NO563
2004/03/02 (Tue)
Power Of Blood Brothers, Power Of Continuation: Isley Brothers Live At Bluenote
(アイズレー・ブラザースのライヴ評です。これからごらんになるかたは、充分ご注意ください)

継続。

彼らはは1950年までに兄弟グループとして父親の指導で歌い始めていた。彼らの正式なスタートはなかなか確定できないが、54年あたりをこのグループのスタートとする説がある。その場合でも、結成50周年である。50年、半世紀だ。恐るべき継続の力。血を分けた兄弟たちの強さ。その両者をあわせ持った男たち、その名はアイズレー・ブラザース。

今は亡き赤坂ブリッツ、渋谷AXというライヴハウスから一転、小規模なブルーノートでのライヴ。かの伝説をこの距離で見られるとは。アポロ・シアターよりもここははるかに小さなライヴハウスだ。客席もいつものブルーノートとは違ったソウルブラザー、シスターたちが多い。この近さでこの迫力あるソウル! 誰がどこに文句をつけようか。タワー・オブ・パワーに続いて、生バンド・ソウル・ライヴの真髄をこれでもか、これでもかとまざまざと見せつける。

黒のパンツ、白の少し光沢のジャケット、そして、おなじみステッキ。いかついロナルド・アイズレーが舞台に上がるとそれだけで歓声が倍増する。いきなりミディアム調にした「ビトゥイーン・ザ・シーツ」から。さらに「フットステップス・イン・ザ・ダーク」とゆったりミディアム調が続いて、いよいよ「ザット・レディー」へ。「ゴー、アーニー、ゴー、アーニー」の掛け声にのって、アーニーのギターが炸裂。途中のギター・リフではアーニーが口にピックをはさみ、弦をはじいて音をだすという演出もある。いきなり、普段おとなしいブルーノートの観客が、早くも立ち始めた。それまで一バック・ギタリストに甘んじていた彼が、自らスポットライトを浴びるセンターステージのスターとして輝き始めた。ギターの先端には、薔薇の花がささっていた。

R&Bのパッケージショウの最大の魅力のひとつは、グループ内に様々なヴァリエーションを持ち、そうした若い才能をショウの中に組み込むことだ。キーボード担当でかなりひょうきんなロドニー・イーストにやらせたのは、なんとマイケル・ジャクソンの真似だ。ジャクソンズの大ヒット「シェイク・ユア・ボディー」を、マイケルよろしく歌って、踊って見せた。さらには、ロナルド・アイズレー・プロデュースのもとデビューした女性二人組、JSのヒット「アイス・クリーム」を、JSメンバー、キャンディーとキム姉妹が歌う。

ロナルドのこの声にやられる。特にバラード系になると、レコードで聴くあの声が目の前のその本人の口からでてくる。ヒット曲は70曲以上、その中から今日歌われるのは十数曲。すべてを歌うことは不可能だ。それでも、ビートルズでおなじみの「トゥイスト&シャウト」、あるいは、「シャウト」などのロック系の作品もうまく交えながらバランスのとれたショウを見せていく。ロナルドのようなねちっとした、セクシーで、センシュアルなヴォーカリストはなかなかいない。

ファーストではやらなかったという「サマー・ブリーズ」がプレイされた。途中のギターになると、アーニーが再び熱いギターソロを弾く。ジミ・ヘンドリックス直伝のギターだ。アンコールにおける「ファイト・ザ・パワー」は、13分にも及ぶロング・ヴァージョン、ロナルドがステージを降りてからも、しばしロック風の演奏が続いた。

おそらく現役グループとしては、グループ結成以来だんとつに歴史の長いグループだ。正に伝統と革新、苦難と栄光、低迷と復活、分裂と再結成、兄弟たちの死別など、すべてを経験し、その一つ一つが彼らの血肉となり、それがアイズレー・ブラザースというグループの輝かしい歴史となっている。

この迫力満点の爆発ライヴ、ソウルバンドショウとして最高だ。もう文句などない。ブルーノートがアポロ・シアターになった夜だった。

Setlist
(second set)

show started 21.37

01. Intro
02. Between The Sheets
03. Footsteps In The Dark
04. That Lady
05. It's Your Thing
06. Twist & Shout
07. Shake Your Body Down To The Ground (Jacksons)
08. Ice Cream (JS=Kandi & Kim)
09. For The Love Of You
10. You're All I Need
11. Shout (including "Doin' It To Death)
12. Groove With You
13. Atlantis
14. Summer Breeze
15. Work To Do
16. Contagious
Enc Fight The Power

show ended 22.59



(2004年3月1日月曜・東京ブルーノート=アイズレー・ブラザース・ライヴ)

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