NO708
2004/07/13 (Tue)
Syreeta To Eva Cassidy: Only The Good Die Young
若死。

スティーヴィー・ワンダーのファンのひとりが、ここ一週間ほどシリータの初期の3枚のアルバムばかりを聴いていて、奥さんに何事かと言われたというメールを見て、思わずおんなじことをしてる人が世界のどこかにいるんだなあと思いました。彼はイタリアに住む人物ですが、特にその中で「アイ・ラヴ・エヴリ・リトル・シング・アバウト・ユー」を何度もリピートでかけながら、彼自身がギターを弾いていたそうです。彼は奥さんにシリータの死去を伝え、シリータとスティーヴィーの関係についても説明しました。

シリータ まず、驚いたのが彼がこの「アイ・ラヴ・リトル・・・」をリピートでかけていたということ。日曜日に「ソウル・サーチン」で選曲したのが、この曲でした。彼女のファースト 『シリータ』 (72年)の1曲目に収録されている作品です。そして、彼はシリータ、ミニー・リパートン、さらにエヴァ・キャシディーが同じ病気で亡くなったと書いていました。

ここで、エヴァ・キャシディーの名前がでてきたことで、再びびっくり。エヴァ・キャシディーは、ワシントンDCを本拠として活躍していた女性シンガーで、「ゴー・ゴー・サウンド」で知られるチャック・ブラウンのところに一時期いたシンガーでもあります。ジャズっぽいシンガーで、しかし、なんと黒人ではなく白人シンガー。それほど黒っぽくなく、白人ジャズシンガーというジャンルでしょうか。

友人から彼女のヴァージョンのスティングの「フィールズ・オブ・ゴールド」がとてもいいと勧められて聴いて、さっそくCDを探して輸入盤を入手したのです。ところが、彼女はすでに故人。彼女もまた30代の若さで乳がんのためになくなっているのです。

このエヴァ・キャシディーについては、もう少しCDを集めてから何か書こうかと思っていたのですが、まさか、そのスティーヴィー・ファンから彼女の名前がでてくるとは夢にも思いませんでした。まちがいなく、エヴァにもソウル・サーチンの物語があるのです。もちろん、そうしたストーリーなしに、予備知識なしに聴いても、この声は人をひき付けるものがあります。エヴァの声は、透き通った、くせのない癒し系のもの。歌う曲がスタンダードが多く、夜などに聴くにはじつにいい感じのアルバムです。

僕が今持っているのは『ソングバード』というアルバムで、ここに「フィールズ・オブ・ゴールド」、「ウェイド・イン・ザ・ウォーター」、そして、「ピープル・ゲット・レディー」なども収録されています。

ちょっとシリータとは雰囲気が違いますが、さらっとした感覚は似たものがあるかもしれません。エヴァは、それまでまったく無名だったのですが、96年11月2日に33歳で亡くなったことによって、地元以外のメディアからも注目されて、話題になりました。

死をきっかけに、あるアーティストを知るということは、過去も、これからも多々あるでしょう。それは少し寂しいことではありますが、それでも、そのアーティストのことを知らずに、あるいは埋もれたままで終ってしまうより、はるかにいいことです。

ここで得られる教訓は、これですね。「私のグラスには、半分しか水がはいっていない、のではありません。半分も、はいってるんです」 ハーフ・エンプティーではなく、ハーフ・フルというわけです。もちろん、ミニー・リパートンの言葉です。


Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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