NO.392
2003/09/22 (Mon)
Soul Synchronicity: R&B Connect With Jaco
偶然。

超強力フュージョン・バンド、ウェザー・リポートのベース奏者としても名を馳せたジャコ・パストリアス。そのジャコの記念すべきデビュー・アルバム 『ジャコ・パストリアス』 は76年6月に全米発売されています。後に名盤の誉れを獲得する作品です。

僕はこのアルバムを76年6月28日に入手しました。この頃は買ったレコードを全部ノートにつけていたので、その同じ日に入手したレコードのリストが残っています。同日に手に入れたのは、コモドアーズの『ホット・オン・ザ・トラックス』、キャンディ・ステイトンの『ヤング・ハーツ・ラン・フリー』、グラハム・セントラル・ステーションの『ミラー』、ジョニー・ギター・ワトソンの『エイント・ザット・ア・ビッチ』、LTDの『ラヴ・トゥ・ザ・ワールド』、ラロ・シフリンの『ブラック・ウィドウ』、インディヴィジュアルズの『トゥゲザー』などなどです。ペン書きの横に鉛筆書きの小さな字で266とあります。この年に買った266枚目だったんですね。あの頃はよく買ってました。(笑) 

当時は基本的には僕が買っていたのはソウル、R&B系のアルバムで、いわゆるジャズ、フュージョンものはあまり買っていませんでした。ではなぜ、ジャコのファーストをリリースと同時に買ったのか。その時点では、僕はジャコのことはほとんど知りませんでした。ウェザー・リポートの『ブラック・マーケット』は、同年4月1日に入手していましたが、ほとんど知識はなかった。そんな中でジャコのソロ・アルバムを手に入れたのは単純な理由です。2曲目「カムオン・カムオーヴァー」でゲストに60年代に大活躍したソウルメン、サム&デイヴが入っていたからです。レコードを買う動機なんて、そんなものです。

この曲は今日の『ソウル・ブレンズ』でもかけましたが、じつにかっこいいでしょう。ホーンセクションも、すごくいい。今聴くと、やはりベースがしっかり立ってるんですね。ベース奏者のアルバムなんだから、当たり前と言えば当たり前ですが。

ジャコは、フィラデルフィア生まれですが、マイアミ育ち。そして、そのジャコが初めてレコーディングらしいレコーディングに参加したのが、マイアミ・サウンドのクリエイターのひとり、リトル・ビーヴァーの「パーティー・ダウン」(74年8月のヒット)の収録されたアルバム 『パーティー・ダウン』 (75年1月18日に入手)でした。このアルバムには、ベース奏者がジョージ・ペリー、ネルソン・ジョッコ(Jocko)・パドロン、ロン・ボグドン、ウィリー・ヘイルと4名が記されています。なので、シングルヒットした「パーティー・ダウン」がジャコかどうか、ちょっと微妙なんですが。

アルバムをひっぱりだして改めて聴いてみました。A面3曲目の「マネー・ヴァイブレーション」、B面1曲目の「アイ・キャン・ディッグ・イット・ベイビー」あたりが、ちょっとジャコぽいと言えば言えるかもしれません。後者は、ちょっとジョージ・マクレイの「ロック・ユア・ベイビー」風のフレーズもある超マイアミな曲です。後者がジャコなのかな。ちょっとジャコのディスコグラフィーなどを調べてみたんですが、どこにも書いてありませんでした。もっと、ディープなディスコグラフィーに遭遇すればわかるのかもしれませんが。

ジャコは無名時代のバンドでアレサやウィルソン・ピケット、ジェームス・ブラウンなどのコピーをやっていて、かなりのソウル好きでした。彼の有名な作品に「チキン」があります。ジェームス・ブラウンの曲ですが、この曲はブラウンの69年5月リリースのシングル「ポップコーン」の裏面に収録されているもの。ジャコはこれを69年にはすでに、ホームレコーディングで試し録音しているんですね。いかにマニアックだったか。

さて、それはさておきインターFMでミーティングを終え、帰ろうとしたところ、 そこでばったりピーター・バラカン氏に遭遇。「今日、ジャコやったんですよ」というと「 『ポートレート・オブ・ジャコ』 ?」と聞かれたので、「いえ、ファーストです」と答えました。しばし、ジャコ話があり、ピーター氏。「イギリスの16歳の新人、ジョス・ストーンっていうの聴いた? ヴァージン傘下のレーベルからでた新人でその社長っていうのが、大のソウル好きで、プロデュースにマイアミのベティー・ライトとか、リトル・ビーヴァーとか、ラティモアとかその一派がはいってるんですよ。白人なんだけど、かなりいいですよ。線はちょっと細いんだけど、16歳とは思えない・・・」 「マイアミで録音されたんですか」 「そう、(マイアミの)クライテリア(・スタジオ)と、ルーツなんかもかかわってるんで、フィラデルフィアと、あとニューヨークもあったかな。みんな、ソウルのカヴァー。ハーラン・ハワードの『チョーキン・カインド』とか。」 「あ、ジョー・サイモンとかやってる曲ですね」 「そう、いろんな人たちがカヴァーしてる。アイズレーの『フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー』とかも・・・。あと、今日ね、グループ・デル・クアレイムっていうのかけますよ。これね、『アイ・キャン・ディグ・イット・ベイビー』。ジャコがやった曲で、これはウルグアイのグループで、ここではジャコの息子がベースやってるんだ」 「ええ? ということは、トレイシーとの間に生まれた子かな」 「いや、二度目の結婚のほうの双子のほう」 「待ってください。ジャコのこと、今日はお任せください。(笑) (といって資料を出す) あ、これだ。82年にイングリッドとの間に生まれた双子。ということは、21歳ですか、今」

その後、インターのピーターさんの番組で、ジョス・ストーンの「チョーキン・カインド」とグルーポ・デル・クアレイムのその曲を聴きました。ジョス・ストーンは、すごいわ。これ。16歳? 26歳といっても通用する。36歳でもいいかもしれない。輸入盤、もうあるみたいなので、チェックしにいこう。 http://www.s-curverecords.com/joss/  白人なんですが、けっこうソウルです。最近は本当に年齢関係ないですね。マイアミオールスターを従えて、すでにニューヨークでライヴやったみたいですね。声は、メイシー・グレイほど野太くはありませんが、かなり円熟味を感じさせる声、歌唱です。

上記サイトを見ると、元々オリジナル・アルバムを録音することになっていたが、ベティー・ライトと知り合ったことで、ちょこっとサイドプロジェクトとしてカヴァー・アルバムを作ろうということで、ベティー・ライトの人脈で、アルバムがたったの4日でできちゃったんですね。こういうのが、けっこう、ど〜〜んと売れちゃうんですよ。(笑) 

そして、話はジャコに戻ります。結局、リトル・ビーヴァーのアルバムでやっていたのは「アイ・キャン・ディグ・イット・ベイビー」だったんですね。『ソウル・ブレンズ』でジャコをやり、マイアミの話をし、そして、ピーターさんが、まさにそのマイアミつながりの新人ジョス・ストーンと、ジャコつながりのグルーポの「アイ・キャン・・・」をかける。シンクロニシティー(同時性、偶然)とはこのことでしょうか。9月21日は、ジャコの命日です。

R&B Connectな今日この頃・・・。

Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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