もう何度もね」 「ゲットヒアは」 「時々、歌ったことはある」 「あの流れだと、ユーヴ・ガッタ・ア・フレンドなんかもいいね」 「そうね!」 「自分のライヴはいつやるの?」と聞くと、「さあ、わからないわ」との答え。う~む、もったいない。ブレンダによると、イギリスのレコード会社のコンピレーションCDに彼女の歌が入っているそうだが、こっちのCDショップにはあまりおいてないらしい。

客席に戻ると石島はるみさん。何度かラウンジなどでブレンダのパフォーマンスは見ているそうだが、「今日のは彼女のベスト・ライヴ・パフォーマンスだわ」と驚嘆驚嘆。そうこうしているうちに、尾臺順子さんが、横を通るなり「あの人は何者ですか? ええっ、日本にいるの? すごいすごい。こんど紹介してください」と感嘆感嘆。

まさにこういうことをBrenda Steal The Show(ブレンダ・ショウを盗む)という。これは会場に足を運ぶまでまったく予期できなかった。

++第二部は、11月11日(金)渋谷オーウエストで行われます。

カトリーナ救済イヴェントの告知
http://blog.soulsearchin.com/archives/2005_10_26.html

(2005年11月9日水曜、渋谷オーイースト=ハリケーン・カトリーナ被災ニューオーリンズ救済コンサート)

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