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『車窓を奏でるメロディー』(8)

illustration by Picaro Taro Manabe
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ベイビーシッターが歌った曲から生まれたヒット・ダンス


曲:      『ロコモーション』
           「Locomotion」
歌:      リトル・エヴァ
           Little Eva
年:      1962年

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ベイビーシッターが歌った曲から生まれたヒット・ダンス


   「エヴリバディー・ドゥーイン・ア・ロコ・モーション...(
みんなロコ・モーションを踊っている)」  軽快なミディアム調の
テンポにのせてリトル・エヴァが歌うこの大ヒットは、1962年
の全米ナンバー・ワン・ヒットソングだ。

   この「ロコ・モーション」は、蒸気機関車のイメージから作られ
ているが、作者は「ロコ・モーション」という名のダンスを踊るた
めの曲として作った。その作者とは、誰あろう、70年代にアルバ
ム『つづれおり(タペストリー)』で女性シンガー/ソングライタ
ーの頂点に立つキャロル・キングとその夫、ジェリー・ゴーフィン
である。

   その「ロコ・モーション」というダンスは、一足先に世界的に大
ヒットしたダンス「ツイスト」につづくものと思われた。だが・・
・。

   実際、キャロル・キングたちがこの曲を書いた時、「ロコ・モー
ション」という名のダンスはこの世に存在しなかったのだ。

   彼らはこの軽快な曲を、当初はディー・ディー・シャープという
シンガーに歌ってもらおうと考えた。ディー・ディーは、しばらく
前に「マッシュ・ポテト」という人気ダンスを題材にしたヒットを
出して一世をふうびしていた。そこで、それに続くダンスがらみの
ヒット曲を作ろうということで、適当に「ロコ・モーション」とい
う名のダンスを、いわばでっちあげたのだ。

   彼らはディー・ディーに聴かせるためのデモ・テープを作る。ち
ょうどその頃キャロルとジェリーの家に、歌の上手な黒人のベイビ
ーシッターが毎日来ていた。彼らは「ロコ・モーション」のデモ・
テープを週給35ドルのそのベイビーシッターに歌わせる。ところ
が、ディー・ディーのプロデューサーは、この曲を気に入らず、突
き返して来たのだ。

   それでも、キャロルたちの作品を売り込んでいたドン・カーシュ
ナーは、この出来がとても気に入っていた。彼はちょうどレコード
会社を始めようとしていたので、その第1弾に「ロコ・モーション
」を、しかも、デモ・テープの歌手のままで発売することにしたの
である。

   この曲は発売されるやすぐに大ヒット。すると「ロコ・モーショ
ン」とはどんな踊りかとの問合わせが殺到し、エヴァたちは、早速
ステップを作り、「ロコ・モーション」の踊りを披露してみせた。
蒸気機関車のように、人が何人も連なり、機関車の車輪が動く姿を
両手を前に回転させてイメージするダンスだ。ひょうたんからこま
ならぬ、ヒット曲からヒット・ダンスが誕生した瞬間だった。

   それから12年後の74年にロック・グループ、グランド・ファ
ンク・レールロードは、この「ロコ・モーション」をカヴァー。こ
れが大ヒットしている最中に大規模な全米ツアーに出た彼らが、こ
の曲をステージで演奏する時、バックには機関車が走っていく映像
が流されていた。

(2002年12月10日アップ)

1999年11月号L&G誌に掲載
    
1999年11月号L&G誌に掲載
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