PERIODICAL>L&G>THOMAS, RUFUS
『車窓を奏でるメロディー』(20)

"I ain't gettin' older, I'm gettin' better!" Jacket Photo.
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『世界一年をとったティーンエイジャーの若さの秘密』

曲:      『メンフィストレイン』
            The Memphis Train

歌:      ルーファス・トーマス
           Rufus Thomas
年:      1968年

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『世界一年をとったティーンエイジャーの若さの秘密』



   「もう若くはないからな。女の子をおっかけたりはしないよ、は
はは。確かにガールを追いかけてれば、若さを保つことができるか
もしれないけどな。もう充分だ」

   こう元気に宣言したのは、ルーファス・トーマスという名のおじ
いさんシンガー。彼が数年前ライヴのために来日し取材した際の一
こまだ。

   ルーファスおじいさんは、1917年ミシシッピ生まれ。そのと
きでゆうに70歳半ばを越えていた。メンフィスの名門ソウル・レ
ーベル、スタックスから70年代に「ウォーキン・ザ・ドッグ」、
「ファンキー・チッキン」、  「ファンキー・ペンギン」などのコ
ミカルなダンス系の大ヒットを次々と送り出した大ヴェテランであ
る。70歳を越えても、ルーファス翁は短パンに派手なシャツを着
てダンスを見せる。ご長寿ソウルの第一人者でもある。

   ルーファスは1940年代には、ミンストレル・ショウと呼ばれ
る歌手・ダンサー・道化師などがパッケージになったショウで活躍
し、さらに1953年から74年まで20年以上にわたってメンフ
ィスの人気ソウル・ラジオ局で、ずっとレギュラーDJをやってき
た。そして60年代からはいくつものヒット曲をだした。エンタテ
インメントの真髄を知っている人物だ。

   先にあげたヒット曲は、  いずれもヒット・ダンスの名前でもあ
る。つまり、「ファンキー・チキン」、「ファンキー・ドッグ」と
いう名前のダンスがあり、そのダンス・ステップとともに大ヒット
したのだ。もちろん振り付けを考えるのはルーファス本人。

   72年夏にロス・アンジェルスの黒人街ワッツ地区でスタックス
・レ−ベル所属のア−ティストが一堂に会した大イヴェント『ワッ
ツタックス』が行なわれた。

   そこでルーファスはヒット曲をメドレーで歌って踊り、大喝采を
あびた。この模様は同名の映画となって今でも見ることができる。
この時点でさえも彼は55歳。その若さにみな驚かされたものだ。

   彼にインタヴューする者は皆、彼に「若さの秘訣は何か」と尋ね
る。おそらく百万回は訊かれた質問だろう。ときにそうした質問に
「ガールだ(女の子さ)」と答えながら、大きな目をウインクをし
てみせる。その茶目っけたっぷりのしぐさは、じつにかわいらしく
とても憎めない。

   この「メンフィス・トレイン」という曲は、1968年の彼の作
品。イントロとエンディングに蒸気機関車の走る音が効果音として
はいっているファンキーでダンサブルな一曲。

   「ところで君の電話番号は何番だい?」  ルーファスが、そのと
きそこにいた通訳の女性にそっと尋ねていた。あれえ?  もうやめ
たんじゃなかったの。さっき「もう充分だ」って言っていたあの言
葉は一体なんだったのだ。やはり若さの秘訣は、それだったのか。

(2000年11月号L&G誌に掲載予定でしたが、廃刊のため掲
載されませんでした)

(ルーファス・トーマスは、2001年12月15日心不全のため
逝去されました。84歳でした)

(2003年3月4日アップ)
    
2000年11月号L&G誌に掲載予定でしたが廃刊のため不掲載
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