NO.921
2005/02/02 (Wed)
Brother Tom's Two Minutes: He Talked About When He First Heard Ray Charles
トムの2分間。

映画『RAY/レイ』前夜祭での「トムの2分間」は会場を感動の渦に巻き込んだ。その模様をここに再現する。

鮎川さんが持ってきたレイ・チャールズの日本盤シングル「愛さずにはいられない」を見て、ブラザー・トムが反応した。マイクを持ちながら、彼はこう話始めた。

「2分くれる? 僕が生まれて初めて聴いたレイ・チャールズがこれ、これなんですよ。(と言って、「愛さずにはいられない」のシングルを指差す) 

うち、父親が外人なんですけど、僕を置いてどっか行っちゃうんですよ。僕は母親と一緒に住むことになるんですけど、母親が2番目のお父さんを連れてくるんですよ。母親が33歳の時、2番目のお父さんは19だったらしんです。(会場から笑い) すごく若い人で、和子というおでんやさんをやりながら、母親がその人とできちゃうんですけど、そうしたら僕を連れて、その彼の親のうちに自分(トムの母)と僕(トム)を紹介しなくちゃいけないんで、行くんですよね。

田んぼの中、歩いていくと、その(相手の実家である)家に着いて、僕を紹介するわけですよ。どこの子だかわかんない、色真っ黒でわけわかんない、外人の子ですよ、(笑) 母親は水商売の女ですよ。それをつんと紹介するわけですよ。僕は6歳ですよ。埼玉県の熊谷の、げろげろって蛙が鳴いてるようなそんなところで、周りはすっごい険悪な雰囲気で、母親はオイオイ泣いてるんですよ。

きっと許して欲しいんでしょうね。19歳の男と32歳(発言のママ)・・・。もうオイオイ泣いてて、僕は何もわかんないから、ぼーとしてたら、ふすまの向こうから大〜〜〜きい音で・・・。 「愛さずにはいられない」がかかったんです。

それをかけたのは、その19歳の男の人の弟で、彼がこのレコードを持ってて、「愛しあうことはかまわないじゃないか」って、フルヴォリュームでかけてきたんです。それが、これで〜〜! (しばし沈黙)(会場からいきなり拍手) それ以来なんですよ」

「いい話だねえ・・・。トムとは20年近くつきあってるけど、その話は初めて聞くねえ・・・」と司会のマイク越谷氏が受けた。

そして、ブラザー・トムは言った。「(レコードのジャケットを)見せてもらってうれしくなって!」

それぞれの人々にある「愛さずにはいられない」の思い出。トムはこの曲を聞くたびに、ふすまの向こうから大きな音で流れてきたあの光景を思い出すのだろう。見事な「トムの2分間」だった。

トムが言った。「息子がねえ、レイ・チャールズが死んだ時、メールをくれたんです。『なんてことだ。レイ・チャールズが死んだなんて』ってね。世代がつながったんです」

レイ・チャールズは、トムの母が好きで、トムが好きで、そして、トムの息子も好きなシンガー。3世代に愛されたシンガーだった。


(2005年1月28日金曜、銀座みゆき座=映画『RAY/レイ』前夜祭)

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わが心のジョージア―レイ・チャールズ物語
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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