NO.319
2003/07/14 (Mon)
Liz Wright Will Be Coming To Japan
リズ・ライト来日。

ジャズ系のシンガー、リズ・ライトが9月に来日する。公演は、9月17日(水)から20日(土)まで、横浜のモーション・ブルー・ヨコハマ。今回は東京ブルーノートの出演はない模様。バックはEJ・ストリックランド(ドラムス)、ジョン・コハード(ピアノ)、ダグ・ウェイス(ベース)。

リズ・ライトは、1980年1月22日、ジョージア州ハヒーラの街生まれ。3人兄弟の末っ子、上に兄と姉がいる。父親は教会の牧師、母は同じく教会で歌っていた。そこで、兄弟とともに、6歳くらいから、教会でゴスペルを歌っていた。14歳までに彼女はピアノを独学で覚え、ピアノを弾きながら歌うことを覚えた。ハイスクール時代にはゴスペル以外にも様々なタイプの音楽に接し、また、いろいろなグループに在籍した。ジャズに目覚めたのもこの頃。

ハイスクール卒業後、ジョージア州立大学に入学。ここでヴォーカル・パフォーマンスを専攻するが、その対象音楽がクラシックだったことに嫌気がさし、約1年でやめ、ジャズのグループなどに参加して歌いはじめる。

98年夏にジョージア州メイコンに引っ越す。そこで仕事を得て、一人で住んでいたが、一体自分が何をしたいのかじっくり考え、週に何日も2時間かけてアトランタまで車を走らせ、同地のジャズクラブに入り浸るようになった。99年始め、チャーチル・グラウンドという店でのジャム・セッションに参加したところ、認められ、アトランタを本拠とするバンド、イン・ザ・スピリットにヴォーカルとして誘われることになった。

さらに2001年、クルセイダーズのキーボード奏者、ジョー・サンプルに認められ、ジョーのアルバム『ザ・ピーカン・トゥリー』(2002年3月発表)で2曲を歌い、大きな注目を集める。

2002年7月11日、シカゴ・オーケストラ・ホール。ここで「ビリー・ホリデイ・トリビュート」のライヴが行われ、リズも「アイ・カヴァー・ザ・ウォーターフロント」と「ドント・エクスプレイン」を歌い、大喝采を浴びた。

2003年、トミー・リピューマのヴァーブ・レーベルと契約。5月、同レーベルからのデビュー作『ソルト』が発売され、スムース・ジャズ・ステーションを中心にエアプレイを得ている。このアルバムは、トミー・リピューマ自身がプロデュースにあたっている。

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The Star Of The First Name Only

ファーストネーム。

昨日のバーニーのレーベルメートにあたるのが、このリズ・ライト。ハスキーで、ソルティーな歌声は、情緒豊かで、非常に魅力的。ジョー・サンプルが、ランディー・クロフォード、レイラ・ハザウエイの後釜に選んだだけのことはあるシンガーだ。最近の若手女性シンガーの中ではぴか一。ダイアン・リーヴス、カサンドラ・ウィルソン、ディー・ディー・ブリッジウォーターらの次の世代を担うシンガーになっていきそうだ。

僕がリズのことを知ったのは、もちろん、ジョー・サンプルの『ピーカン・トゥリー』でのこと。2曲歌っていた。どちらも、よかった。

2002年4月、彼女はそのジョー・サンプルのライヴで来日している。そのときの生の歌声は今でも忘れない。既にCDで聞きなじんでいたが(とはいっても、CDではたったの2曲だけだったが)、実際に情感豊かに歌っていた姿は、新時代のスターシンガーを予感させた。

http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/joe20020409.html

ライヴ評にも書いたが、『ピーカン・トゥリー』収録の「ノーワン・バット・マイセルフ・トゥ・ブレイム」は、リズのこれまでのところ、最高傑作楽曲だと思う。失恋してしまったが、誰のせいでもない、責められるのは自分だけだ、という悲しい歌だが、これが実に世界を作る。

そして、彼女のソロ・デビュー『ソルト』のアルバムでもじっくりと歌を聞かせる。ニュアンスの伝え方も見事で、既に、リズの世界を持ち始めているところが、すばらしい。「声で売れる」シンガーだ。来年のグラミー賞ジャズ女性シンガー部門のノミネートを期待したい。ただひとつだけ、このアルバムで不足があるとすれば、それは、かのジョー・サンプルのピアノがないということだ。

ビリー、ニーナ、エラ、サラ、ダイナ・・・。偉大なディ−ヴァたちはみなファーストネームで呼ばれた。彼女も近い将来、シンプルに「リズ」と呼ばれることになるだろう。それは輝かしきファースト・ネーム・スター。

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リズ・ライト・ライヴ

9月17日(水)から20日(土)
モーションブルー・ヨコハマ
045-226-1919
ショウタイム、月〜金 19.00と21.30
土曜、18.30と21.00
チャージ4500円、入れ替え制
(7月19日・土曜・発売開始)


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Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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