2002/06/20 (Thu)
ミシェル・ンデゲオチェロのライヴ
異色の女性ファンク・アーティスト、 ミシェル・ンデゲオチェロの久々の来日 ライヴ。日本がトルコに負けたその日に 気持ちを取り直す意味で見に行きました。

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『人を目覚めさせる鳥』

覚醒(かくせい)。

はじけるダブル・ベースと乾 いた、しかし抜群のリズム感の あるドラムスによって打ち出さ れる強烈なビートは、ぬるま湯 の音楽に浸り切った者を、完璧 に覚醒させる。そして、ステー ジが続けば続くほど、そのリズ ム隊の強烈さに、麻薬的な快感 を覚えるようになった。

スキンヘッドの女性ベ−ス奏 者、ミッシェル・ンデゲオチェ ロの数年ぶりの来日ライヴ。前 回ライヴは、内容はよかったも のの、池袋のホールでほとんど 観客がいないという、状況的に はかなりお寒いものだった。今 回は、日本がトルコに負け、し かも、雨も降っているという悪 条件ながら、そこそこの入りを 見せた。

ある時は淡々とベースを弾き 、歌を歌い言葉を語る。サウン ドはファンクをベースにジャズ と若干のR&Bが融合。ラップ のような語りがあるが、それは ラップではなく、モノローグ、 あるいは、ポエトリー・リーデ ィングのような言葉に息吹を与 える種類のものだった。

痛烈に感じられたのは、内省 的で、自己完結型のアーティス トだということ。すべてを自分 でやり、問題さえも自分で解決 してしまうという姿勢だ。それ ゆえか、彼女が、観客に話しか けることは、非常にまれだ。そ れでも、一度だけ観客に向かっ て話しかけ、私たちには「カル チュアル・チャネリング(文化 的伝播)」がお互い必要だ、と 語った。

エンタテイナーというものと は程遠く、自身の主張をもの静 かに、しかし、時に激烈な音楽 とともに語る表現者、アーティ ストとしての佇まいをみせてい た。ンデゲオチェロは、スワヒ リ語で「鳥のように自由に」と いう意味。そして今、「人を目 覚めさせる鳥」の意味が加わっ た。

6月18日(火曜)東京
ブルーノート・ファースト・ステージ

文・吉岡正晴
Diary Archives by MASAHARU YOSHIOKA
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